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対談・Planetway CEO 平尾憲映×ミネルバ大学インターン生 第1回

プラネットウェイのビジョンに共感したミネルバ大学の学生たち

2018年10月23日 11時00分更新

文● ASCII
提供: プラネットウェイ

 情報国家エストニアの技術をコアにもつ、日本のテクノロジーベンチャー・プラネットウェイ。世界を変えるという壮大なビジョンを掲げる同社代表の平尾憲映CEOの目に留まったのは、今、「世界でもっとも入りにくく、世界中のエリートが一番入りたい大学」と噂されるミネルバ大学の学生たち。ミネルバ大生のインターンシップの受け入れを決めた平尾代表は、彼らの中に何を見たのか?また、彼らエリート学生たちがプラネットウェイでのインターンを志望した理由とは?平尾代表と、イサベラ、ジェイソン、オスカー、3名のインターン生による対談(ジェイソンとオスカーはオンラインでのミーティング参加)を通じてあきらかにする。(全3回)

Speaker:
プラネットウェイ 代表取締役CEO
平尾憲映

1983年生まれ。エンタメ、半導体、IoT分野で3度の起業と1度の会社清算を経験する。学生時代、米国にて宇宙工学、有機化学、マーケティングと多岐にわたる領域を学び、学生ベンチャーとしてハリウッド映画および家庭用ゲーム機向けコンテンツ制作会社の創業に従事。在学時に共同執筆したマーケィングペーパーを国際学会で発表。会社員時代には情報通信、ハードウェアなどの業界で数々の事業開発やデータ解析事業などに従事。

平尾代表を虜にした世界最難関大学の学生たち

平尾 まずは、ミネルバ大学のことを先にご説明しましょう。ミネルバ大学は、大変新しい大学ですので、日本の人はあまりご存じないかと思いますので。

 ミネルバ大学は私の知る限りでは、特に入学が難しい大学の1つだと言われています。入学率は1.9%くらいで、サンフランシスコで設立されました。ハーバードやMITといったトップクラスの大学のさらに上を行く「教育プログラム」を実施しており、カリキュラムも実にユニークな独特なものです。「オンライン大学」で、最初の学期の間に少なくとも1つの国に留学することになってます。

 それでは、みなさん自己紹介をお願いします。

イサベラ 私はイサベラといいます。ベラと呼んでください。私は1ヵ月後にKGIのミネルバ大学で2年生になります。「ビジネス」と「コンピューター サイエンス」を専攻しています。 南アフリカ出身です。

ジェイソン ジェイソンです。ベラもそうですが、私もこの9月に2年生になります。台湾出身です。私の専攻分野は、今は「コンピューター サイエンス」で、第2専攻は何にするか、まだ考え中です。今日はよろしくお願いします。

オスカー オスカーです。グアテマラ出身です。ジェイソンとベラのクラスメートで、私もミネルバ大学の2年生になります。「サイエンス」の分野内で、「コンピューター サイエンス」と「数学」の2つ専攻を取りたいと思ってます。

ミネルバ大のインターンイサベラ。

プラネットウェイ・東京オフィス滞在時のオスカー(右)とジェイソン(左)

平尾 今回、 皆さんは12週間ほど日本に滞在し、インターンシップを経験することになってます。日本の後は、韓国に行かれるんでしたよね?

ジェイソン ええ、そうです。韓国の次は、インドのハイデラバッドに行く予定です。それからドイツのベルリンへ向かいます。そして、アルゼンチンのブエノスアイレスと続きます。昨年はロンドンに行きました。

平尾 毎年、いろいろな国に行って、スタートアップ企業でインターンとして働くわけですね。通常の教育プログラムは基本的にオンラインのプラットフォームで行い、それをミネルバ大が提供している、という認識でいいですか?

イサベラ はい。基本的には4年間の学部プログラムです。各学期ごとにはじめての町を訪れ、「アクティブ学習プラットフォーム」と呼んでいるものを使ってそこで学習します。ですから講義というものはなくて、ミネルバ大学のクラスでは皆が何かを話し、貢献することで、参加していくという授業体系です。それから、学期の間にインターンで働くことが推奨されています。ですから、私たちは今それを、日本でやっているんです。

平尾 実は、彼らを受け入れる前に、日本の国立大学の学生さんをインターンとして採用しました。日本では最高クラスの大学でしたから期待していたんですけど、今の段階の当社ではフィットしなかったですね。それでインターンには失望していたんです。インターン制度なんていらないと思ってました。

 でもプラネットウェイの投資家であるMistletoe(ミスルトゥ)がミネルバ大学は違うよ、とにかく試してみてと。大学の沿革について読みましたし、昨年ミネルバ大学の学生をインターンで使った他社のことも聞きました。すると、ミネルバ大学の学生のことを、各社が驚くほど高く評価していたんですね。これは試してみる価値ありかな、と思ったんですね。

 私自身、アメリカで学校に行っていた時、自分の専攻を何度も変更して他の大学3校か4校に行ってみたんですよ。3つか4つの科目を専攻していて、住居もユタからコロラド、カリフォルニア、ロサンゼルスといったふうに変わっていったんです。

 ミネルバ大学のオーガナイザーの方と会ってみて、これって自分の若かったころやったようなことをやってるなあと思ったんです。ただ、私は自分一人でやらないといけなかったけど、それをもっと体系化してやってるんですね。私の場合、大学を選んで専攻を変え、自分であれこれ学ばないといけなかったので、大変コストがかかりました。でもミネルバ大学の方向は、とてもよく似ていると感じます。

 ですから、ミネルバ大学とはさらに協力しようと思ってます。インターンの学生さんを迎え入れるだけじゃなくて、世界の教育の在り方を変えるためにも。当社にとっては、優れたパートナーでもあります。

 それにミネルバ大学はSTEM(Science、 Technology、 Engineering、Mathematics)研究でも有名です。

イサベラ ええ、リベラルアーツの大学ですよね。STEMの学位だけじゃなくて、5つの異なる学部があって、芸術や人文系、社会科学、自然科学、コンピューター科学、ビジネスを専攻できるんです。ビジネスとコンピューター科学など、複数専攻している人もいるんです。ミネルバ大学は特に、STEMに焦点を合わせていると考えてもいいでしょう。でも、全体としては単にSTEMだけを主に扱っているわけじゃないんですが。

平尾 今年ミネルバ大学から日本に来ている学生さんは、何人いるんですか?

イサベラ 22人です。

平尾  プラネットウェイにインターンを申請した学生は12人いました。日本に来てる22人中12人です。私はそこから、3人を選んだんです。私としては当初、2名以上を取る気はなかったんです。普段は一人だけですから。つまり、一人か二人というのが通常なんです。3人も雇う必要があるかどうかわかりませんでしたからね。でも今回は、ベラもジェイソンもオスカーもとても優秀で、3人とも、独自の才能がありました。

 私が一番感心したのは、私がプラネットウェイのビジョンを語ると、18、19、20歳といった若い彼らが、しっかりとその潜在性を理解し、プラネットウェイの5年後の姿をしっかり想像できているんです。これには驚きました。こんな若い人たちが分かってくれるんですから。

 100%というわけでなくても、すぐに理解してくれたんです。こちらの3名の学生さんたちと面談したとき、こんなことを聞いたんです。5年後とか10年後、15年後に、当社はGoogleのようになれると思いますか?って。たいていの日本の人なら、私を笑うような質問だったんですが。

 そうしたら3人とも、「ええ、なれますよ」って答えてくれたんですね。日本で仕事をするようになる以前は、私のことを理解してくれるのは、高齢の皆さんばかりだったんです。70代から50代、最年少で45歳でした。ところが、この3人は18歳とか20歳で、理解してくれたんです。私としては、こんな若い人たちが自分を理解してくれるなんて思いませんでしたからね。

 それで私も舞い上がって、この3人全員をインターンに採用しようと思ったんです。彼らも、私と同じ方を向いているんですね。そういう反応でなかったとしたら、始めていなかったかもしれませんね。確かに“ミネルバ大学の学生”ということなんですけど、実際に会った学生さんたちが肝心でした。

ミネルバ大生のプラネットウェイのファーストインプレッション

平尾  続いては、皆さんがプラネットウェイのことをどう思われたかお話してもらえますか?

イサベラ 私たちが応募したのは、「ミスルトゥサマープログラム」を通してです。プログラムには確か、日本企業13社でのインターンが紹介されていました。そのほとんどは、スタートアップの会社でした。私たちは3人ともプラネットウェイを第一希望に選び、ここでインターンをしました。

 私が選んだ理由には、各社を比較して、それぞれの会社のミッション(企業理念)を調べたら、プラネットウェイの企業理念は「個人がデータ主権を持つ」というもので、私にもよく共感できたんです。「利益」よりも「個人」に焦点があたっていたので。それが、私が最初にプラネットウェイに惹かれた理由でした。

ジェイソン 私も、そうです。ベラと同じようにプラネットウェイ の理念に深く共感したんです。特に最近は、セキュリティのことを学び始めて、データの転送セキュリティや、それぞれの人が持つ個人データをどのように個人が活用するか、という面に特に関心があるんです。また、知的財産にも関心があるので、プラネットウェイはまさに関連のある仕事だと思ったんです。そういった事は、この会社のまさしく「中核をなす価値観」だと思ったんです。

 そして、この会社の理念が自分の持つ「哲学」と一致しているということで、この会社でのインターンに応募し、働かせてもらうことになりました。

オスカー 私の場合もよく似ています。私も他の12社の企業のそれぞれの理念を読んで、その大半は極めて伝統的だなあと思いました。つまり、「何かやりたいことがある」って、それだけなのです。

 ひとつ付け加えるなら、背景として、私は「暗号通貨」にとても興味があっったんです。それはちょうど、本質的な観点からすると、巨大組織から権力を取り上げるようなものなんです。

 プラネットウェイの理念を読んでみると、大企業に個人のデータを独占的に所有させない、なんて書いてあって驚きました。これこそ、大組織から力を取り上げて人々に取り戻す話じゃないかと。だから、他の会社には関心が向きませんでした。そういう企業だと、単にここに応募してみればいいなぁ、というような感じで終わっちゃうでしょ。でも、最終的にはこの会社こそ自分にとって良いと自然に思いましたし、実際に楽しくうまく行っています。

平尾 ミネルバ大学からのこの3人のインターンの皆さんを迎える前に、日本の国立大学からのインターンが先に2名いたんですよ。でも彼らは、2ヵ月しかうちにいませんでした。彼らのものの考え方とか、仕事の仕方が、自分で積極的に仕事をしようという姿勢ではありませんでした。何もかも私が指示しないと動けない。まったく初歩的なことから、仕事の仕方まで。

 こういう仕事をしなさいと言っても、違うことをやってくる。ですから私としては、現時点でのプラネットウェイにはインターンは向いてないなと思っていたんです。でも先程申し上げたように、この3人はまったく別でしたね。いい意味で、ショックでしたよ。

第2回に続く

(提供:プラネットウェイ)

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