アプリ調査会社であるApp Annieは2月29日、「2015 TOP PUBLISHERS」として、2015年通期でアプリ内課金を含むアプリ売上が全世界で高かったパブリッシャー(販売元)の上位52社を選出した。52社中、日本企業のランクインは16社。52という数字は、トランプの枚数に合わされており、ランクインしたパブリッシャーには後日、App Annieから「インデックスカード」(トランプ)にして贈呈される。なお、収益額の推計は、iOSのApp Store、AndroidのGoogle Playから得られるデータを使って算出されたものだ。
ランクインした日本企業は、mixi(3位)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(4位)、LINE(5位)、コロプラ(11位)、バンダイナムコ(12位)、スクウェア・エニックス(14位)、DeNA(18位)、サイバーエージェント(21位)、セガサミーホールディングス(22位)、コナミ(23位)、ソニー(25位)、GREE(26位)、NEXON(29位)、マーベラス(32位)、gumi(33位)、KLab(39位)。
いうまでもなく、mixiは「モンスターストライク」、ガンホーは「パズル&ドラゴンズ」の売上がほとんどを占めていると思われる。モバイルアプリのジャンルではゲームが一強状態だが、LINEや6位にランクインしている中テンセント社などは、LINEやQQなどの独自のメッセージングアプリのアカウントで利用可能なゲームやサービスなど充実させた結果のランクインだ。
1位はフィンランドのスーパーセル社、2位は英キング社に譲るカタチとなったが、トップ20までに日本企業7社がランクインしており、その強さがうかがえる。ちなみに、スーパーセルは日本のソフトバンクに、キングはゲームソフト大手の米アクティビジョン・ブリザード社が買収済みで、現在はそれぞれの子会社となっている。
「2015 TOP PUBLISHERS」の授賞式に参加したスクエア・エニックスの西角浩一氏は、「モバイルゲーム市場は、協業できる他社がある面白い市場」とコメント。従来、大手ゲーム会社がコンソールゲーム機向けにリリースしたゲームを、下請け会社にモバイル向けに移植させるという流れが普通だったが、現在は開発元と販売元がガッチリ手を組んで、ダブルネームでアプリをリリースすることも珍しくなくなってきた。
例えば、最近CMでよく見かける「剣と魔法のログレス」は、運営をマーベラス、開発をエイミングが手がけている。エイミングは自社で開発・運営するゲームを多数抱えながらも、同業他社と手を組んだカタチだ。
また、「マーベルツムツム」は、NHN PlayArtがアプリを開発し、mixiが販売元となっている。前作「ディズニーツムツム」の販売元はLINEで、開発元はNHN PlayArt。超人気ゲームの新作をこれまで組んでいたLINEではなく競合のmixiからリリースするという、他業種では考えられない展開だ。
App Annie代表のバートランド・シュミット氏によると、モバイルアプリ市場は今後はアプリ内課金での売上比率がさらに高まる傾向にあるとのこと。またApp Annieの推計では、2015年に約4兆6400万円(411億ドル)だったモバイルアプリの年間総収益は、2016年には約5兆7500万円(509億ドル)と24%増加し、2020年には約11兆4000万円(1011億ドル)に倍増すると予想。
そして、2020年までの伸びしろのほどんどを占めるのが中国を筆頭とするAPAC(アジア太平洋)地域となっている。現在、新興国を中心にアプリ内広告の収益比率が高いが、日本では圧倒的にアプリ内課金。各国でスマホアプリ市場が成熟していくにつれ、無料でインストールできるが機能やアイテムの追加には料金が発生するという、アプリ内課金のスタイルが定着していくのだろう。
シュミット氏は、非ゲームの市場の拡大にも言及。2015年の年間総収益では全体の15%程度の約7112億円(63億ドル)しかない非ゲーム市場が、2020年には24%の約2兆98000万円(264億ドル)になると予想した。非ゲームで特に注目されているのが、映像や動画のストリーミングとマッチングサービスで、これらのサブスクリプションサービスが市場を牽引していくそうだ。
(2016年3月2日 16:45訂正)NHN PlayArtとLINEは現在、直接的な資本関係はありません。お詫びして訂正いたします。週刊アスキーの最新情報を購読しよう
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