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DSD 11.2MHzやMQAにも対応

3万円台で買える入門・全部入りハイレゾ機「ACTIVO CT10」

2018年04月20日 11時00分更新

 アユートはGroovers Japanのハイレゾプレーヤー「ACTIVO CT10」を4月27日に国内発売する。アユートの直販サイト「アキハバラ e市場」での販売価格は3万9980円。

 昨年12月の「ポタフェス 2018 WINTER」で試作機を公開。ハードの基本構成は同じだが、ファームウェアを更新し、大幅に機能強化を図った。具体的には下記の通り。

  1. 最大400GBのmicroSDカードに対応
  2. PCM変換によるDSD256(DSD11.2MHz)ファイルの再生
  3. DSD256のUSB出力(DoP)
  4. Bluetooth接続時のコーデックにaptX HDを追加
  5. MQAの再生に対応

 GUIも改良を加えており、アルバムジャケット表示のデザインが変更となった。公式発表はされていないが、音質面のチューニングも進んだようだ。

 Astell&Kernが開発した「TERATON」を内蔵する。DACチップ、ヘッドフォンアンプ、クロックジェネレーターなどをワンモジュールに収めたものだ。これだけでハイレゾ再生のための主要回路が揃い、ハード開発の工数を大幅に省力化できる。量産が進めば価格も抑えられるはずだ。CT10のようなポータブルプレーヤー以外にも車載機器やIoT機器への搭載を予定している。

 CT10が採用した第1世代のTERATONモジュールは、シーラス・ロジックのDACチップ「CS4398」を1基搭載。ヘッドフォンアンプ出力は22mW(8Ω)/36mW(16Ω)。最大192kHz/24bitのPCM再生が可能となっている。S/N比は115dB。ひずみ率(THD+N)は0.0005%となっている。

再生中画面

 本体サイズは、およそ幅65.2×奥行き15.5×高さ93.2㎜で、重量が約112g。丸みを帯びた筐体はコンパクトで手になじむ。筐体はポリカーボネート製で、ボディーは軽快なホワイト、ダイヤル部分はミントグリーンになっている。

 これ以外の基本スペックは、3.4型のタッチパネル付き液晶ディスプレー(480×843ドット)やIEEE 802.11b/g/n対応のWi-Fi接続機能、16Bの内蔵ストレージなど。ヘッドフォン端子は3.5mm3極の1系統。充電にはMicro-USB端子を使用する。

非常に多機能で、使いやすさにも配慮した仕上がりに

 CT10の機能に関しては12月の記事でも詳しく紹介している。さらに短時間ではあるが、改めて最新版ファームウェア搭載機を試用できた。

 まず感じたのは動作の軽快さ。直接比較はしていないのだが、一度起動さえしてしまえば、アルバムアートなども素早く出て、スクロールなどのもたつきも感じない。昨年末の試作機よりも軽快だし、細かなバグに遭ったり、不安定さを感じずに使用できた。

 価格はギリギリ3万円台に収まるものとなった。

 バランス駆動には対応しないものの、再生機能としては、数万円上のランクの製品に匹敵するものと言える。PCM変換にはなるが、最新のDSD形式にも対応する点は心強い。Wi-Fiを使ってGroovers+の楽曲を購入して直接ダウンロードできる点は言うまでもないが、メディアサーバー機能を持つNASに保存した楽曲をストリーミング再生できる点もなかなか便利だ。パソコンやスマホの音をよりよく楽しめるUSB DAC機能を持つことに加え、最新フォーマットのMQAやaptX HDにも対応した。機能不足を感じる場面はほぼないと思う。

 本製品は、ハイレゾ配信サービスを展開するGrooversが企画し、グループのAstell&Kernの力を借りて開発した製品だ。少し味付けは違うものの、Astell&Kernならではの高音質設計は踏襲している。Astell&Kernのプレーヤーは、エントリーの「AK70 MKII」でも実売8万円弱であることを考えればかなり安価な製品に感じる。CT10は1チップでステレオ再生する「シングルDAC」の製品であり、「バランス駆動」にも対応していないため、差別化要素は当然あるが、「サウンドのクオリティーは十分過ぎるもの」と言っていいだろう。

 実際に音も聴いてみたが、CS4398を採用することもあり、音は中高域にハリがあってとても元気に聞かせる傾向。低域の安定感やパワー感などは上位機に譲る面があるが、音は明瞭でエッジが立っている。情報量の多いハイレゾのソースを再生する際も、細かな音まで的確に再現できると思う。1~2万円クラスでもいいので、音質にこだわったイヤフォンと組み合わせたい。手軽で、とても楽しく音楽を聴けるだろう。

 コンパクトなボディーは右側に音量調節ダイヤルを備えた個性的な風貌。上下左右4辺からスワイプすることで表示されるメニューも分かりやすく整理されている。ボタン類が少ないUIのため、最初は戸惑うかもしれないが、曲を探す際には左からスワイプ、設定変更は上からスワイプ……など仕組みを理解すればスピーディーに使える。

左からスワイプするとメニューが

上からスワイプすると設定が

 初めてハイレゾ機を持つため、「何が必要で、何が不要かの判断ができない」という人にとってCT10の多機能はありがたい。ボディーもコンパクトで、気軽にポケットに入れて持ち運べるはずだ。プレーヤー単体で楽曲を買えてしまうという点も含めて「ハイレゾがどんなものか知りたい」という人に最適な選択肢のひとつと言えるだろう。

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