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Editors' Lounge #01 LiNK-UP代表取締役 小田吉男CEO

『25円しゃぶしゃぶ』なぜできた 繁盛店の意外なカラクリ

2015年09月29日 15時41分更新

秋葉原@ほぉ~むカフェ

昔からあるモチーフを新しい形に応用する

「引用とは捕食である、ということです」

 週刊アスキー福岡俊弘元編集長は言う。日本書紀にしても、近松門左衛門の演目『出世景清』にしても、昔からあるモチーフを引用することで成り立っている。小田CEOの仕事にも「引用」(捕食)が強くかかわっているというのだ。

 たとえば秋葉原@ほぉ~むカフェ。

 秋葉原のビルに、アキバらしい面白い店がつくれないかと声をかけられ、秋葉原を歩いてたまたま見つけたのがメイドカフェだった。当時はまだ今ほど店舗も多くなく「アングラなところがある」(小田CEO)状態だった。

 しかしメイドカフェの非日常性に面白みを感じた小田CEOは、家族や女性も入りやすいディズニーランドのような雰囲気のメイドカフェができないかと考えた。アキバに根差したメイドカフェという形を“捕食”したわけだ。

 ねらいは当たり、見事に爆発。メイドカフェはアキバを代表する文化になり、訪日外国人客の観光スポットになった。スタッフにきちんと英語教育も施し、いまでは同店をおとずれる客の35%を外国人が占めるという。

 おもしろいのが六本木『バンカラ』(BAN×KARA)だ。

六本木『バンカラ』(BAN×KARA)

 生バンドが自分のカラオケに合わせて即興で演奏してくれるレストラン。ホリエモンこと堀江貴文氏も「ここで歌ったら他では歌えない」と激賞したそうだ。

 バンカラの“引用元”はむかしのスナック。むかしは流しのギター弾きの演奏で歌っていたが、やがてカラオケが主流になった。生演奏で歌える店は今でもいくつかあるが、歌える曲がオーナーの趣味趣向に偏っている店がほとんどだ。

 その点、バンカラは歌にあわせて即興演奏するのでどんな曲でも合わせられる。「演歌もAKBも、EDMでも大丈夫」(小田CEO)といい、最近ならボーカロイド曲でも演奏してくれる。歌い手のキーが変わったら追いかけてくれる。

「『千本桜』くろうさPがお店に来たときも、生バンドで演奏してるのを見てビックリしてましたよ」(小田CEO)

 ほかにも、注文から1~2分の素早さでステーキを出す、ステーキのファースト・フード・レストラン『ザ・ステーキ六本木』、客が阿波おどりを踊る居酒屋『新宿阿波おどり』など、小田CEOが当ててきた店は枚挙に暇がない。

 しかし、同じように新しいコンセプトを持ってきてがんばっても当たらない例はいくらでもある。小田CEOが成功できたのはなぜなのだろうか。

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