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スッキリなデザインになってCPUも回って、バッテリーの持ちは・・・

NEC LAVIE Pro Mobile 実機レビュー = 超軽量モバイルノートPCがフルモデルチェンジして実力は!?

2019年05月24日 11時00分更新



 NECPCは5月14日に発表会を行い、夏モデルPCを公開した.中でも注目はフルモデルチェンジした超軽量モバイルノート「LAVIE Pro Mobile」である.

5月16日からすでに出荷されているLAVIE Pro Mobileの店頭モデルは約20万円~

6年目にして最軽量追求から
性能重視へちょっとターン

 2012年に初代LAVIE Zを投入して以来、NECは常に「世界最軽量」をめざしてバージョッアップを行ってきた.おかげで、モバイルパソコン市場における超軽量モデルの構成比は6年間で12%から19%へと、台数では年間約20万台から60万台へと成長した.ライバルとしても、富士通や東芝が超軽量モデルを投入してきたが、ここでNECとしてはちょっと考え直した.

 つまり軽量化ばかりを進めていくと、バッテリーの持続時間やデザイン、そして剛性感が失われていくというのである.そこで、これまでのLAVIE Hyblid ZEROを完全に見直して、「LAVIE Pro Mobile」を開発した.もちろんコンセプトは「プロのためのモバイルノート」である.

837グラムで20時間駆動
なにより表面の塗装がキモチいいのだ

 まずはモビリティとして、従来どおり超軽量と長時間バッテリー、優れたデザインも追求.素材も見直して、満員電車での圧迫にもより強くなっている.

 注目の重さは、従来機より6グラム増加の837グラムと、世界最軽量を目指さなくなったとはいえ軽い.手にしたときの「あっ軽いっ」感はまったくそのままである.

発表会にて並んだ新しい3色でございます.

 バッテリーの容量は49Whを搭載して、JEITA2.0による測定で連続駆動時間は20時間に達し、前モデル(Hyblid ZERO)の約2倍長持ちとしている.ZEROの2018年モデルはバッテリー容量が46Whだったから、増加量は7%弱しかないので、省エネ能力を高めたということになる.

 堅牢性は面耐圧150kgfで落下試験は76センチをクリア、点耐圧も2倍となっている.これは天板の素材を従来のマグネシウム・リチウムからカーボンに変更したところが大きい.カーボンというとなんとなく先祖返りな感じもするが、今回使ってい素材は最高級品で、軽量かつ点加圧やねじれに強く、平面性も保ちやすい.ZEROのMg-Liの天板は1.3ミリの厚みがあったが、今回は0.7ミリへと半分近く薄くなっているのだが、凹み耐性は2倍強くなったという.

 デザインとしては、天板はフルフラットでアンテナラインも見えないようになっている.キーボード面はマグネシウム・アルミニウムのダイキャストとなり、ここも完全にフラットとなった.前モデルではキートップまわりが窪んでいたのがなくなったので、非常にスッキリとしている.

 天板の表面はかなりザラザラした処理になっていて、一見、ThinkPad風なのだが、指紋や手油はほぼ付着しないというキモチのいい塗装である.

ザラッとしたマットな仕上げで、指紋や手油は付着しにくくて好感です.

底面には四隅に棒状のゴム足と吸気口がある.

キーピッチに押下力も変更
クリックも静かでモバイルノートの見本

 キーボードの配列とピッチも変わった.配置としては、メインキーボードの右下の離れた場所に凸型に配置されていたカーソルキーがメインキー内に組み込まれている.

 キーの間隔は18ミリから18.5ミリへと拡大し、またキートップのサイズは10%大きくなった.つまりキーとキーの間が狭くなったわけで、従来の3ミリから2.2ミリになり、「スキスキ」な感じがなくなっている.

左が前モデルのZEROで右が新ProMobileのキーボード.間隔やキートップサイズの変更がよくわかる.

 キータッチも変更され、押し始めと終わりの押下力の差を大きくしたことにより、クリック感や打鍵感を増しているという.

 キーの表面コーティングも変更し、耐磨耗製に加えて、「さらさら感」を増したそうだ.

キートップも「さらさら」な塗装になって高級感マシマシです.

 実際に文字を入力してみたが、ZEROではペタペタ感があったキーが重くなり、打鍵感は向上している.Enterが大きくなってバチンバチンと打ちやすいし、BSもミスタッチしにくいサイズになった.キートップの「プレミアムUVコーティング」は思ったほどツルツルというのではなく、「サラサラ」している感じでキモチはとてもいい.以前ZEROを2世代にわたって使っていたが、そもそもキータッチに特に不満はなかったので、よりよくなったのはいいことなのである.

ボルドー(左)はキートップの印字の色が控えめでなかなか落ち着いた雰囲気である.

 カーソルキーも慣れれば、ホームポジションに近いこの位置が打ちやすい.ただし、カーソルキーの移動によって右シフトキーは小さくなっているので、ココを多用する人はちょっと使いにくいだろう.

 タッチパッドは横幅が9センチで奥行きは6センチとZEROより大きくなっているのだが、ボタンが一体型となってしまった.富士通もNECも独立ボタン型を推してきただけに、「プロ」としては、元に戻していただきたいポイントである.

おじさんとしては、タッチパッドと別体のボタンが好きなんですけどね.

 キーボードもタッチパッドもクリック音は非常に静かで、上品である.電車の中やカフェで「バチバチ」とうるさい入力音をたてるのは非常にカッコワルイということをみんな感じて欲しいのだ.

 液晶は13.3型IPSと変わらないが、輝度は1.5倍明るくなり、室外でもよりみやすくなった.もちろんノングレアで広視野角である.

 カラーリングはメテオグレー(いわゆる黒)、フレアゴールドに加えて、クラシックボルドーを投入.キートップの色と印字色もそれぞれ異なり、特にボルドーでは印字が目立たずシックな仕上がりになっている.黒モデルでも、キートップの文字を真っ白ではなく、某社のような刻印ナシは行き過ぎだが、ギレーにしてシックにしていただきたく候.

 キーボード右上にある電源ボタンには指紋センサーを内蔵.国内PCでは初ではないでしょうか.とにかく電源投入とともに指紋認証で即PCが利用できるので他社もどんどんまねすべきです(元はスマホですがHuaweiがPCに持ち込みました).

指紋センサー内蔵の電源ボタンは、HuaweiのMateBookと同様、一度使うと手放せません.

電源入力はタイプCに
USBはもう1つ欲しい

 インターフェイスは右側にタイプC×1とマイクロSDカードスロット、ヘッドセットジャックが、右側にはHDMIとタイプA×1、タイプC×1が装備されている.左側のタイプC端子はパワーデリバリーによる充電可能なもので、付属のACアダプターはここに接続することになる.

本体向かって左側(写真上)には、USBは電源接続用のタイプC端子しかないので、ぜひもうひとつ追加していただけるとうれしいです.

 ちなみに店頭モデルのACアダプターは45W出力のものだが、ダイレクトでは65W出力のアダプターが購入でき、1時間で80%まで高速充電できるという.

本体前面(写真上)のエッジの部分はハングオーバー型になっていて、指をかけやすい.

 全体としてタイプAが1つだけというのは、プロ向けとしてはギリギリな感じがする.タイプC端子のひとつは電源に使われてしまうので、ホームで使うときには左側には空きのUSBがなくなる.ZEROもそうだったのだが、SDカードスロットがマイクロになったこともあり、有線LANが使いたいこともあり、ぜひ左にもうひとつUSBを増やして欲しいのだ.

タッチパッドのボタンがなくなったので、遠目にもなんだかスッキリしていますね.

ダイレクトモデルでは
タッチパネル、16GBにLTEも内蔵可能

 店頭モデルはCPUがコアi7-8565Uまたはi5-8265U、つまり第8世代の最新WhiskeyLake-Uである.メモリは8GB、SSDは512と256GBで、オフィスはHome&Business2019がプリインされている.

 WEB直販のダイレクトモデルでは、コアi3-8145Uが選択可能で、メモリも4GBや16GB、SSDは128GBと1TBというふうにイチバン下と上が拡張されている.

液晶を開くと、本体後部が持ち上がってキーボード面に傾斜がつくしくみ.最近みんなこのカタチになりつつありますが、狭い机や膝上ではちょっと不便なこともあります.

リフトアップ機構のために、天板の奥にポッチが2つあります.せっかくのフラットデザインなので、ちょっと悲しいですね.

 またLTEモデムの内蔵を選択可能なほか、容量の少ない(つまり軽い)Mバッテリー(容量33Wh)も選択でき、OSでは10Proが、オフィスでは「なし」と「Personal」も選択可能だ.型番は「LAVIE Direct PM」となっているのでまちがえないようにしよう.

液晶が180度フルフラットまで開くのもキモチがいいですね.対面での打合せもしやすいです.

CPUもグラフィックももちろん速度向上
バッテリーは・・・

 気になる速度の変化はどうなのかというと、まずCPUの回り具合であるが、シネベンチのCPU値は578であった.ZEROはi7-8550Uで534だったから、8%ほど速くなっている.i7-8565Uを搭載しているVAIOのSX14で694、XPS13では744を叩き出したから、ProMobileはちょっと遠慮した回しっぷりである.

ボディ全体に対して、大きめのファンがドーンと設置されていて頼もしいですね.バッテリーの左上にSSDスロットが、フアンの右上に通信カードスロットがあり、LTEモデルではここにミニボードが設置されます.

 とはいえ、3Dグラフィックスを表示する3DMarkのFireStrikeでは1214と、全開バリバリの速度が出た.上記のSX14では1199、XPS13は1208だったので、Pro Mobileはi7-8565Uを搭載した(GPU非搭載の)PCでは最高速度である.バッテリー動作時間を伸ばすために回転数を「抑えて」いるわけではないようだ.

CPU値はふつうでしたが、3DMarkのFireStrikeはなかなか良く回ってくれて、安心のMAX性能です.

 試用機のSSDは512GBでSAMSUNGのMZVLBと、ZEROと全く同じものが使われていた.クリスタルディスクマークのマルチシーケンシャルはリードが3238、ライトが1879とモバイルノートとしては最高レベルが出ている.このあたりはヌカリないのである.

ヒンジの間、写真では右寄りにあるのが排気口で、利用時は液晶面に沿って排気が流れるしくみです.

 注目のバッテリーベンチでは、いつもどおり「最も高いパフォーマンス」で、液晶は最高輝度でテストしたところ、2時間12分だった.この条件で2時間動けば、通常利用で4時間はもつのでモバイルノートとしては合格である.液晶の最高輝度が1.5倍になっているので、100%でベンチマークをとると不利になるところではある.

 試しに、電源モードを「バッテリー節約機能」にして、液晶は最高輝度のまま実施してみたところ、4時間18分稼働した.モバイルノートとしては合格である.

 充電のほうは、最初と同じフルパワーで起動しながらで、50%までが99分、70%まで152分、90%まで253分と、遅めの結果だった.ACアダプターが出力45Wとしてもちょっと遅い.ここにも液晶の明るさが影響している.気が短いみんなは65Wのアダプターを使うのも吉である.

世界最軽量ではないけれど
超軽量で完成度の高いモバイルノートである

 最初にPro Mobileを手にして感じたのは「やっぱり超軽いじゃん」ということ.今回の試用機を測ったところ、824グラムと、カタログ値の837より軽かった.ケーブル込みのACアダプターは226グラムなので、合計でも1050グラムとずばり1キロで済んでいるのは非常にありがたいのだ.

サウンドはいい音とまではいえませんが、声はとても聞き取りやすくなりました.

バッテリーの下部の左右に、しっかりとしたスピーカーユニットが設置されています.

 そして、表面の手ざわりと油のつきにくさもいいし、キーボードがとても良くなって、液晶がとても明るくなって、ZEROに比べると使い心地は大きく向上している.キーボード面がフラットなのもスッキリしていてキモチがいいのだ.

コネクター部分を(左右とも)きちんと金属で補強しているのを見ると、NECの設計の良心を感じますね.

 ZEROは液晶が360度回転する2in1型だったが、基本に戻って、ProMobileは純クラムシェルとなった.おじさんとしては「それみたことか~」なのであるが、それはいいとして、SDカードスロットがないのがちょっと寂しいが、LTEモデルが選べるのは◎である.液晶まわりとか、まだちょっとスッキリすしてほしい部分もあるので、さらにシェイプをお願いしたいし、愛あるがゆえに液晶をもうすこし縦長にしていただいてもけっこうなんですけどね.

 とにかく、モバイルノートにキビしいプロのみなさんは、ZEROを生んだNECが出した、新しい「プロのためのモバイルPC」を、ぜひ、店頭で触って、買って、試してみてほしいのである.

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