2019年11月08日10時30分

進化するkintone、北米進出、自治体導入などサイボウズが最新動向を披露

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 2019年11月7・8日、サイボウズは年次イベント「Cybozu Days 2019」を開催。初日のプロダクトキーノートではGaroonやkintoneの最新動向について開発チームが説明。また、北米でのkintone展開や最近増えている自治体との取り組みも披露され、「思い込みというモンスター」を倒してきたサイボウズの活動がアピールされた。

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モンスター化したサイボウ樹が基調講演会場の後ろに

「モンスター」とはわれわれが心に抱えている思い込み

 幕張メッセでの開催が今年で3回目となるCybozu Days。毎回、幕張メッセの広さを活かしたテーマ性にこだわった会場が用意されており、昨年は会場全体がまさにサーカスだった。「モンスターからの挑戦状」というテーマを掲げた今年のCybozu Daysは、RPGのような非日常的な世界観で会場を統一。都内からやや離れた場所にも関わらず、午前中から多くの参加者が会場に参集した。

 7日のプロダクトキーノートに登壇したサイボウズの青野慶久社長は、「モンスターからの挑戦状」というテーマについて、「私たちが心で抱えている思い込みをモンスターと名付けた。仕事ってこんなもんじゃないの? 社会ってこんなもんじゃないの? というみなさんの会社の中にもモンスターは潜んでいませんでしょうか?」と語る。そんなモンスターを見つけて、戦っていくための武器や仲間を得るのが、Cybozu Days 2019の役割と言えるようだ。

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サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

 グループウェア事業を手がけるサイボウズは、従業員がそろそろ1000名近くにまで成長してきた。創業からの製品であるサイボウズ Officeは、導入企業が6万5000社を突破。22年前に登場したサイボウズ Officeだが、いまだに売れ続けており、なんと2019年は過去最大を記録したという。「ついに日本にも情報共有の文化が根付いてきた」と青野氏は感慨深そうにコメント。とはいえ、高機能化し、複雑になってきたのも事実なので、サイボウズ Officeの機能を学べるレベルチェッカーというコンテンツも用意された。すでに2000ユーザー以上が受講しているという。

 また、青野氏は、パートナーと同調した災害対策向けのグループウェアの無償利用施策や、児童虐待防止のために地域連携でkintoneを活用した例などを紹介。さらに、300ユーザーが年額9900円で利用できる「チーム応援ライセンス」の利用がすでに2000団体を超えたことをアピールした。従来300ユーザーだったユーザー数をkintoneとGaroonに限って900ユーザーまで拡大することも新たに発表された。

100社100通りで使われるGaroonはカスタマイズに注力

 続いて、Garoonに関しては、開発チームの杉山祐一氏が最新動向を披露した。まず順調に成長してきたグループウェアのGaroonはユーザー企業数が5200社、ユーザー数は250万人に達した。また、今年はクラウド版の売り上げがパッケージ版を超えた。「私が入社した5年前はまだパッケージ版とクラウド版は半々だったが、この数年で急激に伸びた」(杉山氏)。

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サイボウズ Garoon開発チーム リードエンジニア 杉山祐一氏

 ユーザーの声をとる手段としてアンケートやヒアリングに頼っていたパッケージ版と異なり、クラウド版ではユーザーのアクセスログから利用状況を分析することが可能になるという。調べてみると、もっとも使われているスケジューラーは300ユーザー以上の会社の26%以上が日常的に使っていた。一方で、3割のユーザーは使っておらず、これはメッセージやワークフローも同じ傾向だった。ひたすらワークフローだけを使っている会社もあった。

 特定のアプリケーションがヘビーに使われているのであれば、その機能を重点的に強化すればよいのだが、ログを見ると使い方はばらついていることがわかる。「これを見ると、まさに100社100通りの使い方になることがわかった」(杉山氏)とのことで、直近はカスタマイズに注力し、昨年の新機能も約半分はカスタマイズ関連になった。また、コーディングなしでGaroonを連携するサービスも増えているという。舞台に戻った青野氏は、「グループウェアが既製品で、用意された機能しか使えないというは思い込みです。モンスターです。これからのグループウェアはカスタマイズできます」とアピールする。

アップデートをアップデートしたkintone

 続いて「kintoneアップデートの変化とkintone開発の進化」というタイトルで、登壇したのはkintone 開発チームのプロダクトマネージャー 長尾洋也氏だ。長尾氏は、「今年のkintoneのアップデートが『今までと違う?』『変わった?』『わくわくする』と感じていたりしませんか? 実際にこうした声をいただくことも増えてきた」と参加者に語りかける。

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サイボウズ kintone開発チーム プロダクトマネージャー 長尾洋也氏

 まず単純にアップデートの数が増えた。2018年度の主要アップデートは5個だったが、すでに2倍以上の13個になっている。内容も大きく変わっており、今までまったくアップデートが行なわれかった画面やずっと改善されなかった機能、ずっと取り入れられない要望などが取り入れられた。

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 たとえば、今までほぼ改善されていなかったフォームの設定画面にアップデートが施され、テーブルの上下移動が可能になったり、保存したテーブルのフィールドも左右への入れ替えられるようになった。長尾氏は、おすすめのアップデートを披露する。

 まず、長らくアップデートがなかったレコード一覧も改善され、フィールド一覧が画面左に固定され、右端への挿入が行ないやすくなった。また、ルックアップの選択ダイアログも改善され、縦スクロールだけで全件表示されるようになり、いっぱいの大きなサイズで表示できるようになった。その他、「アプリアクションのテーブル対応」「ポータルのウィジェットの非表示設定」「レコード一覧の印刷への対応」「アプリ管理ページの改善」「日付選択カレンダーが年切替に対応」なども実現。ポータルカスタマイズできるAPIなども追加され、製品のアップデート情報も製品メニューから受け取れるようになった。細かいながら、kintoneユーザーであれば日々の使い勝手を大きく向上する重要なアップデートばかりだ。

 なぜアップデートは変化したのか? 長尾氏は開発スタイルが大きく変わっていることを種明かしした。きっかけは2019年前半にリリースされたモバイル版kintoneのリニューアル。開発チームでは「kintoneをもっと速いスピードでよくしていきたい」という強い思いから、3年前からスクラム開発の手法を取り入れ、安定したアップデートが実現してきた。さらに今回、開発スタイルの変更を実施したことで、モバイル版でも高い品質とスピーディなリリースを両立できたという。

 そもそもkintoneは使い方とユーザー層が幅広いため、「kintone特有の事情の考慮」が大変で、開発中に苦しい選択が迫られがちだった。「特定の業種や業態に特化したものでもないし、利用するITリテラシも格差も幅広い。よいと思ったアップデートが、ほかのユーザーにとっては悪いものになる可能性もある」と長尾氏は振り返る。そこで、今回は開発を進めながら、要件を厳選・洗練させる方式に変更した。「大量の要件を用意し、開発を進めながら、要件を競争させる。雲行きの怪しくなってきた要件をいったん脱落させ、費用対効果の生き残ったものだけをリリースすることにした」と長尾氏は説明する。

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大量の要件から生き残った要件を厳選して開発

 現在も今までにないタイプの案件や実装難度の高い案件、大きな飛躍を狙う要件にもチャレンジできる新しい「開発の進め方」を模索している。「来年やりますとか、いつまで経っても実現できない要件へのチャレンジも進めていて、徐々に成果も出始めている」と長尾氏は語る。実際の成果はアップデートとしてすぐに恩恵を受けられる。たとえば、2020年1月にはいよいよIF関数が追加され、Excelからの移行も促進される。また、テーブルのSUM関数に#N/Aエラーで表示されていた未入力フィールドがきちんと計算可能になるほか、iOSアプリからのSAMLによるSSOに対応するという。今後の強化にも期待が集まる。

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