VAIOがWindows 10 Mobileスマートフォン「VAIO Phone Biz」を2月4日に発表しました。トリニティのNuAns NEOに続く国内2機種目のContinuum対応端末として、また何かと話題になった日本通信の「VAIO Phone」のイメージを払拭する端末として、4月の発売が期待されます。
VAIO Phone Bizがビジネス用途を中心に据えた理由
VAIO Phone Bizの特徴は、「Biz」という名前通り、法人向けを中心に打ち出してきた点にあります。たしかにこれまでにもWindows 10 Mobileの端末メーカーは、ビジネスユースを意識しているという点で一致していました。
しかしVAIOは法人展開にあたってNTTドコモや日本マイクロソフトの本格的な協力を得ており、一歩抜きん出ています。発表会のレポート記事を見ても、個人でも買えるのかどうか疑問を抱く人が多かったのではないでしょうか。
もちろんVAIO Phone Bizは個人でも買えるもので、VAIOの直販サイトやMVNOなどのチャネルで販売予定となっています。ただ、具体的にどういった個人がターゲットかといえば、企業のシステム管理者が個人的に購入するとか、自営業の人がビジネスに使うなど、何らかのビジネス利用に絡んだ個人を想定しているようです。
その理由としてVAIOは、「Windows 10 Mobileには一般ユーザーが楽しめるようなアプリやゲームが少ない」と指摘しています。何も知らないユーザーがVAIOという名前だけで買ってしまうと、ちょっとした「ミスマッチ」が起きる可能性があるというわけです。
そういうシビアなラインにあえて挑戦するというよりも、各社はビジネス用スマホという手堅い需要を狙っています。つまりWindows 10 Mobileを「会社支給のスマホ」として売り込もうという作戦です。
会社支給の「2台目」需要を狙うWindows 10 Mobile
最近では個人用と会社用でiPhoneを「2台持ち」しているビジネスパーソンをよく見かけるようになりました。会社から支給されたiPhoneには、社内の管理規定などに基づき、業務用のアプリだけを入れて使うのが一般的です。
こういった使い方なら、高価なiPhoneではなく安価なAndroid端末で十分ではないか、という指摘もあるでしょう。しかしセキュリティ面などで、Androidに不安を感じる企業が多いのも実情です。
つまり業務アプリをしっかり使える程度の性能があり、会社支給に適した手頃な価格で、かつセキュアで管理がしやすい端末として、Windows 10 Mobileはユニークなプラットフォームになる可能性があります。
問題があるとすれば、iPhoneとの使い勝手の違いです。企業がiPhoneを選ぶ理由のひとつとして、「従業員がすでに慣れている」という点があります。もし使いこなしに時間がかかったり、余計な手間が増えるとすれば、数万円程度の端末価格の差はすぐに帳消しになるでしょう。
たとえば日本語キーボードについても、富士通のARROWSシリーズが搭載するATOKのように、「キー配列をiPhone互換にする」などのモードがあれば、より移行しやすくなると考えられます。
MWCでWindows 10 Mobileの新規参入に注目
米国ではここ最近、「Windows Phoneは死んだのか?」という議論が続いています。米マイクロソフトの最新の四半期決算で、Lumiaシリーズの販売台数が前年比で半減したという大きな落ち込みが明らかになったためです。
2016年7月から始まるマイクロソフトの次の会計年度で、Windows 10 Mobileの扱いがどうなるのかは気がかりです。また、2月22日からバルセロナで開催予定のMobile World Congressにおいても、マイクロソフトは毎年恒例だったプレスイベントの予定を発表していません。
一方、しばらくWindows Phoneの新製品が途絶えていた日本では、Windows 10 Mobileになってから急に盛り上がりを見せています。世界的に見ても、日本市場はこれまでとは逆の意味で特異な状況になりつつあります。
MWCでは米HPや中国Xiaomiなど、これまでにないブランドからWindows 10 Mobileが登場するとの見方が強まっています。まずはMWCにおいて、Windows 10 MobileがCES以上に存在感を示すかどうかに注目したいところです。
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