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MWCのクアルコムブースで5Gが東京五輪に間に合う理由がわかった

2016年02月27日 21時00分更新

 MWC2016のクアルコムブースでは、今後導入が見込まれている「LTE-U」や「X16」などの高速通信技術の展示を行なっていた。これらの技術はいわゆる5Gとしての活用が見込まれている技術だ。

X12モデムによるLTE-Uの技術解説。ライセンスバンドとアンライセンスバンドをアグリゲーションして通信を行なう

無線LANで用いられている5GHz帯で
LTEのデータ通信を行なう「LTE-U」

 LTE-Uは「LTE Unlicensed」の略称。これは無線LANで試用されている5GHzの帯域を使ってLTEの通信を行なう方式だ。一般的に免許不要で割り当てられている5GHz帯は、携帯通信会社が割り当てられている帯域よりも幅が広いため、より高速で通信が可能となる。

LTE-Uのデモ機を使って、会場で実際に通信テストをしていた

LTE-U用のスモールセル(基地局)も開発済

 すでに同社のSnapdragon 820はLTE-Uに対応しており、そのほか対応するモデムチップやRFICを登載したスマホなら、すぐにでも実用できる段階まできている。LTE-Uが利用できれば、既存のLTEバンドとアグリゲーションさせることができ、通信の高速化が見込めるわけだ。

クアルコム本社で行なわれている「LTE-U」の実証実験の様子をモニタリング

 ただしLTE-Uには、同じ5GHz帯を使う無線LANとの電波干渉が懸念されており、正式な規格化がいまだ成立しておらず、公的機関も含めてメーカーや通信キャリアが規格策定に動いている段階だ。そこでクアルコムはLTE-Uと無線LANを同時に通信する実証実験を行なったうえで、電波干渉などが起きていないことをアピールし、規格策定への足がかりとしている。

4×4MIMOと256QAMの導入で下り最大1Gbpsを目指す

 さらにLTEでの通信に、複数のアンテナを使って通信を行なうMIMOを用いたデモも行なわれており、Snapdragon 820にも組み込まれているX12モデムでは4×4のMIMOで下り最大400Mbps。次世代のX16モデムでは同じく4×4MIMOながら、変調方式に256QAMを採用するなどで下り最大1Gbpsの通信が可能となっている。

ソニーモバイルと共同で開発した実験機で、X12モデムの下り400Mbpsのデモ

X16モデムのリファレンスモデル。ブースでは900Mbps台後半とほぼスペックどおりの通信速度を披露

 現地担当者によると、これらはいわゆる5G(第5世代移動通信)に活用されていく技術で、4Gでの基本技術をブラッシュアップしていく形で実現するのだという。そのため、2G→3G、3G→4Gのときのように急激な変化にはならないとのこと。

X16モデムの解説。10本のストリームを同時に受信することで高速化を実現

 実際に5G規格は2018年から2019年に策定されるRelease 16で標準化が進められるが、それまでに上記のような技術が市場に導入されていれば、標準化が決まった時点ですでに5Gに移行しているというわけだ。

 技術的な開発はクアルコムでのデモでもわかるように十分進んでいるので、これなら東京五輪開催の2020年には5Gが普及し、高速通信を使ったサービスなどが利用できることになる。快適な通信インフラを実現した東京五輪の開催に期待だ。


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