2018年12月13日09時00分

ナビタイムジャパン、カオナビ、シンプレクスのSlack活用法とは?

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 「Slack」で組織内のチャットコミュニケーションができるということはなんとなく知っていても、実際にビジネスの現場でどう活用されているのかはわからないという人も多いだろう。今回はそんな人たちのために、2018年11月26日に開催されたSlackのユーザー事例紹介セッションを紹介しよう。

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ユーザー3社がSlack導入について語る

パブリックチャネルが導入の決め手となった「ナビタイムジャパン」

 「Slack」が日本でサービスを開始してからちょうど1年が過ぎた。デイリーアクティブユーザー数は50万人を超え、世界第2位の規模となっている。グローバルでは100カ国で展開し、1000万人以上のユーザーを抱えるイケイケのサービスとなっている。

 まずは、SLACK JAPANの越野昌平氏のあいさつ。今回は「Why Slack?」ということで、なぜSlackを検討し、なぜSlackを導入し、どのように活用しているのかを紹介する。

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まずはSLACK JAPAN BUSINESS GROWTH JAPAN 越野昌平氏のあいさつ

 最初に登壇したのは、経路検索アプリを開発しているナビタイムジャパン 経営推進部 情報システム担当 天野剛志氏。1998年、世界初のトータルナビゲーションシステムを開発し、2000年3月に会社を設立した。天野氏は、社内システムの運用や構築、推進を担当している。

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ナビタイムジャパン 経営推進部 情報システム担当 天野剛志氏

 同社がSlackを導入したのは2016年7月。社内にはチャットアプリが乱立していたそう。各部署によってアプリが異なり、独自の運用が行われていた。個人間の会話にしか終始しなかった。もちろん、他のシステムとの連携もできない。そん中、Slackに出会って、検討を始める。

「Slackの優位性は3つあります。充実したAPIとパブリックチャネル、機能追加のスピード感です。この3点を評価し、導入に踏み切りました」(天野氏)

 情報システム部が「Slackを導入します」と言ったところ、社員から「前から使いたかったのでうれしい。API連携の豊富さを知っているので、早く使いたい」という声が上がった。パイロットユーザーを募集したら、なんと3分の2も手が上がったそう。そこで、即導入に踏み切った。無料版だと1万件までしか扱えないので、情報保全のために製品版を契約した。

 1ヶ月間、既存のチャットシステムと併用したが、好意的に利用されたという。もとからエンジニアに知名度があるシステムだったのが理由だ。天野氏が導入に際して留意したのは、使用開始までの敷居を下げること。

 社内全員にSlackのアカウントを配布したが、同時に「#help_slack」という質問専用のパブリックチャネルを作った。さらには、全社向けのマニュアルを用意し、よくある質問に対応したそう。当初は、一気に質問が来たそうだが、1ヶ月くらいで落ち着いた運用ができるようになった。

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質問用のチャンネルを作ったところ、数百件の質問が殺到したという。その後マニュアルを作成し、落ち着いた

 マニュアル内には、各チャンネルの命名ルールも定めた。会社の組織構造に合わせて、チャンネルの作成ルールを規定したのだ。たとえば、部署系なら「div_xxxxxxx」、日報なら「times_xxxxxxx」といった感じだ。

 元から用意されている「#general」チャンネルには、全社員に対する連絡用として活用。「#random」は全社員の雑談チャンネルとした。フットサル部が大会に出場したといった内容はここに投稿する。この2つで全社連絡の情報も集約したのだ。

「Slackの導入により、社内情報の可視化と情報格差の撤廃が進みました。パブリックチャネルのおかげです。業務に関わるほとんどの情報がパブリックチャネルに投稿されており、自発的な情報の発信と取得が行なわれています」(天野氏)

 導入当初はパブリックチャネルの割合は高くなかった。2016年7月の段階では、パブリックチャネルとプライベートチャネル、DM(ダイレクトメッセージング)の割合は、3:5:2だったという。2018年11月では、8:1:1になっており、情報の共有がスムーズに行なわれるようになった。パブリックチャネルという適切なコミュニケーションの場があると、自発的にコミュニケーションするようになり、価値を生み出すようになるそう。そしてパブリックチャネルの会話は他人から見られるので、洗練されていくという。

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パブリックチャネルへの投稿率が今では80%に増加し、開いたコミュニケーションが行なわれていることがわかる

 現在は、職種を超えてボットを活用している。社内のミーティングスペースは予約なしで使えるが、実際に行ってみると空いていないということがあるそう。そこで、ウェブカメラを設置して画像を確認できるようにした。さらには、トイレの個室の空きを確認したり、社員名で座席位置を教えてくれるボットもあるそう。

「Slackはチャットツールの枠を超えたコラボレーションツール、情報集約基盤です。パブリックチャネルの存在は、自発的に情報を共有し、取得するという企業文化を醸成してくれます。今後は、SSO連携や2要素認証の導入促進、Slack疲れを防ぐ、社内システムと連携したボットの開発などを目指しています」と天野氏。

 Slackユーザーとしては当たり前にも思えるパブリックチャネルを活用することで、社内文化の醸成に寄与し、業務に活用しているナビタイムジャパン。ボットもがっつり使いこなしており、今後の取り組みにも注目していきたい。

2ヶ月で移行完了! Slackとの連携も予定している「カオナビ」

 クラウド人材管理ツール「カオナビ」は、顔と名前が一致しないというコンセプトで生まれたサービス。社員が100名くらいになると、顔と名前が一致しない人が出てくるのがネック。カオナビを利用すれば、顔写真と個人の情報が並び、確認できるのが特徴。イベント当日から、タクシー広告が流れるということで動画も再生された。コテコテの社長が社員の顔を覚えず、モチベーションが下がってしまうという内容で面白かった。

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カオナビ 執行役員 兼 最高技術責任者 和賀勝彦氏

「カオナビでは、元々Chatworkを使っていました。あるエンジニアが広げた感じで、運用していく中で問題が出てきました。エンジニアの採用で『Slack使ってますか?』と言われ、ギクりとしたり、Chatworkのグループが乱立して見えにくくなったり、情報がきちんと流通していないと感じました。ほかのアプリケーションと連携したいということもありました」(和賀氏)

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いろいろな課題を感じ、チャットサービスの移行を検討していた

 カオナビでは四半期に一回、ボードメンバーで断捨離会議を行なっている。そこで「Slack」への移行を提案し、承認をもらった。Slack移行プロジェクトが発足し、もちろんプロジェクトオーナーは和賀氏。リーダーやメンバーも用意し、2か月で移行を完了した。

 移行の際に重視したのが、Slackの社内啓蒙だったという。和賀氏は「Slackって便利だよ」とずっと言い続けたそう。加えて、チャンネルの命名規則やプロファイルにおける表示名とユーザー名の規定などを進めた。検索性に関わるので、細かいところだがこだわっている。既存のチャットサービスのグループには責任者を立てて、それぞれで移行させたという。

 さらに、意識的に社内メールをやめるように上からお達しを出した。それで、大きくメールのやりとりが減ったようだ。社内にあったファイルサーバーもなくして、Googleドライブに移行し、Slackと連携させた。

「Slackを導入した効果としては、見た目がかっこいいこと。これはモチベーションとしてはけっこう重要です。エンジニア採用に際にも自慢げに言えます。各個人が情報の取得量をコントロールしやすくなったかなと思います。後は、絵文字による応答のしやすさもよかったです。絵文字で回答できると、チャンネルが間延びしないので便利です」(和賀氏)

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Slackを導入することによって、コミュニケーションの活発化に加え、プラスアルファのメリットも出たそう

 導入したことで、気になるポイントも出てきた。以前のチャットツールであまりグループに参加していなかった社員は、Slackになったことで情報過多になったのだ。しかし、これは情報処理能力が鍛えられるという効果もあったそう。また、Slackに慣れていないために、「@everyone」の乱用など利用マナーが悪い人もいる。ここはさらなる啓蒙が必要だという。

 Slackに対しては、チャンネル名の小文字固定をなくしてほしいという要望が出た。これは、同様に感じている人が多そうだ。

「これからやりたいこととしては、便利ボットの開発を選手権として競ってもらいたいなと思っています。カスタム絵文字も拡充したいです。弊社2か月ちょっとで100ちょっとなので、独自のカスタム絵文字を増やしていきたいと思っています」(和賀氏)

 カオナビは昨年までは人材データベースと人材評価の2本柱だったが、今年からはいろんなところとつなごうと動いているという。すでに、組織改善やエンゲージメントでは「SPI 3」、求人のマッチングでは「リクナビ HR Tech」、給与計算では「MFクラウド給与」などと連携している。さらに、2018年度中には、カオナビとSlackの連携も予定しているという。これはとても楽しみな取り組みだ。

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