2020年02月07日12時00分

スマホで制御するストロボ「プロフォト A1X」はフットワークを軽くする

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 写真撮影で使う道具の1つである「ストロボ」。多くの方はメーカー純正のストロボを使われていると思いますが、それよりも遥かに高額であるにも関わらず、登場以来プロのカメラマンの間で人気を博しているのがスウェーデンのプロフォトが販売する「A1」および「A1X」というモデルです。

左からストロボのプロフォトA1X、ワイヤレス・トランスミッターのProfoto Connect、iPhone8にインストールしたProfotoアプリ

 プロフォトは昨年「スマホで光をコントロール」するワイヤレス・トランスミッター「Profoto Connect」を発売。A1Xとセットで販売を開始しました。約13万8000円とあまりに高額なので、早速というわけにはいかなかったのですが、ようやく手に入れることができました。そこで実際に1月のオートサロンでアテンダント撮影に投入したので、その使い勝手を評価します。

ストロボ撮影の肝は
「カメラとストロボを離すこと」らしい

 プロフォトA1およびA1Xは充電式のストロボで、光が均等に、そしてムラなく照射されるように発光部が円形になっているのが外観の大きな特徴です。小型ながら72Wsの大光量を誇り、TTLやハイスピードシンクロ、ワイヤレス発光といった現代ストロボで欲しい機能はすべて対応しています。

 さらにスタジオ用ストロボでは当たり前といえる、モデリングランプを搭載。これは撮影前に実際に光の当たり方を見ることができる便利な機能です。このように高機能ありながら、シンプルで扱いやすい操作性によって、説明書がなくても、表示が英語でも、カメラに触れたことがある人なら迷いなく使えます。そしてアクセサリーの類が豊富に用意されているのもストロボメーカーならではで、それらはヘッド部分にマグネットによって簡単に着脱が可能。実にいたれり尽くせりの商品です。

モデリングランプを点灯させた状態。大抵のクリップオンストロボでこのような機能は用意されていない
TTLとマニュアルの切り替えは側面のスイッチで切り替える
A1Xのメニュー画面。ストロボチャージ完了後に音を出すことも可能だ
A1およびA1X用に用意されているアクセサリーの一部。ストロボの光を反射させるバウンスカードや、光に指向性をもたせるグリッドなどが用意されている

 そんなプロフォトA1が登場したのは2017年のこと。当時はキヤノンとニコンのみ対応というストロボでした。それから2年後の2019年。チャージ速度と発光回数を増やし、表示や機構を変更、さらにソニーや富士フィルムなどにも適応したアップグレード機A1Xが登場。現在、この2機種は併売されています。

キヤノンの「600EX-RT」との比較。プロフォトA1Xの方がわずかに大きい印象だ
一般的なストロボのヘッドは長方形であるのに対し、プロフォトA1およびA1Xはラウンド形状を採用する

現在のストロボの主流はワイヤレス

 さて、一般的にA1のような機械のことをクリップオンストロボと呼ぶのですが、このクリップオンストロボを使った撮影は、カメラに取り付けて使う人が多いと思います。もちろんそのための機械なのですが、この場合、光は真っすぐ当たり、いかにもストロボを使いました、という画になりがちです。

 よって条件がよければカメラとストロボを離して撮りたいのですが、今度はストロボとカメラの間を何かの形で連携(通信)させる必要が出てきます。その昔はケーブルを接続していましたが、現在ではワイヤレス・トランスミッターという機械を使った無線通信が主流。たとえばキヤノンからは「ST-E3-RT」が発売されており、これを使って発光タイミングや光の強さなどを調整します。

キヤノンのワイヤレス・トランスミッター「ST-E3-RT」。画面を見ながらストロボを遠隔操作する

 もちろんプロフォトからもすでに似たような製品が発売されているのですが、フルサイズミラーレスの登場で、市場からは機材はコンパクトにしたいという声が。ならば表示やコントロール部分をまるっとスマホに任せてしまおう、というのがA1Xと発売を前後して登場したProfoto Connect(3万7400円)というアイテムです。

Profoto Connectを取り付けた状態。キヤノン純正のワイヤレス・トランスミッターと比べて小さいことがお分かりいただけるかと思う

 さらにプロフォトは誰でも手軽にオフカメラ撮影を楽しんでもらおうと思ったのか、出たばかりのA1XとProfoto Connectをセットにした「Profoto オフカメラ・キット」(オープン価格/実勢価格15万円前後)も発売。ちなみにセットで買うと、Profoto Connectが約半値で手に入るのでお得。これを見逃さないわけがありません!

 ちなみに画面や操作パネルが設けられているワイヤレストランスミッター「Air Remote TTL」は実売で6万円を優に超えます……。

 「A1Xオフカメラキット」の箱は実に高級感あふれるもの。俺、イイものを買ったかも、という所有欲を満たしてくれます。開梱すると、ストロボのA1Xとその付属品、そして小さな小さなProfoto Connectが姿を現すのですが、あまりの小ささに「これだけ?」と目を疑うことでしょう。

Profoto オフカメラ・キット
Profoto オフカメラ・キットを開梱したところ。一番左のケース内部に、ワイドレンズなどアクセサリーが同梱されている。USBケーブルはミニBとType-Cの2種類が用意されていた

 Profoto Connectは、操作ボタンもダイヤルもメニューが一切なく、設定モードはTTL(オート)、マニュアル、電源オフの3種類のみ。あとは充電用のUSB Type-Cコネクターが用意されているのみです。モードを切り替えると天面のLEDの色が変わりますが、さり気ない演出色なので注意しないと気づかないかもしれません。ちなみに1回の充電で約30時間の通信が可能で、通信距離は障害物がない見通しでなんと300メートルとのこと! どのような場所でも確実に光らせる、という意思を感じます。

 実際に取り付けると、A1やProfoto Connectは接点が露出しているため「水に弱そう」という印象を受けます。防滴対応である純正ストロボとはココが大きく異なるところで、雨の中でストロボ撮影をする予定がある人は注意が必要でしょう。

横に充電用のUSB Type-Cコネクターを用意する。なおキャップなどはない

 Profoto Connectの設定をするため、スマートフォンに無料の専用アプリ「Profotoカメラ」をインストール。機材のユーザー登録をした後、Profoto ConnectとBluetoothで接続します。認識もほぼ一発で、すぐに利用可能です。初めて接続した時、スマホ経由でProfoto Connectのファームウェア更新が行なわれました。

アプリとの初回接続時にファームウェア更新のメッセージが表示された
ファームウェア更新画面
ちなみにA1Xのファームウェア更新はPCとUSB接続して実施する

 ちなみにProfotoアプリは、スマホ向けフラッシュのC1シリーズと、やや大型の可搬式ストロボB10シリーズと、Bluetooth通信によるフラッシュ撮影ができる優れモノだったりもします。

左がB10、右がA1X

 スマホで光量コントロールするメリットは、UIが直感的で見やすい点につきます。調光コントロールは、Bluetoothを搭載した同社B10でも可能で、Profoto Connectと接続したA1Xとの同時コントロールというソリューションもできます。ですが、A1X側のみを動かそうとProfoto Connect側のコントロールスライダーに触れると、チャンネル全体を変化させる動きをするようでB10側も動いてしまいました。どうやらスマホを使った個別コントロールをするには、Bluetooth対応のストロボを複数台用意するしかなさそうです。

スマホの操作画面。左右のスライダーで光の増減を決める
アプリがB10とProfoto Connectを認識した状態。Connectをタップするだけで接続可能だ
B10、A1Xのストロボ調光をスマホで実施。カメラから離した状態でストロボの光が簡単に調整できる。これは便利!

綺麗でありながら便利で快適なスマホ調光

 機材はキヤノンの「EOS R」に「RF24-105mm F4L」を取り付け、ストロボをそのまま上にポン付け。E-TTLモードで純正ストロボとの違いを見てみましたところ、光が強い印象だったので-0.5段ほど落として再度撮影。するとちょうどよい感じに。純正と比べてプロフォトの方が白が綺麗で、また光のなじみがよい印象を受けます。

ダンロップ DIREZZA GIRLS 2019の宮島マリーナさんをキヤノン純正ストロボで撮影
プロフォトA1Xで撮影。肌の色が明るくなったような印象を受ける

 さらに別売りの大型バウンサーにすると、影のグラデーションは柔らかくなります。純正ストロボに他社アクセサリーを取り付ければ同様の効果は得られますが、取り付ける簡易さでいえばプロフォトに分があります。

大型バウンサーを取り付けての撮影。顔の陰が柔らかくなったような印象を受ける

 ストロボをスタンドに設置。カメラにProfoto Connectを取り付けたオフカメラ撮影を実施することに。カメラとストロボの位置が離れた時にスマホでコントロールすると、直感的で相当便利。バッテリーの消費が多くなりますが、A1側でモデリングランプを連動させる設定にし、スマホで調光コントロールをすると、ファインダーを除いたまま指の動きで光の当たり方の変化がみられることに感動。デジカメによってはリアルタイムでヒストグラム表示もできるので、影の付き方だけではなく、光がオーバーかアンダーかといったところまでもチェックできます。

集合写真を撮影している様子。筆者の左側にストロボを立てた

 ワイヤレス・トランスミッターのProfoto Connectは小さいのでカメラに取り付けているという意識が少ないのはもちろんのこと、取り外してポケットにポンと入れても邪魔にならないという大きなメリットが生まれます。案外ワイヤレス・トランスミッターはかさばる上に、カメラを持った時のバランスが変わりますから、これはとてもうれしいところ。

画面右側から強い光が当たり顔に強い影が出ていたので、ストロボを左側斜め上から当て影を消してみた(モデル:日比ゆり)

 ワイヤレスで問題になるのは混信。オートサロンの初日は多くの媒体が取材をしているのですが、それゆえプロフォト使いが多く、チャンネル1~3あたりに設定すると予期せぬ場所でストロボが勝手に点灯することも。電波が300m飛ぶというのは伊達ではないことを知るとともに、チャンネルを変える必要に迫られました。

 従来のプロフォトのワイヤレス・トランスミッターのチャンネル数が8までであるのに対し、Profoto Connectは20チャンネルまでに大幅に拡大。ですから9チャンネルから20チャンネルに設定すれば、混信することはありませんでした。

オートサロンは様々な色のスポットライトが混ざり合い、撮影が難しい場所。上からの強い光で顔が暗くなったので、ストロボを強く炊きたいが、そうするとクルマのホイールが白く飛ぶ。ギリギリのところで調整し撮影した(モデル:宮瀬七海)

 調子よく使いだして気になったのは、移動中Profoto Connectのスイッチの位置に触れてしまいTTLからマニュアルに変わってしまうこと。TTLに補正をかけて、という使い方を望む方は、撮影前に確認した方がよいでしょう。逆にマニュアルモードから戻る、ということは一度もなかったので、筆者は次第にマニュアル調光で撮影するように。まずは5.0で1枚撮り、写真を見ながら光の量を増減調整するだけ。

カメラの真上あたりに左手でストロボを持って縦位置で撮影(モデル:織田真美那)
プロフォトA1Xだとゴールドを綺麗に出る。後ろのホイールの質感ももちろん綺麗に出ている。大型バウンスを用いて撮影(モデル:松田蘭)

 A1Xはフル発光で約450回までバッテリーが持ち、それでいながら最後までチャージ約1秒というハイレスポンスなので、気持ちよく撮影に専念できるのも美質です。いっぽう約450回という発光回数は人によっては少なく、コンビニで乾電池を買って入れ替えて使うということもできませんから、予備バッテリーはあらかじめ用意しておいた方が無難でしょう。ちなみに充電時間は最大115分かかります。

 Profoto Connectは本体側に表示はないため電池に不安を覚えるのですが、1日フルフルに使ってもバッテリーが足りない、ということはありませんでした。また電池が気になる時はスマホで確認。不安を感じたらスマホ用のモバイルバッテリーを使って充電できます。

【まとめ】スマホで幸せなカメラライフを送る時代

 スマホで光の量をコントロールするというオペレーションは、1灯の場合、手でやった方が圧倒的に早いです。ですがストロボをスタンドを置くなど遠隔操作になった際に、わざわざ行かなくてもカメラ位置からファインダーを見ながらモデリングランプを調整できる等の点で、スマホ調光はとても有用に感じました。また機材の軽量化にもつながり、疲れが減るというのも見逃せないメリットです。

会場で撮影中、偶然A1を持っている知り合いに遭遇。そこで自分のA1Xをモデル正面から、知り合いのA1をやや後方に設置しワイアレス2灯で撮影。画面右側のモデルの髪にヘアライトが出ていると思う(モデル:中村比菜)

 イマドキのデジカメは、撮影後にスマホ転送できる機能がついていますし、カメラそのものもコントロールできる時代。ストロボだけが遅れていた、といえるでしょう。カメラとスマホ、そしてストロボが連動すると、色々画面で確認しながら、あれこれと撮影方法を試してみたくなってきます。

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