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CESでのラスベガスの通信環境を振り返る

ソフトバンクの「アメリカ放題」は便利だが、品質は疑問

2016年01月20日 10時00分更新

 今年もCES 2016が無事に終わりました。そして今年もやっぱり苦労したのが通信環境です。世界的なテロ事件の影響により、会場入口で簡単な手荷物検査があるなど緊張感があったものの、取材の大変さも例年以上。本来、楽しいリゾートのはずのラスベガスですが、辛いCESの印象が強すぎて個人的にはあまり楽しめなくなってきました。

 そして今年もやっぱり苦労したのが通信環境です。

ラスベガスといえばCESのつらい取材を思い出してしまう体質に。

宿のWi-Fiが使えない

 CESといえば、あまりにも多くの人がホテルのWi-Fiを使うため、速度低下に悩まされるのが定番です。ただ、筆者が滞在した安ホテルはCES以前からWi-Fiが使い物にならない状態で、LTEに頼らざるを得ませんでした。

 米国は、大手キャリアやMVNOを含め、データ通信のプラン自体は充実しています。ただ、日本と同じくネットワークがキャリアごとに異なるため、それぞれに対応したスマホやWi-Fiルーターを用意しなければならないのが難点といえます。

ラスベガス空港にあるAT&Tの自販機。スマホやルーター、SIMカードからヘッドフォンまで揃うので、手ぶらで来た人でも安心だ。

 最も確実なのは、使いたいキャリアのルーターとSIMカードをセットで買ってしまうことでしょう。あるいは、SIMフリー版のiPad mini 4のように幅広いバンドに対応したデバイスを用意するという手もあります。

キャリアごとにバンドが異なる米国では、使いたいキャリアのWi-Fiルーターごと買うのもひとつの手だ。

便利だけど通信品質は低い『アメリカ放題』

 米国でいちばん便利な通信手段といえば、なんといってもソフトバンクが提供する『アメリカ放題』です。このアメリカ放題を使うために、筆者はドコモからソフトバンクに乗り換えたほどです。

 アメリカ放題ではソフトバンクが買収したスプリントのネットワークを使うことで、米国でも日本と同じ感覚で音声やデータ、テザリングを利用可能。SIMカードを入れ替える手間もなく、飛行機を降りて即つながるという点では、他キャリアが1日最大2980円で提供しているデータローミングと同じ感覚です。

 ただ、問題はスプリントの通信品質がかなり低いという点です。ラスベガスでもカジノやレストランで圏外になり、“4G”でつながっても2Mbps程度しか出ないなど、エリアや速度には何度もがっかりさせられました。

ソフトバンクが2年をかけて改善を進めるスプリントだが、CES 2016のラスベガスでも通信品質は低かった。

レストランで圏外になると、待ち合わせている人と連絡がつかず、グルメ写真をリアルタイムに共有できないなど実害は大きい。

 対するT-Mobile USも、ユーザーが増えてきたせいか混雑している印象はあるものの、まだまだスプリントよりは快適でした。2年間をかけてソフトバンクが進めているというネットワークの改善が実現すれば、日本人にとって米国で最も便利なキャリアになる可能性を秘めているだけに、今後に期待です。

スプリントはプリペイド端末も販売しているが、現在の通信品質では、同じ値段なら他のキャリアを選びたいところだ。

アップルに対抗?『Microsoft SIM』にも期待

 結局のところ、筆者がCES 2016でメインのデータ回線として使ったのは、Apple SIMで契約したT-Mobile USのデータプランでした。

 さらに1月上旬には、Apple SIMに続いてマイクロソフトも『Microsoft SIM』を提供することが、専用の管理用アプリの説明文から明らかになっています。

 日本マイクロソフトはこのMicrosoft SIMについて、日本での提供時期は未定としているものの、すでにKDDIはApple SIMに対応していることから、早期対応を期待したいところです。

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