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フェアトレードに興味は無くても、部品取り替え可能が魅力のスマホ「Fairphone 3」

2019年09月07日 12時00分更新

 フェアトレードの取り組みを持ち込むとともに、パーツ交換できるスマホが話題になったオランダのFairphone。2013年の初代機、2015年の「Fairphone 2」に続き、3機種目となる「Fairphone 3」を発表した。Fairphone 3は、5.6型液晶にSnapdragon 632などスペックも新しくなり、Android 9を搭載。10年以上使えるスマホをうたっている。

パーツ取り替え可能なスマホとして話題にもなったFairphone。3世代目のモデルが登場した

スペック的にはミドルクラスの「Fairphone 3」

 Fairphoneはスマートフォンの部品や素材、製造過程にフェアトレードを取り入れようと2013年に立ち上がった。レアアースなどの問題は個別には指摘されてはいるものの、業界全体ではなかなか決定的な解決には至らず。Fairphoneは素材の調達、Fairphone製造に関わる人の人権や健康に配慮した端末を製造している。

 あらためて、まずはスペックを見てみよう。

 ディスプレーは5.65型フルHDで、カメラは12メガ(メイン)、インカメラは8メガ。SoCにSnapdragon 632を採用。メモリーは4GB、ストレージは64GBだ。バッテリー容量は3000mAh。USB Type-Cを利用できるが、イヤフォンジャックも用意する。ネットワークは4G、Wi-Fi、Bluetooth 5、NFCなどをサポートし、デュアルSIMを備えるなど、ミドルクラスとして十分な性能を持つ。

 価格は450ユーロ(約5万3000円)。現在事前受付中で、10月半ばに出荷を開始予定だ。

モジュール交換でアップグレード可能

 ”フェア”あるいは”エシカル”(倫理的)とはどういうことなのだろうか? たとえば素材については、バッテリーに必要なコバルトのフェアトレード、紛争鉱物の不使用などを実施しており、どこから何を調達しているのかを世界地図で見えるようにしている。また、今回発表した最新のFairphone 3の80%がリサイクルされた部品や素材を使っているという。

部品や素材のサプライチェーンについて、サイト上で見ることができる。日本製のパーツも使用しているようだ

 また、Fairphoneを実際に組み立てる台湾Arimaでは、従業員の満足度調査などのインプットを取り入れ、労働環境の改善を図っているとする。具体的には、健康と安全に関するトレーニングの実施、食堂などを改善した。ArimaとFairphoneは今後3年の間、年10万ドルを投資してさらなる改善を図るという。

 Fairphoneの面白いところはこれだけではない。ユーザーの手元に渡ったあとにも楽しみがある。

 スマホ好きにとって、「フェアトレード」に関心が低かったとしても、「部品が交換できるスマホ」は訴求力がありそうだ。先日、シンガポールでのDell Technologiesのイベントで、学生がリサイクルをテーマにビジネスアイディアを出すというプログラムを見せてもらったが、少女たち(このプログラムは13~17歳の女の子を対象としていた)がリサイクルと聞いて真っ先に挙げたのが、洋服でも、紙やペットボトルでもなく、スマートフォンだった。

 それも、パーツを取り替えられたらと思っている学生はたくさんいた……親から譲り受けたiPhoneだがカメラだけもっといいものだったら、あるいは落としたためにカメラがダメージを受けていてピントが合わなくなったけど、その部分だけ変えたいとカメラに関するものが多かった。

 Fairphone 3は、カメラ、スピーカー、バッテリー、ディスプレイなど7つの部品を購入できる。カメラは49.95ユーロ、バッテリーは29.95ユーロなどとなっており、部品の買い換えにより使い続けることができる。

 Fairphone 2の場合、最初に搭載したカメラをアップグレード(最初はメインが8メガで、インカメラが2メガだったのが、最新のモジュールでは12メガと5メガに)できるモジュールを2年後に発売。単にモジュラー式で部品交換できるだけでなく「アップグレード可能な」スマートフォンとなった。

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