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Cerevo岩佐×VAIO中田 IoT/ハードウェアの”生産”を語る

シャープ買収の衝撃 日本が出遅れた「作り手市場」の逆転

2016年04月13日 07時00分更新

大手には可能なかぎり情報開示してほしい

── イイ感じに白熱してきたので(笑)、次はサラッといきますね。「スタートアップのためになるEMS側の支援」というテーマです。

中田 メーカーで長いことエンジニアをやってきて思うんですが、モノをつくるのはびっくりするほど人とか時間とかいろんなことに注意を払い、多くの人に動いてもらってモノができる。そういったところを、スタートアップの方々が自分たちで全部をやることはたぶんできないと思うんです。そういうところをわたしたちのようなEMSに委託してもらい、スタートアップの方はそれ以外に集中してもらうということを提供できるし、していきたいなあと思って始めたところはあります。

── なるほど。逆に岩佐さんはどうですか?

岩佐 サラッと言うの難しいですね~。(スタートアップには)見えていないものが9割あるというのは中田さんがおっしゃるとおりだと思うんです。

 スタートアップを始めた人に見えているモノづくりはこれくらい(小さく手をひろげる)、実際のモノづくりはこれくらい(大きく手をひろげる)ケアしないとモノづくりできないんですけど、その9割を可能なかぎり情報開示してほしい。

 だから中田さんと逆になっちゃうんですが「巻き取ってあげるからケアしない」というのは逆で、金払ってもいいから1人で全部やれるようにしてほしい。

 たとえば中田さんにおんぶにだっこでやったらできちゃうと思うんです。でもそうなったらVAIOさんから離れられない。どんな人を採用していいかもわからない。ハードウェアスタートアップってすべからく行く末は大メーカー、少なくともGoProくらいの世界は見えなきゃいけなくて。こちらからすると全部教えてほしい、開示してほしい、教育してほしいと。それはお金を払ってもいいなと思ってて。

 EMSの立場からすると絶対嫌だと思うんですけど、部品相場とかスタートアップは知りたいんですよ。

── 「こんな値段するんだ~」と思ったら、もっと安く調達できたり。

岩佐 そう!だってみなさんわかんないでしょ?VAIOのネジ1本いくらとか。M2の4mmビスいくらみたいな。VAIOの箱いくらとか。iPhoneの箱にいくらかかってるとか。教えてくれないんですよEMSは。とくに日本のEMSは。

 でも、本当にスタートアップが知りたいのは「こういうふうに箔押しを1箇所に入れたら0.1ドル上がる」とか「全部ブリスターパッケージ(プラスチック包装)でいくら上がる」とか全パターン欲しいじゃないですか。じゃあこれとこれで……と数式で考えて、ああだったらこういう仕上げのこういう箱にしようと。

 電子部品からメカから生産管理から歩留まりの考え方まで(大手は)すごいノウハウをお持ちだと思うので、それを野に放ってほしいなと。

 アスキーが1冊10万円で売るでもいいですよ。逆にVAIOさんからすると、ただ持ってるだけだといくらにもならないものが、開示すると数千万円になって「これだけ開示してくれるVAIOさんだったら頼もうかな」となったりして。

── それ難しいだろうなあ~~。

岩佐 ドラゴンイノベーションというハードウェアスタートアップファンドの人たちはね、ハードウェアスタートアップの全体線表みたいなPDFを一時期公開していたんですよ。めっちゃ細かいんです。どこで何をやって、ESD試験はここまででやってなきゃいけなくて、ロングリードタイムパーツはこのへんで発注してとか、縦200~300行くらいのすごいものが。ああいうのをやってほしいなあと。

 あれをやってたから「ドラゴンさんすげーノウハウ持ってるなあ、あそこの投資だったら受けてみようかな」という人たちは多かったんじゃないかと。

 インターネットの時代、100の情報を出してると、1しか情報を出さない人だと、100の情報を出しているほうが「なんかすげえ」と見えると思うんです。程度問題だとは思うんですけど、どんどん情報を出してくれるとありがたいです。

── いや~~、全然サラッとしてなかったですね(苦笑)。

岩佐 本当に申し訳ないです。

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