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ラスボスを支えたのは人間だった

NHK紅白に"弾幕"流した男 小林幸子"ラスボス"舞台裏

2016年02月03日 17時00分更新

本当は「恵梨沙」使いたかった

── 使われたのはオープンソースのアウトラインフォント「M+」です。

コメントはレンダリングした結果を出すわけじゃなく、リアルタイムレンダリングなので、システムにフォントをインストールする必要があったんですよ。それもあってフリーフォントということもあったんですが、すんなり考えたら、面倒くさくないのはIPAですよね。でもIPAじゃ面白くない。ちょっとこだわりたいと。※

※IPAフォント:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が開発した、商用・非商用にかかわらず無料で使える日本語フォント。「IPAゴシック」「IPA Pゴシック」「IPA明朝」「IPA P明朝」の4種類がある

── M+には派生フォントもいろいろあります。

雰囲気としては「Rounded M+」(M+派生フォント。作者:自家製フォント工房)もよかったんですが、ここはオリジナルのM+を尊重しようと。IPAとの合成フォントもありましたけど、まあM+にない文字なんて出なくてもバレないだろと。だったらオリジナルのM+を入れておきたい気持ちの方が勝ちました。

── 小林幸子さんの「ネットの意思を身にまとう」という意志を汲んで、オープンソースフォントを使うことにしたという流れでしょうか。

そうなんですよ。ただ、これは自分がおっさんだからなんですが、本当に入れたかったのは「恵梨沙フォント」(ELISA.FNT)なんですね

※恵梨沙フォント:8×8ドットのフリー日本語フォント。もとはNIFTY-ServeのFYHPフォーラムメンバーNORIさんをはじめとする開発プロジェクトメンバーが、HPのパームトップ「HP 95LX」を日本語化するために作りはじめたもの

── 恵梨沙フォント!!

みんながよってたかって集まって作っていった。昔っからやってたおっさんにしか分からないとは思いますが、「みんなの力が集まって」というところでは恵梨沙フォントが似合うんです。でも、どう考えても8ドットフォントは合わない……

── そりゃそうですね。

でも、M+にしてもまさか気づかれるとは思わなかったですよ。本当に。

── システムとフォントの話は聞きました。コメントを表示部にあたる「メガ幸子」のLEDに流すときの苦労はありませんでしたか?

一ヵ所あったのは、羽のLEDが広がることですね。

── どういうことですか?

羽には短冊形のLEDが並んでいて、最初はそこに「放射上にコメントが飛んでいく」と聞いていたんです。しかしそのうち「コメントは横に流れてナンボだろ」という話が出てきた。コメントをきれいに横に流れさせるためには、完全に造作されて完成したLED(羽)に対して位置合わせをしないとガタガタになってしまう。それは意外と大変なんじゃないかと気づいたのが、12月21日のことでした。

── 10日前ですか。でも、まだ早めに気づけてよかったですね。

でも、衣装をぜんぶ広げて映像テストができる機会なんてそうそうないんですよ。なので前日のリハーサルでライブコーディングして、キャリブレーションツールをつくって。テストが終わって撤収するまででキャリブレーションして、位置合わせやったらなんとかきれいになりました。

── めちゃくちゃ綱渡りじゃないですか……

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