サムスンの考えるこれからのスマートウォッチ
そして、ウェアラブルデバイスとは?
Gear S2シリーズは過去のサムスンのスマートウォッチとはデザインも操作性も大きく異なる、全く新しい製品に生まれ変わった。「サムスンはこれまで腕にはめるウェアラブルデバイスを7機種リリースしてきました。ヒットした製品、販売数が伸びなかった製品など市場の反応は様々です。しかし、多数の製品を販売してきた結果、利用していただいたユーザーからフィードバックも得ることができました。利用者からの数多くの生の声や要望を得られたからこそ、今回のGear S2シリーズを開発できたと言えます。サムスンにとってこれらのフィードバックは今後のウェアラブルデバイスの開発にも大きなプラスになります」(カン氏)。
たとえば、Gear S2のベルトは樹脂製ながら腕に汗をかいてもベタつきがほとんど感じられない。このあたりはスマートウォッチの開発の歴史の長さがプラスに働いていると言える。また、これまでのサムスンのスマートウォッチはちょっと「懲りすぎた」クラシカルなデザインや、近未来を意識したかのようなデザインを採用していた。だが、Gear S2シリーズは機能云々以前に、腕時計として常に腕にはめておきたくなるデザインをしている。ホン氏の考えるスマートウォッチのデザインとは「機能性やファッション性の前に、まず『腕にはめる、シンプルなデザインなもの』であるべき」だという。
ところで、腕時計として使っても違和感の無いGear S2シリーズだが、そのデザイン開発は腕時計と似ている部分があるのだろうか?「腕時計は個人の嗜好が大きく表れる製品です。デザインなのか、あるいはブランドなのか、スマートウォッチを設計する際にどこに重点を置くか非常に悩みました。腕時計の様々なリサーチ結果を見ても、そこから回答や道筋は見えなかったのです。そこで我々でまずは腕時計を整理していきました。その結果出てきた回答が『シンプル』、『タイムレス』だったのです。誰もが好む、シンプルなデザイン。そして、時間が過ぎても飽きの来ない親しみのあるデザイン。そうやって生まれました。(ホン氏)
Gear S2のシンプルなデザインの実現は、製造時のコストから制限を受けることは無かったのだろうか?「何よりも重要なのは製品のデザイン。いいデザインをつくらなければそもそも製品として成り立たない。コストの話は最後」。身に着けるウエアラブルデバイスに必要なのは、何をおいてもデザインだとホン氏は力説した。
今後スマートウォッチやウェアラブルデバイスはどのような製品が出てくるのだろうか?「ウェアラブルデバイスの市場は実はまだ初期段階と言えるでしょう。これからどのような進化をしていくのか、その可能性は無限と言えるでしょう。しかも、ウェアラブルデバイスはサイズが小さいため、最新の技術が搭載されます。つまり、モバイル関連の最先端の技術を競い、それを搭載する製品の市場にもなていくでしょう」(カン氏)。
「ウェアラブルデバイスは、IT機器ではなく洋服と同じようにファッション製品となっていくでしょう。今回発表したGear S2シリーズが採用した、円形ディスプレーを搭載したデザインが完成形ではありません。技術とデザインをどう融合していくか、これからもリサーチを進めていきたいと思います」(ホン氏)。
スマートウォッチの将来像はどう考えているのだろうか?「スマートウォッチはまだスマホを超えていません。今後は時計型なのか、あるいはメガネ型なのか。いずれにせよユーザーが意識せず、自然に身に着ける製品になっていくでしょう。また、センサー類の小型化、低消費電力化が進めばより多くのセンサーの搭載も進みます。常に身体に装着できるようになれば、心拍数などの健康データを収集し、ビックデータ解析もできるようになります。医療分野への活用も期待できるでしょう」(ホン氏)。
「まだまだ普及の初期段階なだけに、そういった新しいサービスやアプリケーションとの組み合わせも考えていきたいです」(カン氏)
しかも、スマートウォッチの進化は機能面だけではない。「より高級なデザインやほかの形状をした製品など、今後出てくる製品がどのようなスタイルになるかは全く決まっていません。時計のフェースも天気や気分と連動して変わるといった機能の搭載も進むでしょう」(ホン氏)。カスタマイズが強力になり、自動設定もできる。そして、今までにはなかった形状の製品も出てくるかもしれない。スマートウォッチ市場でも存在感のあるサムスンだけに、今後の製品も楽しみだ。
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