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イノベーターの“ゆりかご”となるか

ハイサイ比嘉オススメ、夏のPython学習に効くワンボードマイコン「micro:bit」

2018年07月13日 13時00分更新

ホビー向け・教育向けコンピューターの再構築

 教育・ホビーを意識したSBC(シングルボードコンピューター)というと、イギリスのラズベリーパイ財団による「Raspberry Pi」シリーズがおなじみ。2016年9月に全世界で累計1000万台の販売を達成し、その後も順調に発展を続けこの2018年3月には「Raspberry Pi 3 Model B+」がリリースされている。

「Raspberry Pi 3 Model B+」。実売価格は5900円前後(税別)。「Raspberry Pi Shop by KSY」や「スイッチサイエンス」だと、安価に購入しやすい

 1000万台販売達成時、ラズベリーパイ財団が公開したコメント「TEN MILLIONTH RASPBERRY PI, AND A NEW KIT」では、1982年登場のホームコンピューター「コモドール64」シリーズ、1980年登場の「シンクレア ZX」シリーズ、またBBC(英国放送協会)とエイコーン・コンピュータによって1981年に発売された教育用途向け「BBC Micro」の名を挙げる形で1980年代のホビー向け・教育向けコンピューターの再興に触れており、興味深く思った方もいるはずだ。

BBCが改めて生み出した「BBC micro:bit」とは

 先に挙げた「BBC Micro」発売から約35年、その名を引き継ぐ形で生まれたのが「BBC micro:bit」(マイクロビット。以下micro:bit)だ。BBC Micro同様にBBCが中心となり、STEM教育(Science、Technology、Engineering and Mathematics。科学・技術・工学・数学教育分野の総称)・プログラミング教育を目的に開発された(回路図およびリファレンスデザインは、「micro:bit hardware repository」「micro:bit Reference Design」で公開されている)。

「BBC micro:bit」(表)。国内の実売価格は2160円(税込)

こちらは裏面。サイズは43×52×11mm。重量は9g

各種センサー類などの配置。micro:bit開発者向けサイトより

「BBC micro:bit」の主なスペック
CPU Nordic nRF51822(16MHz。32bit ARM Cortex M0ベース)
メモリー 16KB
インターフェース マイクロUSB 2.0端子、バッテリー接続端子(2ピンPHコネクター)、Bluetooth 4.0+LE、P0-P2端子、電源端子、グラウンド端子
ボタン 2個(A、B)、リセットボタン
センサー 地磁気、加速度、温度、照度(LED兼用)
LED 25個(5×5)、USB確認用
サイズ 43×52×11mm
重量 9g

 micro:bit教育財団が管理を担当しており、2016年にイギリスの11~12歳(Year 7)の全学生対象に約100万台が無償配布されたほか、アメリカ・カナダにおいては2020年までに200万人の児童にmicro:bitを利用してもらうことを目的に活動を行なっているという。

 日本では、同じく2020年までに30万人の児童がmicro:bitで学べるよう活動中で、スイッチエデュケーションがmicro:bitの日本公式販売代理店となり、2017年8月より直販価格2160円(税込)で販売されている。2018年6月には、業界団体ウインドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)が、プログラミング教育応援プロジェクト「MakeCode×micro:bit 100プロジェクト」として小学校100校に無償配布(1校あたり20枚提供)を実施するなど、普及に向けた取り組みが着実になされつつある。

       
ウインドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)が公開しているmicro:bit紹介動画

micro:bitは、従来のSBCと何が違う?

 micro:bitが従来のSBCと大きく違う点は、非常にシンプルなことだ。OSをインストールする必要はなく、PCにUSBケーブルで接続するだけで一般的なUSBメモリーのように認識される。USB経由で電力が供給され、電源スイッチなども存在しない。電源を切りたい時は、USBケーブルを取り外すだけでいい。

micro:bitは、OSなどのインストールは必要なく、PCとUSBケーブルで接続するだけでOK。USB経由で電力が供給され、電源スイッチなども存在しない。電源を切りたい時は、USBケーブルから取り外す

PC上では、「MICROBIT」という名前のドライブとして認識される。何も知らないと、風変わりなUSBメモリーのようにしか思えないはず

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