週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

外来生物による生態系被害への新たな取り組み

毒ガエルは食べるな危険、オオトカゲの訓練に成功

2016年01月12日 11時30分更新

オーストラリア オオトカゲ(Credit Georgia Ward-Fear.)

 オーストラリア・シドニー大学の研究チームは1月6日、オーストラリアのオオトカゲに外来の有毒ヒキガエルを食べないように訓練することに成功したと発表した。

 オーストラリア北西部のキンバリー地域では、外来生物の有毒なオオヒキガエルが生息している。かつてサトウキビ栽培の害虫駆除として持ち込まれて繁殖した生物だが、ヒキガエルとしては非常に高い毒性を持ち、在来のオオトカゲやワニが食べて死亡、個体数が90%以下に激減することになった(とくにワニは絶滅の危機にあると危惧されている)。

 オーストラリア・シドニー大学では、オオトカゲの個体数維持のため、ヒキガエルを食べないように訓練できるかという実験を行なった。訓練として、捕獲した若いオオトカゲを飼育し、口に含んだだけで嘔吐感を与える薬品を塗ったヒキガエルを与えて忌避感を覚えさせた。

 オオトカゲの16個体に訓練をしたのち自然に戻し、対照試験となる「訓練を受けなかったオオトカゲ」31個体とともに無線発信機を付けて18ヵ月にわたって追跡調査を行なった。その結果、訓練を受けていないオオトカゲの多くが期間中に死亡したのに対し、訓練を受けたオオトカゲのほとんどが生存して繁殖することができたという。

 生息するオオトカゲすべてに訓練をすることは難しく、またヒキガエルを食べないという習慣が世代を超えて維持されるかどうかは不明。とはいえ研究チームでは、根絶が難しい強力な外来種を対象とするよりも、脆弱な従来種を対象とした生態系維持の新しい戦略と考えているようだ。

■Amazon.co.jpで購入
この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります