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飲食店の利益率を20%まで向上させるビジネスモデル作り

ムール貝食べ放題なぜできた?favyが語る飲食業界がそう簡単にデジタル化しない理由

2016年03月25日 08時00分更新

日本の飲食業界のポテンシャルの高さを認識させたい

資料提供:favy

 ここまで見てきた通り、70万店舗の飲食店にアプローチできる拡散力や、飲食店側の経営視点をもったリアルな営業・コンサルティングでのネットワークに、デジタルマーケティングの要素が加わっているのがfavyの強みといえる。

 キュレーションメディアでの広告ビジネスや、ホームページ作成を中心とした飲食店支援もサイクルの1つとして、デジタルマーケティングのノウハウを生かすためのベースにもなっている。デジタル領域でしかなかった部分に、”価値のある”リアル店舗側での情報が加わることで、一気にプラットホーム全体のもつ意味が変わってくる。ビジネスの柱となるのはマッチングの部分だ。ここで成功例を提案できれば、その成功商材はより全国に拡散されやすくなってくる。

 たとえば店舗に入れるデジタルでのソリューション1つとっても、favyがテストで改善を繰り返せば、さらに広くの店に広めることができる。あとは、どうやって価値を乗せるかだが、その点はマネタイズ社が得意としていた領域だ。ムール貝のような地方に眠る独特な食材開拓から、飲食店での販売方法の改善やマーケティング支援、メーカーとのタイアップなど、できることは数多く見えている。そしてC by favyのような実践場では、「素晴らしい食材を見出し、プロの料理人が創りだす食材の新たな価値を、 実店舗とメディアを通じてお客様と共有」ができるというわけだ。

注文を受けてから切り分けるこだわりの「生ハム」もC by favyから広める食材提案の1つだ

 ビジネスが好調に推移していることから、「目下、社員増員を進めていく計画。来期中には100人の増員を予定している。オフィス兼店舗も2店舗目をオープンし、現在のビジネスの深掘りと拡大の両方を実現したい」と髙梨氏は強気の計画を掲げている。

 店舗を訪れる顧客のデータを獲得するために、C by favyの調理スタッフは全て自社社員。さまざまなビジネスの試験の場でもある店舗では、ビジネスの深掘りへの対応が求められる。

 「店舗についても、もっといろいろなパターンが必要になるので、深掘り、拡大の両方が必要になる。これを実現するためには、これまでやってこなかった株式上場も必要になると考えている」

 マネタイズ社、さらにその前職時代から飲食店をからめたマーケティング事業の経験があった髙梨氏だが、やはり実店舗の立ち上げ、運営を行ってみて、「コンサルティングをやっていたときに想像していたこととは、違うこともたくさんあった」と語る。

 「例えば店舗の調理スタッフや仕入担当と仕入れ業者の間にしがらみや商習慣があって、計画していたことがうまく進まないといった、リアルに店舗をやってみないとわからないことも色々ある。そういったことを差し引いても、飲食店のビジネスモデルを変えることは、挑戦すべき課題だと思っている。2020年は、日本の飲食業界が世界に試されるタイミングとなるが、そのときに日本の飲食業界はポテンシャルが高い業界だと認識させたいと思う」

 飲食産業を大きく変えていこうとするfavyの取り組みは、始まったばかりだ。

 「飲食店が20%の利益率を獲得するためには、現在の飲食産業の市場規模18兆円から3兆円くらい拡大させないといけないと算出している。それを実現するポテンシャルが日本の飲食産業には十分にある」と髙梨氏は語った。

●株式会社favy
2015年7月設立。長らくデジタルマーケティングの企画や運用を手がけてきた髙梨氏が飲食市場に特化したマーケティング支援事業として別会社として創業。
これまで自己資本が中心で大型の調達はなかったが、飲食店とのつながりをより強化するための増員を予定。
社員数は2016年3月現在で26名。

■関連サイト
株式会社favy

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