みなさん、こんにちは。ASCII(週刊アスキー+ASCII.jp)編集部の吉田ヒロでございます。さて、Appleが開発者向けにiOS 9.3のベータ版を配布しました。通常、配布された事実以外の情報はNDA(Non-Disclosure Agreement、秘密保持契約)の範囲内なのでメディアで取り扱うのはルール違反なのですが、iOS 9.3についてはAppleが一般ユーザー向けの解説ページを公開したので、さっそく新機能をチェックしていきたいと思います。
Night Shift
プレビューページには、「A Better experience every day. And night」という見出しが付けられているように、夜を意識した改良が加えられています。その代表格が「Night Shift」(ナイトシフト)機能。
この機能を利用すると、現在時刻や現在地などから日没の時間を算出し、日没後はiOSデバイスの画面のカラーバランスを暖色系に調整してくれるというもの。要するにブルーライトを軽減してくれます。賛否ありますが、ブルーライトを浴びると睡眠のリズムが狂う可能性があるので、この問題を解消する機能のようです。詳細は不明ですが、色温度を自動調整してブルーライトを軽減する仕組みかと思われます。
Notes
「メモ」(英語版では「Notes」)アプリも機能強化されます。iOS 9からはテキストや写真、URLリンク、地図などさまざまなデータを貼り付けられるようになりましたが、iOS 9.3では、Touch IDによるセキュリティー強化と、ソート機能が備わるようです。これまでの「メモ」アプリは、iPhoneのロックが外れてしまうと中身を見放題でしたが、アプリ自体にロックが掛けられるようになれば、個人情報などの漏れては困る内容も保存できるようになりますね。また、アルファベット順はもちろん、メモの作成日や修正日で並び替えができるようになります。
News
日本国内ではまだサービスが始まっていませんが、Apple純正のニュースキュレーションアプリ「News」も強化されます。
「News」というのは、新聞社はウェブメディアなどから人気・注目のニュースを選別・抽出して表示するアプリ。「For You」というタブが加わり、ユーザーの嗜好に応じた記事を一覧可能になるようです。記事中の動画などもその場で再生可能です。「News」アプリは現在、米国、英国、オーストラリアの3カ国の記事しか読めませんが、日本でのサービス開始も期待したいところです。
Health
Appleが最近かなり力を入れているヘルスケア系の機能も強化されます。
具体的には「ヘルスケア」アプリのダッシュボード画面に、他社アプリのデータを取り込めるようになります。また、Apple Watchから取得した、消費カロリー、運動量、スタンド時間なども表示可能になります。iOS 9からはiPhone自体が歩数計として機能するので、歩数、移動距離、消費カロリーなどは他社アプリを必要とせず自動的に記録可能でした。体重やエクササイズによる消費カロリー、食事による摂取カロリーの入力については、他社のアプリやデバイスとデータを共有することで実現していました。iOS 9.3では、他社製アプリの一機能を「ヘルスケア」アプリ内で利用可能になるので、同アプリだけで健康管理に役立つ主要なデータをより見やすいかたちで閲覧できるようになるでしょう。
CarPlay
iPhoneを自動車に接続することで、カーナビやカーステの代わりに使える「CarPlay」についても機能強化が図られます。
定額制の音楽ストリーミングサービスである「Apple Music」の新着の楽曲やユーザーに嗜好に合わせたプレイリストが自動生成される「For You」の情報を表示可能になるようです。また、iPhoneで一部の地域で利用可能な「Nearnby」機能も使えるようになります。これは、現在地近くのレストランやガソリンスタンド、コンビニなどの施設を検出する機能。
Education Preview
教育向けの機能強化もあります。
具体的には、iPadをマルチユーザーで使える機能。Androidなどではすでに一般的な機能でしたが、多数の生徒が利用する教育現場にとってはありがたいですね。
そのほか、教師が生徒の学習の進捗状況を一元管理できる「Classroom」アプリ、生徒のApple IDを一元管理できる「Apple School Manager」アプリなども提供されるようです。なお、ウェブページの解説を読むと、これらの機能はiOS 9.3では教育向け限定で利用可能になるようです。
iOS 9.3は現在のところ、Appleに開発者登録しているユーザーのみに公開されていますが、おそらく今後はパブリックベータとして「Apple Beta Software Program」に加入している一般ユーザーにも配布されるはずです。iOSの新機能をいち早く試してみたいというユーザーは、これを機にApple Beta Software Programに登録してみてはいかがでしょうか。パブリックベータ版とはいえ、もちろんNDA契約下での配布なので取り扱いには注意しましょう。
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