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子どもは自撮り写真を好むも、親が写真を勝手にさらすのは喜ばない

2019年11月12日 09時00分更新

 自撮り写真や動画をSNSに積極的に投稿したり、友だちの写真でも抵抗なく投稿してしまう子どもは少なくない。一方で、保護者が本人に無断で子どもの写真・動画をSNSに投稿してしまう例も目立つ。子どもたちはどのように感じ、保護者はどうすればいいのだろうか。

 今年3月、米女優のグウィネス・パルトロウさんが14歳の娘のアップルさんと一緒に撮った写真を、本人の許可なくInstagramに投稿した。ところがアップルさんはこれを喜ばず、「私の同意なしに投稿しないで」と書き、パルトロウさんは「顔も見えないのに!」と返したそうだ。

 女優の渡辺麻里奈さんが、9歳の娘に「生まれたての写真をSNSに載せてもいい?」と聞いたところ、「載せてほしくない。自分が大人になって自分(の意思)で載せるならいいけど」という意味のことを言われたという。

 実は私も、「先程の写真は、娘に叱られてしまったので削除します」という趣旨の投稿取消を何度も見かけたことがある。Facebookなどで一度は子どもの写真を投稿したものの、本人に見つかって削除させられた保護者は少なくない。一般に、中高生以上などある程度成長した子どもの写真は、子ども自身から嫌がられることが増えてくるようだ。

子どもが望まない写真を勝手に公開するのは問題

 Microsoftによる「Civility, Safety and Interaction Online2019」(2019年10月)によると(https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2019/10/09/teens-say-parents-share-too-much-about-them-online-microsoft-study/)、親が無断で自分の写真などをSNSに公開し、問題になったことがあるか聞いたところ、10代の42%が「ある」と回答(「大きな問題」(11%)、「中くらい」(14%)、「小さな問題」(17%))。「問題ではない」という回答は30%であり、残りの28%は「両親が自分の許可なく投稿することはない」と回答した。

 子どもの写真や動画、名前や住所などをシェアすると個人の特定が容易になってしまう。それによって親子関係が悪くなったり、子どもへのいじめ、個人情報の漏えい、さらには恥ずかしい写真や動画の非公開と引き換えに身代金を要求されたり、写真を悪用されるデジタル誘拐などのリスクも高まるだろう。

 確かに、10代の子どもたちは自撮り写真をSNSで公開したり、友だちの写真を公開することにも抵抗がない傾向にある。しかし、公開したいのは自分が取捨選択した写真のみということは知っておくべきだろう。

 「写りが悪い写真は公開したくない」「勝手には公開されたくない」と答える子どもは大人同様に多い。許可を得ずプライバシーがさらされることは望まないと考えた方がいい。子どもの身にリスクが及ぶ可能性があることも考えると、保護者は子どもの写真の取り扱いには注意すべきだろう。

 なお、保護者が子どもの写真をSNSに載せる場合は、公開範囲を限定したり、名前と顔が紐付かないようにしたり、子どもが将来困るような恥ずかしい写真は公開しないなどの配慮が必要だろう。


著者紹介:高橋暁子

 ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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