イヴ・ベアールによる機能性の高いデザイン
Zoltの独特なデザインを手がけたのはサンフランシスコのデザイン事務所フューズ・プロジェクトに所属するYves Behar(イヴ・ベアール)。活動量計リストバンドのジョウボーンのデザインなどで有名だ。
同社にデザインを依頼した理由は、「かつてのダムチャージャー(いけてないアダプター)はレンガのようなものだった。(レンガのような)ACアダプターはまるでそのまま人を殺せるほど重たくて大きいものではないデザインで、持ちたいと思う”パーソナルアイテム”にしたかった」とラマナタンCEO。
米国では壁のコンセントに刺すケースが多いので、だらりとたれないようにケーブルの重心を調整し、角度をつけるなど、使いやすい工夫も多い。USB部分も、メカニカル的には意味のない加工だが、どちらが上かわかりやすいようになっている。
そのほか、最大90度まで回転する本体、からみにくいコード、延長コードと固定してずれない端子などは、3カ月間のテスト期間をベースに製作されたという。米国でのパッケージには8個ものオプション接続端子が付属しており、米国ノートPCのマーケットシェア90%に対応している。
米国での販売価格は100ドル(約1万2000円)。MacBookの充電器で言えば、米国では本体が79ドル、iPadが30ドル、iPhoneが20ドルで販売しており、合計で120ドル以下の価格設定とのことだ。
注意したいのは、非対応のPCもあるという点。Surfaceについては現時点で第2世代までで、Surface 3以降は今後のバージョンアップで対応予定とのことだ。またMacBookにも非対応のものはあるので、使用の際には公式サイトで確認が必要だ(タイプ1と2は対応済み)。
電圧は90~265Vに対応で全世界的に対応しており、ほとんどの国で使用可能。旅行者にとってもうれしい仕様となっている。
世界13億ものPC、タブレット、スマホのデバイス群を相手に
この先の展開だが、来春には日本国内でも技適を通したうえで発売が予定されている。Zoltが主要な市場として狙うのは、世界13億ものPC、タブレット、スマホのデバイス群で、1人当たり平均3個持っているモバイルデバイスをこれまでとは異なる充電方法に変えるつもりらしい。
現在は、コンシューマー展開と平行して、企業向けのOEMの商談も進めている。世界、日本のPCメーカーでのアダプターの代替品として提供し、シェアを拡大する予定だ。
試作品は米国・サンノゼの工場で開発したが、今後はコストを抑えるために製造拠点をマレーシアに移し、量産体制に入る。3カ月で月産1000~5000個、その後は月産25000~45000個を予定している。同時にPCメーカー各社などに向けOEMでのZolt提供も始まる予定だという。
「本体付属ACアダプターに加えて、セカンドチャージャーとして使ってもらうのがまずは最初。それと同時にメーカー品に上乗せするアップセルとしてもすぐに提供を始める予定。同梱版はUSBが必要ないため、もっと小さくできる」(ラマナタンCEO)
同社の本当の狙いはここから先だ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります