アニソンとは「日本人が共有する音楽の原風景」である
──ないですか。
キャッチーな部分はなくはないですが、音質傾向としてはバラバラです。「アニソンとはこういうものだ」という定義もない。いまではJ-POPのタイアップも増えたし、J-POPでこの人とこの人の音質傾向が似ているというのがないですよね。
古いもので言えば、劇伴とかのオーケストラ楽団が演奏して、そこにボーカルの人も専属でやっていた。生音で、映画音楽やイージーリスニングをやっていた人たちが一環として「テレビまんが主題歌」をやっていたわけです。
子供たちの目を引かないといけない、音楽としても新しいものでないといけないということで、音楽ジャンルもなんでもあり。キューバ音楽もグループサウンズも、流行ったら取り入れる。モチーフも、音楽性も、なんでもありです。
そういう前提があるので、定義付けは意味がないんです。
──『巨人の星』のような往年の名作も、今期放送の新作も、アニメという点では同じですしね。でも、須山さんも「アニソンとは」を考えたわけでしょう。
そうですね。
──須山さんにとってアニソンとは何ですか。
それは、日本人が共有する、音楽の原風景なんじゃないかと思うんです。
──めっちゃでかい話になりました。
1963年にアトムが始まって今年で52年。いまは70年代のアニメを見て育った人たちがクリエイターになっているわけですよ。アニソンって、基本的に知らないうちにまわりに流れていた音楽ですよね。むかしのアニメなんて、1年間回されっぱなしで50回くらいは平気で聴いているわけです。そうすると、好きかどうかはともかく、かならず特定の世代で共有される音楽になるわけです。
──たしかに。
その意味でアニソンは、アニソンそのものじゃなくて、リスナーに特徴があると思うんですよね。子供のころ「魔女っ子が」と言っていた子は、大人になっても、カラオケに『セーラームーン』が入ってると歌っちゃったりする。大人になったとしても、子供のころにたたきこまれている部分は変わりません。
──そこからアニソン専用イヤホンをつくるにはどうしましたか。
『Monet』をやったときに気をつけたのは、その人が持っている「アニメの経験値」なり「記憶」をひっぱりだすことでした。
──「記憶」ですか。
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