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スナドラ搭載PCの低価格化進むか!? 「Snapdragon 8c/7c」登場

2019年12月06日 16時00分更新

 クアルコムが米国ハワイ州で開催する「Snapdragon Tech Summit」。会期3日目にあたる12月5日(現地時間)の基調講演では、ARM版Windows向けの「Snapdragon 8c」「Snapdragon 7c」が発表された。

 また、VR/AR/MRなどのXR用プラットフォームとして、先代から処理能力を大幅に高めた「Snapdragon XR2 Platform」を披露している。Snapdragon XR2の発表に合わせ、日本からはKDDIのパーソナル事業本部 サービス本部長 山田靖久氏も登壇。Nrealのスマートグラスを活用したauの取り組みも紹介した。

ARM版Windows PC向けのSnapdragon 8c/7c(左)と、XR用のSnapdragon XR2 Platform(右)が発表された

ARM版Windows PC向けの廉価版Snapdragonを2モデル発表
LTEへの対応や低消費電力はここでもアピール

 Snapdragon 8c/7cは、Windowsを搭載するPC向けのチップセットだ。昨年のSnapdragon Tech Summitでは、最上位モデル向けの「Snapdragon 8cx」を発表し、その後、これを搭載するPCがこの1年の間に各社から発売されてきた格好だが、今回発表された2つのチップセットは、その廉価版という位置づけになる。

ARM版PC向けのチップセットに取り組んできたクアルコム。最近では、マイクロソフトと共同開発した「SQ1」が発表されている

 PC向けのチップセットは、いずれもスマートフォン向けのSnapdragonに比べ、CPUやGPUなどのパフォーマンスが強化されていた。その一方で、x86のCPUに比べると低消費電力で、クアルコムが得意とする通信との相性もよく、常時接続を売りにしている。たとえば、Snapdragon 8cxは、第2世代の5Gモデムである「Snapdragon X55 5Gモデム」と組み合わせることで5Gに対応できる。実際、レノボがこの組み合わせで5G対応PCの発売を予定している。

低消費電力で、LTEや5Gなどの通信に対応し、常時接続可能なのがこのプラットフォームの特徴

新たに発表されたSnapdragon 8c/7cは、Snapdragon 8cxの下に位置づけられる

 Snapdragon 8c/7cはどちらもこの特徴を受け継ぎ、前者が「Snapdragon X24 LTEモデム」を、後者が「Snapdragon X15 LTEモデム」を統合する。低消費電力も特徴。基調講演ではファンレスの薄型PCを作ることができるプラットフォームとして、その強みを紹介した。ただし、CPUのクロック周波数など、具体的なスペックは明かされず、前世代や競合との比較が中心になった。

 Snapdragon 8cは、CPUに「Kryo 490」、GPUに「Adreno 675」を採用。展示会場に置かれていたリファレンスモデルでデバイス情報を確認したところ、クロック周波数は2.46GHzと表示されていた。クアルコムよると、先代となるSnapdragon 850との比較で、パフォーマンスが30%向上していることも明かされている。また、AIの演算回数が6TOPS以上という数値も示された。12月3日に発表されたSnapdragon 865は15TOPSだったため、それよりは性能は下になるが、スマートフォン向けではSnapdragon 855に近い数値と言える。

Snapdragon 8cの主な性能。Snapdragon 850より、性能が底上げされている

展示会場には、このチップを組み込んだリファレンスモデルが展示されていた

 Snapdragon 7cは、さらにパフォーマンスを抑えたチップセットで、こちらはCPUが「Kryo 468」、GPUが「Adreno 618」となる。展示会場のリファレンスモデルで確認できたクロック周波数は2.4GHz。こちらは最大で25%アップとのパフォーマンスが示されていたが、注意したいのはSnapdragon 8cとは比較対象が異なること。クアルコムによると、競合他社の同レベルの製品と比較した数値だという。

 同じ指標での比較では、バッテリー駆動時間も最大で2倍程度長くなるという。AIの処理能力は5TOPSで、これはSnapdragon 845と855の中間程度の数値となる。

Snapdragon 7cは、競合製品との比較データが示された

リファレンスモデルで確認できたクロック周波数は2.4GHz

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