MWC 2016で新製品を発表したのは大手メーカーだけではありません。中国の中堅メーカー、ジオニー(Gionee)も昨年のMWC 2015に引き続き、今年もフラッグシップとなるスマートフォン「Gionee S8」を発表しました。
「Gionee S8」は2016年のフラッグシップモデルとなるハイエンドスマートフォン。CPUこそMediaTekのオクタコア「Helio P10」ですが、メモリーは4GB、ストレージ64GBと十分。5.5型フルHD解像度の有機ELディスプレーの下には指紋認証センサーを兼ねるホームボタンも備えます。本体カラーはゴールド、ローズゴールド、グレイの3色。価格は449ユーロ(約5万5400円)と強気の設定です。発売は2016年3月からとのこと。
Gionee S8の背面にはiPhoneなどにみられるアンテナのギャップ(線)が一切ありません。背面全体を継ぎ目のない1枚の金属で仕上げた構造は世界初とのこと。しかしこの構造でもアンテナ感度には問題はないとのことです。なお、対応する通信方式は販売国により異なりますが、ベースモデルとなる中国向け製品はFDD-LTE、TD-LTE、W-CDMAなどに対応します。
横幅は74.9mm。これは同じ5.5型ディスプレーを搭載する「iPhone 6s」の77.9mmやファーウェイ「Mate S」の75.35mmよりも狭く、ジオニーによると横幅サイズは世界最小とのこと。
カメラは1600万画素でF値は1.8、RWBセンサーにより暗いシーンでの撮影も得意とします。写真へのエフェクトとして最近流行りの美顔効果だけではなく、肌の色も美しく自然な色合いに仕上げる美肌効果も搭載。肌の露出の多い夏など、女性ユーザーには受ける機能かもしれません。さらには動画の撮影にも美顔効果が利用できるとのこと。カメラ回りは女性ユーザーの利用を強く意識しているようです。
そして、ディスプレーを指先で強く押して操作が可能な“3Dタッチ”にも対応しています。3Dタッチはこれまでファーウェイ、アップル、ZTEが採用していますが、中堅メーカーでの採用はジオニーが初めてでしょう。Gionee S8の3Dタッチはアプリアイコンのタッチでサブメニューの表示、待ち受け画面で背景の画像をアニメーションのように動かす、写真をタッチしてプレビュー画面を出す、といったことができます。
“Edge Bar(エッジ・バー)”機能も搭載。これはディスプレーの左側を強く押すと、アプリのショートカットアイコンが縦に最大7個表示できるというもの。サムスンの「Galaxy S6 edge」などの“エッジスクリーン”と類似の操作が可能になります。なおGalaxyはディスプレーの右側を、指先で外から中央にスワイプすることでアプリアイコンが現れましたが、ジオニーはそれを発展させて3Dタッチと組み合わせた機能として実装しています。
OSはAndroid 6.0をベースにカスタマイズを加えた「Amigo 3.2 OS」。標準のAndroid OSをより便利に使いやすくする機能などが多数内蔵されています。
Amigo OS 3.2の便利な機能のひとつが、2つのソーシャルサービスアプリの同時起動。Gionee S8はWhatsAppのアプリを2つ立ち上げ、それぞれで別のアカウントを使うことが可能です。また、WeChatでも同様に2つのアプリ、2つのアカウントの同時利用が可能。
ということは、応用すればLINEなど他のソーシャルサービスも2つのアカウントを1台のスマートフォンで使えるようになるのかも。Gionee S8の日本での発売は現時点ではおそらくないでしょうが、もし将来日本に上陸するならぜひLINEのデュアルアカウント利用に対応してほしいものです。
ジオニーは今回のGionee S8発表と合わせ、ブランドロゴも一新しました。新しいロゴは人の笑顔、つまりスマイルをモチーフにしたアイコンになっています。より使いやすいスマートフォンは人々を幸せにする、つまりスマイルを与える、という意味からこのロゴを採用したとのこと。
実機を手に持ってみると、確かに横幅の狭さを実感できます。ディスプレーの側面もわずかにカーブを描いているのでグリップ感も増しており、片手で持つのも問題ありません。
本体を裏返してみると、確かにギャップがありません。また金属製のため高級感もあります。新しいジオニーのロゴも上部中央に配置されています。
最大の特徴である3Dタッチ、画面を指先で強く押すとすぐにサブメニューが表示されます。このあたりの使い勝手はiPhoneと大きくは変わらないかもしれません。
そしてサイドにアプリアイコンを呼び出せるエッジ・バー機能。指先を離すタイミングによっては待ち受け画面の編集モードとなってしまいます。ディスプレーの左側を強く押したらすぐに指を離せばアイコンが表示されるのですが、慣れるまではややもどかしさを感じます。
日本でもSIMフリー端末が増えていますが、Gionee S8は金属製のボディーに高画質カメラや3Dタッチを搭載した意欲的な製品です。5万円の価格もこの質感なら十分納得できそう。ジオニーは主に東南アジアやインド、アフリカなどの新興国に進出していますが、Gionee S8クラスのハイエンドモデルなら先進国でも十分通用するでしょう。ぜひ日本などにも製品展開してほしいものです。
「Gionee S8」の主なスペック | |
---|---|
メーカー | Gionee |
ディスプレー | 5.5型有機EL |
画面解像度 | 1080×1920ドット |
CPU | MediaTek Helio P10 (オクタコア) |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 64GB |
バッテリー | 3000mAh |
カメラ | 1600万画素 (インカメラ800万画素) |
SIMスロット | microSIM×2 |
サイズ | 74.9×7×154.3mm |
重量 | 147.2g |
発売時期 | 2016年3月 |
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります