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ラスボスを支えたのは人間だった

NHK紅白に"弾幕"流した男 小林幸子"ラスボス"舞台裏

2016年02月03日 17時00分更新

決め手は「人力フィルター」

── 具体的にはどういう障害を想定したんですか?

まず、どんなコメントがどれだけ来るかわからない。「あるコメントが来たらシステムが落ちる」ということも、実装によってありえます。それが読めないため、ニコファーレで使っているシステムを2式用意して動かしても、コメント由来のバグを踏んだら2つ同時に落ちてしまう。それじゃバックアップにならないと。

── どうしたんですか。

Unityでまったく同じ動きをするクローンを作ったんです。コード流用ゼロで。

── そんなことできるんですか!

別のスタッフがまったく同じ演出を動かして、コメントを出すところだけつくったんですね。コメントの出し方は決まってるので、その方法にのっとって生放送をすればいい。Unityで「副」を作ることで、正・副の2つができたんです。

── それでバックアップが担保できたと。

あとは、ネットワークが落ちたらコメントが落ちます。エマージェンシーとして、生放送じゃないけどそれっぽいデータを作った。「正・副・エマージェンシー」の3方向を作り、ボタン1発、マウス1つですべてを切り替えられるようにしたんです。これでシステム上に何が起きても大丈夫だと。

── その装備で本番に備えた?

いや、まだあります。コメントの中身です。

── NGワード指定じゃ足りないんですか?

いくらNGを強化しても変なコメントが出るのは避けられないんです。いわゆるネガティブワードだけじゃない「番組に出したくない単語」というのもあります。そこで99.999%の精度を求めるためにはそれじゃいかん。それで今回採用したのが、「全部人の目で見る」。

── じ、人力フィルター!

でも、人がチェックすることでリアルタイム性が落ちたら話にならない。実況コメントを現地に入れたい。盛り上がりで「すげえ」と入れたいし、サビの終わりには「88888888」と入れたい。そこにウソはつきたくなかった。タイムラグをおさえるにはどうすれば、いかに短い時間で人の目でチェックすべきかと考えたんです。

── どうしたんですか。

10人の監視員を置いて、来たコメントが入力された瞬間、空いているに端末に表示するようにしたんです。まっくらな画面にコメントがポンと表示されて、「アリ」「ナシ」を判定してボタンを押す。

── めちゃ人力ですね……その機構、今回のために開発したんですか?

はい。1から作りました。

── そこまでやる必要あったんでしょうか。

正・副と人力フィルターは、話を聞いたときから「やった方がいいだろ」と。個人的には「荒れることはないだろう、絶対盛り上がるはずだ」と思ってたんですが、そこに100%を求めていくことに紅白の重みを感じました。

── ツイッターではコメントに使ったフォントも話題になっていましたね。

あっ、あれはかなりわたしの趣味が入ってるんですけど……。

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