大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。
スターティア 最終回(全4回)
スタートアップの経営チームと自社の経営陣などとの交流による“線と面の投資”をモットーとするスターティアのCVC。最終回の今回は、起業家との交流で重視していること、そして今後の同社のCVCの方針について、同社のコーポレートベンチャーキャピタル事業推進室の、平岡万葉人室長に話を訊いた。
うまく行かなかった時にどうなる経営者なのかを見極めるのが大事
豊富な経験を持つ平岡氏だが、それでも継続的に成長できるスタートアップ企業を見極めることの難しさはずっと変わらないのだという。
平岡氏は言う。「投資を判断するような時期というのは、スタートアップにとっても追い風が吹いていて、経営者にはオーラが出ているものなんです。しかし普通はどんなスタートアップも一度は向かい風に直面します。そのときに、経営者にそうした逆境を跳ね返す強さも求められてくるわけですが、順風満帆な時だけしか付き合っていないと、その判断が非常に難しいんですね。長く付き合っていれば経営者の志向、性格、根っこの考え方もだんだんわかってきますから、投資判断での失敗も少なくなります。特にいまはスタートアップ支援や投資が一種ブームのようにもなっていて、資金、バックアップが集まりやすいので、事業がうまくいかなくなった時のことを想像できない経営者も多いのではないかと感じています」
商談が進み、具体的な投資条件を詰める段階になれば、双方にとってフェアであると考える限り、スターティアとして投資リスクを減らすための交渉は遠慮なく行なうという。「投資業として、期待収益を最大化し、投資リスクを最小化する努力をするのは当然です。双方にフェアであるというのは、双方が常に選択肢を持っているという意味です。スタートアップが、当社が提示した条件が受け入れられない場合、他の投資家を選ぶことができ、結果的に当社は投資のチャンスを失う。逆のケースもあるでしょう。これらはフェアな取引だと思います」(平岡氏)
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