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FREETELの“iPhone専用”SIMカードを試す

2015年10月13日 10時00分更新

 10月9日、FREETELが業界初という“iPhone専用”SIMカード『FREETEL SIM for iPhone/iPad』を発売しました。

『FREETEL SIM for iPhone/iPad』のデータ専用SIMのパッケージ。他にもSMS付き、音声通話付きのバージョンなどが、ヨドバシカメラなどで販売されている。

 App Storeからのダウンロードが無料になるという面白い機能を備えつつ、料金プランは従来通り。しかもiPhone専用といいつつAndroidでも普通に使えるなど、通常のFREETEL SIMの上位互換となっているのも魅力です。

 筆者もさっそくこのSIMカードを購入してみたので、その使用感をレポートしたいと思います。

使用頻度にムラがある人にとって最適な“上限付き段階制プラン”

 SIMカードを買うときに悩ましいのが、料金と容量のバランスです。果たしてどれくらいのデータ量があれば足りるのか、あれこれ考えるのが面倒になった筆者は、これまで、ぷららモバイルLTEの無制限(最大3Mbps)プランを使っていました。

 とはいえ、1ヵ月に何十GBという単位で使うことはない、ということも薄々わかってきました。容量が追加できる5GBのプランか、10GBのプランなら問題なさそうです。

 また、別の課題として、筆者は海外出張が多いため、日本での固定費をなるべく減らしたいと考えていました。あまり使わなかった月のデータ量を繰り越せるMVNOも増えてきているものの、できれば月額料金自体が安くなってくれるとありがたいところです。

 その点、FREETELは100MBまでならわずか299円、以後1GB、3GB、5GBと段階的に料金が上がっていき、10GB使用時には最大の2470円(税別)になるというプランを提供しています。これは月ごとの使用量の差が大きい、筆者のような使い方によく合っています。

iPhone用SIMの料金は、これまでのFREETEL SIMと同じ。段階制なのが嬉しい。

App Store無料はどれくらいオトク?

 では、iPhone用SIMの目玉である“App Store無料”という機能はどれくらいお得なのでしょうか。

 App Storeでは、3GやLTEでダウンロードできるアプリのサイズに100MBという制限があり、それ以上はWi-Fiを使うように促されます。また、起動後に追加のダウンロードが必要な場合や、iTunesやApple Musicからの音楽や動画のダウンロードなどは、無料の対象外です。この点を見れば、メリットはかなり限定的という印象も受けます。

100MBを超えるアプリやゲームのダウンロードには、Wi-Fiが必要とされている。

 ただし、iOSゲームの中にはこの“Wi-Fi制限”を回避するためか、Wi-Fiなしで落とせる90MB程度のサイズに収めているものもよく見かけます。こうしたゲームを月にいくつかダウンロードしている人や、iPhoneの空き容量が少なく、アプリを入れたり消したりしている人にとっては、魅力的なSIMになるでしょう。

 なお、10月末までは“299円で10GB使える”キャンペーンが優先されており、App Storeが無料になるのは11月からとのことです(筆者はこれを知らずに検証を進め、10GB以上のアプリをダウンロードしたため、速度制限されました)。

使用したデータ量は、Webサイトのマイページでほぼリアルタイムに把握できる。10GBが上限のため、それ以上はカウントされないようだ。

FREETELはApp Storeの通信をどこまで見ているのか?

 ところでiOSのApp Storeアプリは、Apple IDや決済に関する通信も行っています。ここで気になるのは、FREETELがApp Storeの通信においてどのレベルまで内容を見ているのか、という点です。

 iPhone用SIMの実装について、FREETEL側は「レイヤー7(アプリケーション層)を見ている」と説明しています。App Storeアプリは認証や決済など重要な部分にHTTPS通信を用いていることから、FREETELを含む第三者が通信の内容を知ることはできません。

 しかしApp Storeに掲載されているスクリーンショットや、アプリ本体(IPAファイル)のダウンロード時には一般的なHTTP通信を用いており、技術的には経路上の第三者がその内容を知ることができます。FREETELは、このあたりの情報を見て無料にするかどうか判断しているものと考えられます。

 もう1点興味深いのは、公式サイトのQ&Aにて「ルーターでテザリングしたiPhoneからのダウンロードも無料の対象か」という質問に対し、「対象外」と回答している点です。これはどういうことでしょうか。

 一般に、レイヤー7だけを見て「Wi-Fiルーター経由かどうか」を判別することはできないはずです。しかしApp Storeアプリの挙動を詳しく見てみると、HTTPの拡張ヘッダーを用いて通信状態がWi-FiかどうかをWebサーバーに伝えており、FREETELもこれを見て判断している可能性があります。

 iPhone用SIMをモバイルWi-Fiルーターに入れ、そこにiPhoneをぶら下げれば、100MBを超える大きなアプリやゲームをダウンロードできるはずです。ただ、そのような使い方ではさすがに通信量が大きくなりすぎるためか、無料の対象外としていることが分かります。

ユーザー数の増加で“爆速”は維持できるか

 最後に、通信速度についてはどうでしょうか。FREETELの発表会で増田社長は、「どんなに安くても、”爆速”でなければ意味がない」と語っています。

 ここ最近、FREETELのSIMは速度調査でも健闘しており、IIJmioなど定評のあるMVNOより速い場合もあるようです。ただ、評判が高まると多くのユーザーが流入し、混雑することが予想されます。

 筆者がiPhone用SIMを購入した10月9日の午後、千代田区の屋外で測定してみた結果、下り速度は5Mbps前後でした。決して遅いとはいえないものの、“爆速”というからには10Mbpsくらいは出てほしいところです。

速度調査では健闘していたFREETELだが、徐々に遅くなっているという声もあるようだ。

 今後、特定用途が無料になるSIMカードは、さまざまなバリエーションが考えられます。米国ではT-Mobileが、Apple Musicなど音楽のストリーミングを無料にするサービスで人気を博しています。FREETELの次の一手にも期待したいところです。

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