写真のようで写真でなく、動画のようで動画でない
「Live Photos」
「iPhone 6s」シリーズのもうひとつの目玉新機能といえば「Live Photos」(ライブフォト)だ。シャッターを押すと、押す前の1.5秒から押した後の1.5秒まで合計3秒の動画が記録される。
「フォト」というからには静止画部分が一番大事で、「iPhone 6s」シリーズの1200万画素を生かした写真の美しさが損なわれることはまったくない。考え方としては、撮影の前後も内蔵カメラはオートフォーカスをしたり露出補正をするために動きっぱなしなので、だったらそれを生かして同じ画角の動画を撮ってしまおうというものだ。
ビデオ撮影をする場合、「iPhone 6s」でもこれまで同様多少画角が狭くなる(35mm換算で35mm)が、Live Photosの動画は写真撮影と同じ広い画角(35mm換算で29mm)の動画となる。動画とはいっても扱いは写真とまったく一緒で、TwitterやFacebook、Instagramなどに投稿すれば、そのまま静止画として投稿される(ただし、今年後半にはFacebook公式アプリが「Live Photos」に対応する予定なので、そうなれば動画情報も一緒に投稿されるはずだ)。
iPhoneの壁紙やロック画面に指定することもできれば、Apple Watchの「フォト」盤面に指定することもできる。iPhoneもApple Watch(のwatch OS 2)も「Live Photos」に対応しているので、iPhoneのロック画面の場合は画面をプレスすると、またApple Watchの場合は画面に表示された瞬間に、写真がちょっとだけ動く。
「iPhone 6s」上では、画面をプレスしないでも、例えばアルバムに収まっている「Live Photos」をめくるたびに(3秒すべてではないが)写真が一瞬だけ動いて、自らが「Live Photos」であることを教えてくれる。
3秒の動きを全部見たい場合は画面の適当な場所をプレス(強く押す)すれば良い。
ここで気になるのが、プレス操作に対応していないiOS 9搭載機器で「Live Photos」が見られるかという点だ。実際にiOS 9をインストールしたiPhone 6にiCloud経由で転送してみたが、まったく動かなかった。
ということは、「Live Photos」は「3D Touch」に対応したiPhone/iPadでしか再生できないのだろうか。
「Live Photos」のファイル構造はシンプルで、シャッターを押した瞬間の静止画と前後3秒のQuickTime動画ファイルをカップリングしたものになっている。おそらく、これが間もなくリリースされるOS X El Capitanではひとつのファイルとして見えるのだろうが、OS X Yosemiteに付属のImage Captureというアプリで開くと同じ番号が振られたJPGファイル(写真)とMOVファイル(動画)のペアになっているのがわかる。
この仕組みなら、アップル自身が3D Touch非対応機種での「Live Photos」再生をサポートせずとも、すぐに対応アプリが出てきてくれそうだ。
「Live Photos」は、写真を撮った前後の1.5秒の動きと音がわかるというだけのシンプルな機能だが、この合計3秒という尺が絶妙で、何か特別なストーリーを伝えることはできないが、それでも十分に写真を撮った瞬間の空気感や周りの環境がわかる。
実際に色々と撮影してみると、結構、グッとくる「Live Photos」が撮れることが多く、あとはFacebookなどこのフォーマットに対応してくれるパートナーが増えれば(そしてアップル自身が旧機種でも積極的に再生をサポートすれば)、かなりの勢いで広まるのではないかと思う。
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