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Amazon・楽天が扱えない品で勝つ BASEがつくる20万超のネットショッピングモール

2016年02月05日 07時00分更新

PayPalに憧れて始めたサービス

 「こだわりは、ユーザーの無駄な時間をとらない、最低限の時間で最高のアウトプットを提供するプラットホーム。そこが結果的にUI・UXが優れているという言われ方になっている。現在はモール化を頑張っているが、PAY.JPもそう。売る人にも買う人にも簡単、というところでやっていることは変わらない。すべてにそのコンセプトはある」(鶴岡代表)

 BASEには現在、ECサイト開設だけでない、もう1つのサービスがある。

 2015年9月7日、新たに決済事業へ参入して始まったのが “PAY.JP(ペイ ドット ジェーピー)”だ。決済機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を活用して導入するもので、月1000万円までを手数料無料としている。ECとの連携も当然強く、直近ではアカウントを作れば、PAY.JPを導入しているECサイトで自分のアカウント情報を入力するだけで商品を購入可能にする動きもある。

PAY.JP

 ネットショップと決済は切り離せないもの。学生起業家だった鶴岡代表のエピソードで有名なのは「お母さんも使える」といったくだりで、BASEが事業のメインとして始まったように見えるが、実は異なる。

 「もともとは決済をやりたいというのが本当の最初。事業の基礎にあるのは、学生時代にPayPal(ペイパル)のサービスに憧れたこと。それが好きで、ペイパルの世界観をつくりたいと思った。ただ、いきなり(決済のサービスを)つくってもマーチャント(加盟店)を集めるのも大変。それに決済は大人の世界、いきなり学生の話を聞いてもらえるかわからなかった」

 将来の決済サービスを見て、その準備のために誕生したのがBASEだった。「もともとは決済をやりたいというのも、誰かの持っている価値を世の中に出したいから。インターネットに最適化されている価値の交換システムをつくれればいいと思っている。BASE、PAY.JP自体のサービスがすごくやりたいわけじゃなく、たまたまそういう順番になったというだけ。もっとインターネットを簡単にしたいという思いが根底にある」

「決済はたやすいビジネスではない」

 現状、大きな方向性として、BASEとPAY.JPは全く別のプロダクトで依存関係はないと鶴岡代表は明言する。結果的にBASEが一利用店舗としてPAY.JPを使う形はあるかもしれないが、メンバーも別でそれぞれに独立採算制をしいた体制になっている。

 スタートアップやベンチャーによる決済サービスにとって、顧客となる加盟店舗を集める仕組みづくりは容易ではない。そのような部分でBASEのリソースを生かすことはあるが、どちかが片方のサービスに依存するものになってはならないという。

 「決済はシビアな世界、たやすいビジネスではないと思っている。BASEよりも長い規模、5年から10年の規模で見ている。BASEについてはあと2年くらいで形になるが、PAY.JPはさらにその先の未来に対するベットという扱い」

 理想とするのは、クレジットカード手数料分を店舗側に返せるような世界観だ。将来的な5年から10年でのロードマップというのも、インフラレベルでの改変をにらんだ見立てだ。「もっと手数料は安くなると思っていて、中間の階層も省ける。その分を加盟店に返せる。通貨の交通料を出来る限りゼロに近づけたいし、本来あるべき姿はゼロだと思っている。既存のスキームでは安くする限界値がある」

 オンライン決済ひとつとっても、Apple PayやAndroid Pay、中国のALIPAY(アリペイ)と比べてクレジットカードはセキュアではない古い概念だと鶴岡代表。もっと簡単にできるソリューションはすでにあるが、日本ではさらに進化の余地があるとビジョンを語る。

 「(BASEもPAY.JPも)2個ともまだ成功しているとは言えない状況。成功する可能性は十分にあるが、まだまだ世の中的には何を言ってるんだろうというフェーズ。次代を意識したサービスなので現状では競合がどうこうという市場じゃない」

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