京セラは9月16日、日本予防医学協会とヘルスケア分野で協業し、スマホとウェアラブルデバイス「TSUC(ツック)」を用いて生活習慣の改善をサポートする「デイリーサポート」を発表した。サービスは今秋提供開始予定で、月額料金は税込み600円、「TSUC」の価格は7000円。
発表会の壇上には京セラ通信機器事業本部の野原氏が登壇。「BtoBtoBとも言えるデイリーサポートは、これまでにないサービス」と強調した。
続いて日本予防医学協会、専務理事の村瀬氏が登壇。医療費が40兆円を超えて健康保険料も増加、生活習慣病が医療費の約3割を占めるという現状を解説した。企業の年1回の健康診断では診断結果で生活を改善しようとするモチベーションの喚起が乏しいとコメント。村瀬氏は医療費の増加に対して「なんとかしなければいけない。これは我々働いている世代が対応しなければいけない」と語り、「デイリーサポート」提供の意義を語った。
京セラ通信機器戦略商品統括部の内藤氏が「デイリーサポート」を詳細を解説。「デイリーサポート」のコンセプトは“本人のセルフケアと+支援者のアドバイス”で、ウェアラブルデバイスTSUCで活動量を測定し、そのデータを保健師などの支援者がアドバイスする構造だ。
「デイリーサポート」はユーザーが装着したTSUCで検出した活動量(歩数や消費カロリー、乗り物検知など)とスマホアプリで計測する睡眠、食事、内臓脂肪などのデータを保健師用ウェブサイトで管理する。スマホアプリ「デイリーダイエット」は料理を撮影することで摂取カロリーを推測するほか、食事にかかる時間と食事終了から睡眠までの時間などを記録。さらに就寝時にスマホを枕元に置くことで就寝時間と睡眠の質を記録する。
特徴的なのはスマホのジャイロセンサーを利用してスマホを腹囲を這わせることで内臓脂肪面積を推定する機能。推定アルゴリズムで内臓脂肪面積を算出して、ユーザーのコンディションにもっとも近い内蔵脂肪分布画像を日本予防医学協会の画像データベースから検索して表示する。
それぞれの計測データは時系列でライフログのようにアプリから確認可能。あわせてこれらのデータは保健師用ウェブサービスにアップロードされる。
これまでの体調管理系アプリと異なるのは、企業による社員の健康管理という使い方が想定されていることだ。年1回の健康診断と問診では社員の体調管理では後手に回るとして、「デイリーサポート」は社員の健康データをチェックして活動内容に合わせたアドバイスを自動送信できるほか、最適なタイミングで保健師によるアドバイスを個別に送ることも可能。保健師によるアドバイス機能は今秋以降対応する予定。
さらに生活習慣病予防のモチベーションを高める仕組みとして、JTBグループのポイントプログラム「サンクスコレクト」を活用することも発表された。例えば歩数が1000歩を超えるたびにポイントを付与するなどして貯めたポイントで好きな賞品に交換したり、社内やグループ内での活動量ランキングなどで継続するモチベーションを維持させる仕組みを構築する。
内藤氏は「我々はこの分野では後発だが、本当に役に立つサービスを提供する」とコメント。医療費削減と健康生活の維持という2本柱で「未来継承型サービスをお届けする」(内藤氏)と語る。TSUCはBluetoothスイッチをオフにしても計測自体は継続するため、プライベートの土日などに計測を避けたい場合は装着せず自宅に置いておく必要がある。社員のライフログデータの企業への受け渡しは個人情報の運用面での課題も考えられるが、医療費が発生する事後対処ではなく生活習慣病予防を企業が先導する「デイリーサポート」は、体調管理のモチベーション維持という面で利点がありそうだ。
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