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プリント市場のデジタル化や3Dプリントも注力分野

日本HPが2020年の事業戦略を発表、昨年は国内PCブランド首位に

 

 日本HPは1月21日、都内で事業説明会を開催。代表取締役社長執行役員の岡隆史氏をはじめ4名が登壇し、2019年の振り返りと各事業における2020年の展望を語った。

代表取締役社長執行役員 岡隆史氏

ブランド別PCシェアで、国内No.1を獲得

 最初に登壇した岡氏は、グローバルのビジネス状況について、売上6.4兆円、利益4700億円と非常に好成績を収めたと発表。特にPC事業は好調で、2018年の10%成長に対して2%程度と鈍化したものの、マーケット全体がWindows 10に移行する流れに乗り堅調に推移したと話す。また、今後加速するであろうペーパーレスの動きに備え、デジタルマニファクチャリングやセキュリティ、3Dプリンターといった成長分野への投資を進めていくと語った。

2019年度は、売上6.4兆円、利益4.7千億円と堅調に推移した

 また、事業パフォーマンスだけでなく社会貢献度なども含めて判断する、Newsweekが選ぶ「2020年にアメリカで最も責任ある企業」に選出されたと報告。「地球環境への貢献やサプライヤーとの健全な取引ができていることを評価いただいた」とアピールした。

 国内においても、日本HPの中核を占めるPC事業は好調。2019年の1~9月期に、初めて年間ブランド別のPCシェアのNo.1を獲得した(IDC調査)。日本HPは17四半期連続で、市場成長率を上回る成長率を保っている。合わせて昨年のハイライトとして、グローバルベンダーでは日本初となる1kgを切るコンバーチブルノート「Elite Dragonfly」を紹介。働き方改革が進む日本に合わせた製品が投入できたとする。

Elite Dragonfly

 また、今後はセキュリティがビジネスツールの核となるとしたうえで、「様々な投資やサービスを展開する年になった」と総括した。

 デジタル印刷分野においても、オフセット印刷など従来のアナログ印刷ではできない自動で印刷・管理ができる仕組みを提供する活動を進めてきた。さらに、ファッションなど今後増えていく印刷ニーズに対応できるように、新製品の投入を進めている。3Dプリンターは、量産用のマシンに加えて低価格向けのプロトタイプマシンを発表した。

2019年はPC事業や3Dプリンター事業で新製品を相次いで投入した

 2020年以降のグローバル戦略としては、今後訪れるトレンドへの対応を加速すると岡氏。例えば「今後高齢者比率が上がる中で、20代から70代まで様々な年齢層の人々が一緒に働く環境で、HPとして貢献できる分野を模索しながらテクノロジーやサービスを提供するのが基本的な考え方になる」と語った。

急速な都市化や人口動態の変化といったトレンドに対応できるテクノロジーやサービスを提供する

 プリント市場についてはすでに成長が止まっているとみられがちだが、グローバルで17兆円のプリント市場と36兆円のPC市場において、HPの売上高は6.4兆円であり、まだまだ成長の余地はあると岡氏は話す。今後は、アナログのままになっている商業・産業印刷のデジタル化や。3Dプリンターへの集中投資をして、新たな中核事業に育てていく。岡氏の説明では、まだまだアナログプリントが中心の商業・産業印刷や産業用の3Dプリントの市場は55兆円規模に成長する可能性があるとする。

2020年は主力となるPC事業の他、商業・産業印刷や3Dプリンターの分野にも投資をしていく

 地球環境への貢献については、サステナビリティ(事業持続性)について社運をかけて取り組んでいると話す。「社内だけでなく教育やボランティアを通じて、サプライヤーや地域コミュニテイと良い関係を築いていく」と岡氏。顧客からもサステナビリティに対する企業レベルを問われるケースが増えているという。その中で2018年は約9億ドル超のビジネスが生まれたそうだ。製品だけでなく社会に貢献できる企業として日本の中でも存続していきたいと語った。

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