週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ゲームって遊びじゃないの? ゲームのプロってなに?

日本人プロゲーマーの生活 もっと知られるべき過酷な実態とプレッシャー

 新年あけましておめでとうございます。ウェルプレイド株式会社の谷田です。平成最後と言われることが増えてきましたが、どんな年越しを過ごしましたでしょうか? 僕はずっとキムタクが主演を務める「JUDGE EYES:死神の遺言」を遊んで過ごしました。新年最初の連載ということでちょっと話を変えて、プロゲーマーとはどういう存在なのか? どうやって生活しているのか? ということを、具体的な例をあげながら少しお話できればと思います。

「ストリートファイター」で活躍するプロゲーマーの場合

 「情熱大陸」という番組で、日本人プロゲーマー・ときど選手が特集され、プロとしての活動や考え方、向き合い方などを密着するドキュメンタリーが放映されました。現在第一線で活躍するプロゲーマーたちの中で、最も過酷な環境で戦い続けているゲームタイトルのひとつが「ストリートファイター」のプレイヤーたちです。

俺より強いやつに会いに行く

 かつて、「ストリートファイターII」が日本中で大ヒットしたときに聞いたことがある方がいるかもしれません。そんな有名キャッチコピーを現実世界で毎週世界中を飛び回り、強いやつ(選手)と戦い続けているのが現在のプロゲーマーと呼ばれるプレイヤーの状況です。

 ストリートファイターのプロゲーマーの生活はというと、「先週はアメリカ」「今週はフランス」「来週は台湾」そんな感覚で毎週末のように世界中のどこかで開催される大会のほとんどに出場し、大会の結果に応じたポイントを集めていくということを3月末~10月ごろまでずっと続けます。

 世界中のあらゆる国のプロゲーマーが約1年かけてそのポイントを集めポイントの続ける中、最後上位32名だけが出場できる世界王者の座をかけた決勝大会が「カプコンカップ」です。ストリートファイターのプロゲーマーは12月に、賞金数千万円におよぶ決勝大会に出場するために、毎日しのぎを削っているわけです。

 ちなみに、プロゲーマーの日本での生活例は、
・日本に帰ってきたら、1日8~12時間ほどプロ同士が集まって対戦
・コミュニティが開催する対戦会に参加
・自身で(ひとりで)トレーニングに励む

 これらに加えてプロゲーマーとしての活動の一環として、
・動画や生放送などを自身で配信
・番組に出演
 といったことをしながらプロとして活動しています。

プロゲーマーは常に「戦い」の中で生きている

 プロゲーマーは当然ながら、結果次第で獲得する賞金や所属するプロチームの収入が大きく変動します。というのも、厳しい勝負の世界で戦う中で、日本の「ストリートファイター」のプロゲーマーだけで20~30名います。大きい大会ともなると、1回の大会に3000人~4000人のプレイヤーが参加します。そこから年末の「カプコンカップ」決勝に出場に必要なポイントをもらえる人数はおよそ16名程度。

 毎月、固定でお給料をもらいながら戦っている選手は、プロの中でもごく一部です。世界を回るため、時差ボケと戦い、毎年変わるキャラクターのバランス調整(※)と戦い、自身の収入と支出とも戦い、自身の年間の結果を待つ前や、1年単位でプロゲーマーとしての契約が終了してしまうプレッシャーと戦っていることもあるわけです。
※バランス調整:キャラクターごとの能力や技性能など、強さに調整が入り変更されます

 集中して対戦する時間と体力を持つプロゲーマーたちが全世界に100人規模でいるなかで、たったひとつのチャンスをものにし、プロゲーマーになる新しい若手プレイヤーは次々と出てきています。

 非常に過酷で厳しい戦いをこなし、毎日切磋琢磨しているプレイヤーたちを、僕自身も、そして会社のスポンサーとして支援している僕らウェルプレイドの立場としては、どうしても応援には熱が入りますし、頑張ってほしいなと思うわけです。少しでも長く、良い活躍を続け、自身のキャリアが素晴らしいものになればと毎日思いながら支援を続けています。

 さて、いくつかの視点でeSportsスポーツを切り出しながら具体的なお話をしてみましたが、いかがでしょうか。なかなかこういうお話を文字ベースですることも経験がないため、わかりづらいお話があったかもしれません。ただ、最近耳にするeSportsスポーツの現場で、選手はどんなことを考え、何が起きているのか、を少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。

 まず何を知ったらいいの? ということであれば、好きなゲームの種類から(例:格ゲー、カードゲーム、FPSなど)興味を持つもヨシ、その好きなゲームのプロの中から、自分の地元が同じとか、自分が好きなキャラを使っているとか、その人の配信が面白いとか、どんな形でもいいので興味を持つことが大事です。このきっかけからeSportsの世界に踏み込んでみてはいかがでしょうか。2019年の抱負に掲げてみてもいいかもしれません。

 今年も、少しでもeスポーツに興味を持っていただけるように、さまざまな視点でeSportsの現場や最近の状況、素朴な疑問を触れてご紹介していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ウェルプレイド 代表取締役
谷田 優也(Twitter:@akahossy

 ソーシャルゲームのプロデューサーを経て、渋谷のゲームセンターで『ストリートファイターIV』をやりこみ、“ザンギエフ使いのアカホシ”として名が知られているときに出会った髙尾恭平と共に、2015年11月にウェルプレイドを設立。「ゲームが上手い人、上手くなろうと頑張っている人が世間で高く評価される時代にしたい」という思いから、日本初のeSports専門会社としてeSportsに関する企画、プロデュース、運営、コンサルティング、配信等を行う。
http://wellplayed.jp/

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう