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世界初「ミートキープ」を導入する六花界の話題の新店

世界一の焼肉「日本酒吟醸熟成肉」のヒミツ

2015年10月14日 12時00分更新

ふつうの熟成肉よりコスパが良い

――とてもおいしい肉。ですがこれだけのものだから、お高いんでしょう。

森田さん:いえ。日本酒吟醸熟成肉はアオカビが生えないので、通常の熟成肉より捨てる部分が少ないです。なので、おいしい肉を比較的安めに提供することができます。

――カビ。熟成肉ってアオカビが生えるものなのですか?

森田さん:そうです。ふつうの熟成肉は表面にびっしりアオカビが生えます。それは熟成の過程で必要なのですが、「衛生的にどうか?」と心配する人もいますね。最終的にカビがある表面をごっそり落として、さらに不要な部位を捨てるのが熟成肉です。実際に食べられるのは最初の6割程度になって、少量の肉でも値段が高くなってくるのはそのためです。

日本酒吟醸熟成肉を目の前でさばいてくれました。

――日本酒吟醸熟成肉の場合は?

森田さん:日本酒熟成肉の場合は、特別な方法で日本酒から抽出した酵母菌を、毎日同じ時間に表面に付着させます。熟成していく過程で水分が抜けて行ってしまうため、こうやって表面に水分を与えて肉が痩せるのを防ぎます。

――お肉に日本酒を与えていくんですね。

森田さん:そうすることで、日本酒の酵母菌の力で、肉が柔らかくなります。さらにグルタミン酸、アミノ酸がどんどん活性化していきます。加えて酒なので、アルコールで殺菌されて、表面がアオカビの生えにくい環境になります。

これが日本酒吟醸熟成肉。手前が表面を落としたもの。奥は熟成したそのままの様子。スモーキーに黒くなっていますが、カビはなくツヤツヤしています。

森田さん:さらに表面にあらかじめ、もとから落とす部位をもってくることで、実質93%くらいの肉を残せます。通常の熟成肉よりお得なはずですよ。

――おいしいだけでなくてコスパが良いときくと、私のような庶民にはたまりませんね!

月桂冠などの天才杜氏が協力

――技術の開発に全国の酒蔵さんに協力してもらったとありますが、具体的にどんな酒蔵さんの影響が大きかったでしょうか?

森田さん:具体的な名前を挙げるなら3つ。ひとつは京都の月桂冠さん。

――有名な月桂冠!

森田さん:パックの酒で知られていると思います。パックの酒は大衆的でチープなものというイメージがあって、若い人に好かれていないかもしれません。ですが、月桂冠はまちがいなく、日本で最高の技術を持っている大手です。1割ほどの酒に、パックの酒のイメージとかけ離れた本当においしいものがあります。

神田の立ち食い焼肉『六花界』の様子。グループ最高峰の新店はまたガラッと違った雰囲気に。

――月桂冠のパック以外のお酒を飲みたくなりました。

森田さん:あとは、岐阜県の御代桜酒造。『津島屋』という酒をつくっている渡邉さんという方は、東京にきてたった4年でこの酒を広めました。日本酒に関して神がかり的に素晴らしい才覚を持っています。それと、和歌山県の平和酒造の山本さんという方も天才的で、日本酒好きで有名なサッカーの中田英俊さんと一緒にイベントするくらいの方なのですが、ぼくたちにとても献身的に技術を提供してくれました。

――若手天才杜氏さんが協力してくれたんですね

森田さん:はい。この3つの酒蔵さんに助けられたのは大きいです。日本酒は、米のデンプンを糖に変質させる過程と、糖をアルコールに変質させる過程、2つを同時に行なう並行複発酵というのを行ないます。この並行福発行の過程を応用して、肉のタンパク質に変質を促す応用力というものを教えてくれました。

――やはり難しいですが、すごいですね。

世界初のミートキープとは

――“ミートキープ”について教えてください。

森田さん:話したように、日本酒吟醸熟成肉は熟成期間がかかります。そこで、来店したお客さんに、次来店するときに食べたい肉をあらかじめ注文してもらうシステムです。キープしてもらった肉は我々が責任をもって、次の来店までに店内熟成させます。

――自分のために肉が待っててくれるわけですね。

森田さん:自分が選んでキープした肉が、熟成後にどう味が変わるか。食べ比べて楽しんでもらうこともできます。

選んだ肉を自分のために熟成してくれます。

――熟成にはどのくらかかりますか?

森田さん:熟成の仕込みには40日はほしいです。でも実際には、一度来たお客さんが次来店するまで最低数ヵ月はかかるでしょう。たとえば、うちの店の会員制肉割烹『初花一家』は、一年半ほど予約が埋まっています。そう考えると、今回3年限定のオープンなので、実際に来てもらえる人は、ほんのわずかになってしまうかもしれません。

――予約が取りずらいのは切ないですが、せっかちな人が肉が熟成する前に来店しちゃう心配は、ある意味ないわけですね。

プロジェクションマッピングもすごい!

――なぜ店内でプロジェクションマッピングをするんですか?

森田さん:高級なお店で食事すると、お皿もこだわられていますよね。特別なお皿に盛られた料理はそれだけで味が変わってくる。それはわかりますよね。

――はい。

プロジェクションマッピングで360度見える景色が変わってきたら? 料理の味も変わってくるでしょう。

森田さん:日本酒吟醸熟成肉を出す時に、肉を刺身に例えるつもりです。さて、「これは刺身ですよ、どうぞ」ときいた時に、まわり一面が海に変わったら、どうでしょう。

――ゴクリ。

森田さん:潮騒をきいて食べる日本酒吟醸熟成肉は最高ですよ。テーブルマッピングを行なうレストランはほかにありますが、360度マッピングというのはありません。他では味わったことがない素晴らしい体験になると思います。

――ものすごい演出ですね。

森田さん:我々のチームには陶芸家もいて、世界中で評価されているレストランで使っているお皿と同じレベルのものを作ろうとしています。レストランのお皿はほとんどがガラスですが、ガラスでできることは陶芸でもできるでしょう。食事も演出も、ほかにはないすごいものです。この店は間違いなく日本のトップ、いえ世界のトップクラスでしょう。

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