デジタルカメラについては、その用途や求めるもの(画質など)、ユーザーの経験値などでおススメする製品は変わってくる。
ただ、春デジギアという観点で考えた時、使い勝手という点でパッと思いついたのがカシオ計算機の「EX-FR100」(実売価格4万3000円前後)である。
簡単に紹介すると、水深1.5mの撮影が可能な防水性に、高さ1.7mからの落下に耐えられる耐衝撃性、-5度までの耐寒性、防塵性を備えたカメラで、カメラ部とモニター部が分離し、モニター部からリモート撮影も、ライブビューや撮影画像の確認もできる。
この製品、見た目のイメージからアクションカメラを競合として見てしまいがちだが、ビデオカメラではなくあくまで“デジカメ”なのが最大の差異ポイントであり、魅力だと思う。
具体的に何が違うのかといえば、豊富なインターバル撮影機能と画質の良さだ。
インターバル撮影機能は、特定のタイミングで静止画や動画を自動撮影してくれる機能。EX-FR100の場合、一定の間隔(5秒~2分)で撮影する「スタンダード」のほか、「インテリジェント」「ハイキング」「サイクリング」「スノー&ウォーター」「レジャー」といった、シチュエーションごとに最適なタイミングで撮影するモードも搭載する。
インターバル撮影した静止画は、カメラ本体のみで2つの方式の動画にできる。1つはタイムラプス動画で、単純にすべての画像を1つの動画として保存する。植物の観察とか、星空の動きなどを早送り再生するような動画ができる。
もう1つは「ハイライトムービー」。カメラ側が最適な静止画や動画をチョイスしてダイジェストムービーを自動で作成してくれる。なお、撮影した静止画や動画には「★」の多い/少ないで優先順位をつけることができ、ハイライトムービー作成の際はこれも考慮される。
どちらもフルHDでの動画作成が可能で、その画質はかなり精細でくっきりしている。ビデオカメラ製品(アクションカメラ)ではここまでの精細さは得られないのではないか、と思う。
もちろん、本カメラはフルHDの動画撮影が可能なので、アクションカメラ的な使い方もできる。画質もいい、のだが……。
人は追いつめられると写真を撮ることなんて忘れる
実は、先日「フォレストアドベンチャー・小田原」という自然アクティビティー施設でアスレチックをしながらEX-FR100を体験する、というイベントに参加したのだが、そこで長い動画を残すことが必ずしもいいとは言えないと感じた。
約5時間ほどのアクティビティーだったが、それをずっとビデオとして保存すると後で編集が大変だ。一方で、ここぞというときだけ録画を開始するというやり方もあるが、それはそれで操作がいちいち面倒だったりする。
特に、今回のアクティビティーはアスレチックと言っても難易度が高い。数十メートルもの高い場所にハシゴとかロープとかで上り、木と木の間を綱渡りし、ジップラインで一気に下る、という行為の繰り返し。ハーネスを装備して常に命綱をつけるという、一瞬も気を抜けない感じであった(命綱があるし、事前のレクチャーに従えば安全であるが)。
そんなシチュエーションでの録画のオン/オフ操作は、可能だができればやりたくない心境となる。ましてや、カメラを構えての静止画撮影なんて、すっかり忘れてしまう。
その点、EX-FR100のインターバル撮影を設定しておけば、適切なシーンを静止画や動画で勝手に保存してくれる。そして、後でハイライトムービーを作成すれば、勝手にムービーを作ってくれる。とにかく手がかからないのだ。
EX-FR100はデジカメとして見てもなかなか優秀だ。F2.8の16mm広角レンズを採用し、1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサー(有効1020万画素)を搭載。秒間30コマの連写が可能で、3軸の手ブレ補正機能も搭載する。光学ズームは搭載しないが、4倍のデジタルズームが利用できる。
そして、カメラ部はスマホで遠隔操作できるため、超小型のコンデジとしても使える。モニター部は必ずしも持ち歩かなくてもいいのだ。
なお、カシオが先日発売したばかりのスマートウォッチ「Smart Outdoor Watch」(実売価格6万8000円前後)からの遠隔操作(ライブビュー撮影など)も可能。これがあるとさらに簡単にシャッターを切れそうだが、かなり市場在庫が少ない模様。買ってしまおうか悩んでいる今日この頃である。
ハシモト
AV(オーディオ・ビジュアル)とカメラ担当。取材が多いためモバイルPCとカメラは常に持ち歩くが、歳をとるごとに重い機材を持ち運ぶことが困難となり、今やなるべく軽いPCになるべく軽いカメラが製品選択の一番の基準となる。
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