2月5日から7日まで、幕張メッセでコンサート、フェス、ミュージカル、演劇、スポーツ興行、各種ショーなどの開催に必要な全てが一堂に出展する「第7回 ライブ・エンターテイメントEXPO」が開催。主催者、制作会社などの関係者が来場し、様々な場所で商談が交わされていた。
また、eスポーツに関連する事業が一堂に会した「eスポーツビジネス ワールド」が新設。eスポーツに必要な製品・サービスが集結した。
今回のeスポーツビジネス ワールドを見て回っていると、ライブ配信機材やゲーミングパソコンなど、大会などeスポーツに関するイベントを実施するために必要な機材が多かったように思えた。
そんな中、気になったのがJCGブース。機材やパソコンを置いているわけではないが、大きめのブースを構えており、どういった会社なのか気になった。そこで、2月6日に実施されたJCG 代表取締役CEOの松本 順一氏が登壇するセミナーに足を運んでみた。
機材やパソコンだけでなく、インフラを作り上げてワンストップでeスポーツのすべてを提供
JCGは、配信をするための機材や、ゲームプレイのためのパソコンを貸し出している会社というわけではない。ではどういう企業かというと、eスポーツ大会のイベント企画運営(オンライン/オフライン)、eスポーツを活かしたプロモーションのコンサルティング、配信スタジオレンタル、クラウド大会管理システム、動画制作・編集など、eスポーツのすべてをワンストップで提供しているのだ。eスポーツのインフラを作り出し、提供しているのが最大の特徴で、「ホワイトラベルでのイベント企画運営」というJCGの名前を出さずにイベント運営をすることも可能だという。
なお、JCG 代表取締役CEOである松本氏は、eスポーツという名前が世に出る前の2008年ごろからゲームコミュニティーを立ち上げ、活性化につなげた経験を持っており、オンライン大会やLANパーティーなどを主催し、その経験とノウハウをもとにJCGを立ち上げた人物だ。
コミュニティーを活用してコンテンツのファン人口を維持
松本氏はセミナーで、コミュニティーの重要性について語った。ここでいうコミュニティーとは、eスポーツまたはゲームタイトルが好きな人たちの小さなグループの集合体のことを指す。コンテンツを発展させるには、コンテンツに対して様々なユーザーに興味を持ってもらうためのマーケティング施策が必要になるが、このユーザー同士のつながりを強化するためのコミュニティー施策が、コンテンツ維持では重要と松本氏は語る。
ではなぜコミュニティーが重要かというと、コンテンツを遊び続ける人たちを維持し(リテンション)、その人たちが自主的にコンテンツのファンを増やしたりしてくれるため、実質運用コストの低減につながることになるからだ。
また、コミュニティーにいるファンを4段階に分けて説明。グッズなども購入する「ヘビーファン」、視聴にお金を払う(いわゆるYouTubeでのスーパーチャットなど)「コアファン」、視聴やSNSの公式アカウントをフォローする「ライトファン」、そしてこれからコミュニティーに仲間入りするかもしれない「潜在顧客」だ。
まず潜在顧客については、コンテンツのことを知ってもらう必要があるため、どちらかというとマーケティング施策が必要不可欠だ。しかし、ここに注力するだけではライトファンやコアファンが増えていかず、ユーザーの継続率が落ちていく。コンテンツの発展において失敗しがちなのは、このライトファン、コアファンに注力ができていないからだと松本氏は語る。そこで重要になってくるのがコミュニティーというわけだ。
ではコミュニティーを広げるためにはどうしたらいいのか。コミュニティーは、Twitterのハッシュタグや攻略サイト、コミュニティーウェブサイト、Discordチャンネル、YouTubeのコメント欄などで形成されていく場合が多い。その生まれたコミュニティーを活性化させるには、コンテンツの公式がユーザー参加型のイベントや大会を実施したり、ユーザーの自発的な大会をある程度許諾したり、動画や配信コンテンツの発信者を応援することが効果的だという。
コンテンツの公式が許諾することで、そのコミュニティーは箔が付き、集客力が上がる。加えて、コミュニティー主催者のモチベーションも高まる。しかし、上記で「ある程度」と記述したのは、どれもこれも許諾してしまったり、1つの大会だけを許諾してしまうと、逆にコミュニティーがなくなる、炎上する危険性があるからだ。なので、公式はある程度ルールを決めたうえで許諾してあげることが重要になるのだ。
eスポーツにおいては“継続”が大事
単発の大会・イベントではあまり意味がない
コミュニティーの重要さは、コンテンツの成長だけでなく、eスポーツの発展にも欠かせない。eスポーツタイトルとして成功するのにも、マーケティング施策で新規参入を目指すだけでなく、初心者が続けられるコミュニティー、中級者が腕を磨くための競技シーン、技術や戦略を魅せるプロシーン、プロシーンに魅せられて新規参入が増え、プロシーンがマーケティングにつながる、といったポジティブスパイラルが必要となる。
あまりうまくいかないeスポーツタイトルでは、初心者向けのコミュニティー形成と、中級者向けの競技シーンがおろそかになりがちとのこと。コミュニティーで仲間を見つけて色々と教えてもらうことで初級者が中級者になり、その友人たちと競技シーンに参戦するといった場を提供することで、導入段階でつまずいてやめてしまうことが防げるわけだ。
eスポーツシーンでのコミュニティーの盛り上げ方はコンテンツとほぼ同様。加えて、イベントや大会について、単発ではなく定期的に開催することが重要だと松本氏は語った。また、長期のスケジュールを組んで、イベントのロードマップをファンに提示することで、途中で一時離れてしまったファンが時間が経ったあとでも戻ってこれる場を提供し、アクティブユーザーの減少を防げるのだという。
松本氏は、eスポーツタイトルにおける成功例として、「レインボーシックス シージ」と「シャドウバース」を挙げた。両タイトルとも定期的にオンライン・オフラインの大会を開催しているだけでなく、プロリーグに加え初級者の大会も実施している。オンライン大会では動画のコメント欄で、オフライン大会では実際にファン同士の交流ができ、ファン同士のつながりも強くなっていく効果もある。
実際にユービーアイソフトの方にインタビューしたことがあるのだが、インタビューした全員がレインボーシックス シージの成長したのは、コミュニティーの力が大きいと答えていた。海外では、コミュニティーを成長させるためのコミュニティーマネージャーという役職があるゲームメーカーも少なくない。それだけ、コミュニティーはeスポーツタイトルの成長に欠かせない存在となっているのだ。
eスポーツで事業を起こすなら相談してみては?
繰り返すようだが、JCGではeスポーツのインフラを作っている企業だ。松本氏によると、eスポーツタイトルのメーカーだけでなく、これからeスポーツで事業をしたい人、大会を開きたい人などから相談を受けることが多いという。eスポーツの大会を開きたいけどノウハウがない、成功するか不安という人や企業であれば、JCGに相談してみてはいかがだろうか。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります