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資生堂オープンイノベーションプログラム「fibona」キックオフイベント開催

資生堂、横浜みなとみらいで美を共創

2019年07月10日 06時00分更新

 資生堂は2019年7月1日、スタートアップとのオープンイノベーションプログラム「fibona」(フィボナ)を開始し、横浜みなとみらいの都市型オープンラボ「資生堂グローバルイノベーションセンター」にてキックオフイベントが開催された。fibonaの第1期のテーマは“Beauty Wellness”。美容とヘルスケアに関連するアイデアを広く募集している。

 プログラムの参加者には、資生堂グローバルイノベーションセンターの活用、メンタリング、PR機会などが提供されるほか、優れたアイデアには、共同研究や事業・業務提携、出資などの可能性もある。応募締め切りは、7月26日。

スタートアップや異業種とのオープンイノベーションを加速

 資生堂は、以前から大学との共同研究には取り組んできたが、スタートアップや異業種とのコラボレーションはあまり実施されてこなかった。そこで、有望なベンチャー企業との連携を進めるため、2016年にCVC機能を持つ「資生堂ベンチャーパートナーズ」を設立。第1号案件として、サプリメントをカスタマイズできるサーバーを開発するドリコス株式社への出資している。また、ヘルスケアサービス企業のFiNCと提携し、ビューティーヘルスケア領域における先進的な技術やサービスの共同開発を進めている。

 アメリカの事例では、スマホで肌の色を測定してファンデーションが選べるアプリを提供するMATCHCo社、スマホやウェブでメイクアップのシミュレーションができるAIアプリを開発するGiaran社、シワやたるみが隠せる人工皮膚を開発するセカンドスキン社を買収。

 また大企業との取り組みとしては、マイクロソフトの協力のもと、オンライン会議用バーチャルメークアプリ「テレビューティー」を開発し、2017年のSXSWに出展している。

 今回、より事業を加速させるため、オープンイノベーションプログラム「fibona」を立ち上げた。fibonaとは「美の法則」という意味で、資生堂のユーザー、スタートアップ、異業種の大企業などとともに、美に関する新しい価値を創っていきたい、という思いが込められている。

 プログラム第1期では、“Beauty Wellness”をテーマに、スタートアップや企業から広くアイデアを募集している。

 評価事項は、1.アイデアの新規性、2.ビューティーとの親和性、3.具体性や実現性の高さ、4.将来性や競合優位性――の4点。7月1日より応募を開始しており、締め切りは7月26日。書類選考を経て、8月29日に「fibona Pitch Stage」にてプレゼンテーションを行なう予定だ。

 プログラムに参加するメリットとしては、グローバルイノベーションセンターでの活動、資生堂社員によるメンタリング、デモデイやイベントへの参加など、アイデアに応じた資生堂のリソースの提供が用意されているほか、優れたアイデアには、共同研究の提案、ビジネス化に向けたPoCや事業・業務提携、出資などの可能性もある。

 今回のイベントでは、パネルディスカッション「スタートアップ×大企業オープンイノベーション」と題し、スタートアップ4社による大企業との協業事例が紹介された。

飲む人の体調や環境に合わせて最適なお茶を抽出「Teplo

LOAD&ROAD CEO 河野辺 和典氏

 LOAD&ROADのスマートティーメーカー「Teplo」は、自分好みの煎茶が手軽に飲める新時代のハイテク茶器だ。ユーザーがお茶を淹れる際に、指から心拍数と体温を計測し、室温、湿度、照度、騒音レベルなどを解析することで、気分や環境に合わせたお湯の抽出に反映させている。

 同社が特に力を入れているのがデータ解析だ。お茶を飲んだ後に、スマホアプリからフィードバックを収集し、どんな人がどんなお茶を好むのかというデータを集めている。

 オープンイノベーションの取り組みとしては、静岡県掛川市の丸山製茶の協力のもと、同じ茶葉の量、水量300mlで抽出の温度と時間の条件を変えて、ユーザーからのフィードバックを解析。中間報告によると、年齢・性別、脈拍数によって、美味しいと感じる条件は異なることが見えてきたという。これらの五感のデータを活用することで、お茶だけでなく、食品や化粧品にも応用していくことを考えているそうだ。

 なお「Teplo」は、CES 2019でイノベーションアワードを受賞。クラウドファンディングを開始しており、2020年4月には一般販売する計画だ。

トイレのタイミングを事前にお知らせする「DFree

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 代表取締役 中西敦士氏

 高齢になると、トイレの頻度が増えるが、そのタイミングが気付きにくくなってくる。こうした排泄の悩みを解決するために開発されたのがトリプル・ダブリュー・ジャパンの排泄予測デバイス「DFree」だ。

 おなかに超音波のセンサーを貼ることで膀胱のふくらみを計測し、尿の溜まり具合をグラフに表示。一定の大きさになるとスマホで通知される。トイレのタイミングがわかることで、安心して外出できる。

 すでに量産が始まっており、店頭またはウェブで販売中だ(4万9880円、税別)。さらに排便予測の機能や装着をしやすくするための技術開発も進めている。排便予測は多くの女性の悩みである便秘の解消にもつながり、腸の健康や美肌が期待できそうだ。

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