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「スタートアップ企業とスタートアップ特化弁理士の本音トーク スタートアップ×知財コミュニティイベント by IP BASE」レポート

スタートアップビジネスに精通した弁理士との出会い方とは

2019年12月25日 16時00分更新

渋谷で開催 スタートアップ×知財コミュニティイベント

 2019年11月1日、ベンチャー、スタートアップを応援する日本弁理士会と特許庁は、ASCII STARTUPの協力のもと、スタートアップ向けのセミナーイベント「スタートアップ企業とスタートアップ特化弁理士の本音トーク スタートアップ×知財コミュニティイベント by IP BASE」を渋谷hoops link tokyoにて開催した。

 このセミナーは、創業期のスタートアップを対象に、スタートアップビジネスに精通した弁理士との出会い方や弁理士の活用方法を知ってもらうことを目的として、日本弁理士会関東会のベンチャー支援部会が企画したもの。イベントは2部構成で、第1部は、特許庁のスタートアップ支援施策とスタートアップ支援に実績のある弁理士によるプレゼンテーション、第2部は、スタートアップ企業3社と弁理士3名によるパネルディスカッションを実施した。

 第1部では、特許庁ベンチャー支援班長の進士千尋氏より、「スタートアップこそ知財戦略を! 知らなきゃ損する知財活用とサポート制度」と題し、特許庁のスタートアップの支援の取り組みを紹介。

特許庁 ベンチャー支援班長 進士千尋氏

 企業の競争力を左右するの経営資源は、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「知財」の5つで構成される。このうち、スタートアップが持っているのはアイデアと技術のみ。つまりスタートアップにとって企業価値≒知的財産と言える。

 米国では知財戦略は常識。近年は中国も特許出願を奨励しており、出願件数が急激に伸びている。日本のスタートアップも徐々にではあるが知財意識は高まっているようだ。  例えば、ヘルスケアアプリのFiNC Technologyは、パーソナライズ健康アドバイスAIの特許などを出願し、着実に特許網を構築している。スマホ証券のONE TAP BUYは、金額指定で注文できるサービスの特許を取得し、他社の参入障壁として活用している。

 知財には、技術やアイデアの保護や独占だけでなく、大企業や他社との連携時の交渉力、技術力を客観的に証明し、信用を得る力がある。スタートアップが事業を成長させるには、積極的に特許を活用していくべきだ。まずは社名と商品・サービス名の商標登録、コア技術をブラックボックス化するか/特許化して公開するかの選択は最低限考えておくといいだろう。

 特許庁では、スタートアップ支援施策として、1)知財アクセラレーションプログラム(IPAS)、2)最短0.8ヵ月で審査結果がわかる「スーパー早期審査」、3)特許手数料が3分の1になる減免制度、4)スタートアップの知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」からの情報発信などを実施しているので、うまく活用してほしい。

スタートアップに合った弁理士の出会い方

 続いて、瑛彩知的財産事務所 所長の弁理士・米国弁護士 竹本如洋氏からのプレゼンテーションでは、「スタートアップをサポートする弁理士とは」と題し、スタートアップ創業期における弁理士との出会い方や弁理士の概要・役割を紹介した。

瑛彩知的財産事務所 所長弁理士・米国弁護士 竹本如洋氏

 大企業向けの弁理士の仕事は、特許の出願手続きを代行するだけだが、スタートアップにおける弁理士の役割は、出願前の知財の掘り起こしから始まる。まず、事業内容と技術から特許化すべきポイントを探り、企業価値を最大化する内容を書いて特許出願すること。さらに特許の出願後も、ビジネス動向や競合の動きに応じて、特許請求の範囲を書き換えてベストな特許権にしていく必要がある。そのため、自社の事業の内容とビジョンに理解があり、長期にわたって伴走してくれる弁理士を見つけることが大切だ。

 スタートアップサポートをしている弁理士と会うための方策として、1)知り合いのスタートアップや顧問弁護士、投資元のファンドを通じて紹介してもらう方法。2)ネット検索。スタートアップの知財ポータルサイト「IP BASE」なども活用できる。3)知財やスタートアップ系のイベントに参加して人脈を広げる。4)特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で特許情報を検索して、同業他社の出願を代理した弁理士を見つける、といった4つを紹介。

 またスタートアップにとって良い弁理士の選び方として、弁理士の専門分野と自社事業内容に合っていること、話を聞き出す力があり、密にコミュニケーションが取れること、対応の早さなどを挙げた。

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