2016年は新たなプラットフォームが台頭
レヴィタス氏に2016年のアプリマーケットについて尋ねたところ、新たなプラットフォームの台頭が予想されるとのこと。具体的には、Apple Watchなどのウェアラブル端末向け、Apple TVなどのセットトップボックス向けのアプリマーケットが伸びてくると予想しているそうです。特にテレビと直結するセットトップボックス系は、マルチプレイで家族や友人と楽しめるゲームなどが揃ってくると普及が進むのではないかということでした。
とはいえ、開発者の時間とコストは限られているため、より魅力のあるプラットフォームに注力することになると予測。現在テレビに接続できるデバイスとしてはCromecastやFire TVが売上を伸ばしているものの、長期的に見て有望なのはApple TVとのこと。App Storeが利用可能になった第4世代のApple TVはバカ売れしている印象はありませんが、今後伸びる理由をレヴィタス氏を次のように語ってくれました。
iOSのユーザーはAndroidのユーザーに比べて課金率が高く、アプリのマネタイズがしやすいとのこと。iPhoneやiPadを持っているユーザーは「金払い」がいいというわけです。具体的な数字で見ると、米国の2015年第3四半期(7~9月)のダウンロード数はGoogle Play(Android)がApp Store(iOS)に比べて90%も高いにもかかわらず、売上金額はiOSのほうが80%も高いという結果が出ているそうです。
欧州では、iPhoneのシェアが低いドイツでも、iOSプラットフォームのマネタイズのしやすさは数字に出ています。レヴィタス氏によると、同じく2015年第3四半期のドイツのモバイルアプリ市場でのダウンロード数はGoogle PlayがApp Storeに比べて125%と圧倒的ですが、売上で見るとGoogle Playが25%高いだけとなっています。ドイツでもシェアの低いiPhone(iOS)のユーザーのほうが、積極的に課金していることがわかりますね。
もう1つ面白いデータとして、米国の不動産アプリを紹介してくれました。このアプリにはiOS版とAndroid版があるそうですが、実際に家を購入したユーザーをiOSとAndroidで分けてみると、iOS版アプリから購入したユーザーの平均単価は、Android版ユーザーよりも10万ドル(約1232万円)も高かったそうです。これらはあくまでもApp Annieのデータが示す一例ですが、米国では安いものでは50ドル程度から購入できるAndroid端末に比べ、iPhoneは旧モデルのiPhone 5sでも450ドルすることから、そのぶん経済的な余裕もあり、アプリに課金するモチベーションが高いユーザーが多いと思われます。
ちなみに、Appleの発表によってiPadの販売台数は世界的に減少していることが判明していますが、アプリのインストール率を見るとここ数年大きな下落はなく一定水準を保っているとのことでした。インストール率の高さもiOSのマネタイズのしやすさに繋がっていると思われます。iPadは最新機種でなくてもそこそこ使えますし、Wi-Fiモデルには2年縛りのような制約もないので、iPhoneに比べて買い替えサイクルが長いことが販売台数減少の一因かもしれません。
テレビに接続できるデバイスとしては、Nintendo Wiiなど、ゲーム機をベースに映像や音楽のコンテンツを楽しめるものが登場していますが、Apple TVなどはこれとは逆のアプローチ。Apple TVのOSはtvOSと呼ばれるiOSの派生版ソフトウェアもiOSとは別ですが、iOSアプリのマネタイズのしやすさを考えると今後注目に値するプラットフォームと言えますね。
そのほか注目するジャンルとしては、Oculus Rift(オキュラス・リフト)に代表されるVR(バーチャルリアリティー)とのこと。VRはハードコア向けのジャンルとして定着すると考えているとのこと。
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