週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

デスクトップ向けには新チップセットH370/B360/H310/Q370も追加

第8世代Core大激増!ノートPC向け最上位は6コア/12スレッド、4.8GHz駆動のCore i9-8950HK

2018年04月03日 16時01分更新

 Intelは中国・北京市で第8世代Coreプロセッサーの追加モデルに関するプレスイベントを開催した。第8世代Coreプロセッサーはこれまで昨年8月に薄型ノートPC向けのUプロセッサー(開発コードネーム:Kaby Lake Refresh)、その後同年10月にはデスクトップPC向けのSプロセッサー(開発コードネーム:Coffee Lake-S)、そして今年1月にはRadeon RX Vega Mを内蔵するdGPUを搭載しない比較的薄型なゲーミングノートPC向けにGプロセッサー(開発コードネーム:Kaby Lake-G)が発表されている。

 今回新たに発表されたのは、ハイエンドゲーミングノートPC向けのHプロセッサー(開発コードネーム:Coffee Lake-H)と、Iris Plus Graphicsを内蔵した薄型ノートPC向けのUプロセッサー(開発コードネーム:Coffee Lake-U)、デスクトップPC向けのSプロセッサーの追加モデル及びIntel 300シリーズの新チップセット(H370/B360/H310/Q370)などだ。それでは順番に見ていこう。

最大6コア/12スレッドのノートPC向けHプロセッサー

第8世代Core Hプロセッサーの概要。

第8世代Core Hプロセッサーのラインアップ。

 第8世代CoreのHプロセッサーは最大6コア/12スレッド駆動のハイエンドノートPC向けのラインだ。TDPも45Wと高く、上位モデルはL3キャッシュが12MBなのでCoffee Lakeベースのアーキテクチャーを採用している。ラインアップはCore i9-8950HK、Core i7-8850H、Core i7-8750H、Core i5-8400H、Core i5-8300Hのほか、Xeon E-2186MやXeon E-2176MといったワークステーションノートPC向けのモデルもある。

 なお、最上位のCore i9-8950HKだけ倍率変更によるオーバークロックに対応し、なおかつTurbo Boost 2.0(TB2.0)駆動時の動作クロックが4.8GHzと異常に高いプレミアムなモデルとなっている。通常、コア数が増えればそれだけ温度が上がるので動作クロックの最大値は低くなる。そのため、従来のTB2.0だけでは4.6GHzになるはずだった。しかし、新機能「Intel Thermal Velocity Boost」で、200MHz加算して4.8GHz駆動を実現しているという。

新機能「Intel Thermal Velocity Boost」で4.8GHz駆動を実現。

 また、第8世代CoreのHプロセッサーではチップセットにIntel 300シリーズを採用する点もノートPC向けでは新しいトピックだ。このチップセットには11ac無線LANやUSB 3.1 Gen 2機能を内蔵し、他社のチップに頼ることなく各種機能が実装できるようになる。

 さて、Hプロセッサーの気になる性能だが、最上位のCore i9-8950HKと第7世代CoreのCore i7-7820HKを比べてみると総合性能で最大29%増(SYSMark 2014 SE)、ゲームのフレームレートで最大41%増(Total War:Warhammer II)、ゲームの実況プレイ配信で最大32%増(Playerunknown's Battlegrounds)、4K動画の編集で最大59%増(Adobe Premiere Pro)と大幅な性能向上を果たしている。コア数の増加と高クロック動作の恩恵がモロに出た結果だろう。

第8世代Core Hプロセッサーの性能について。

ノートPC向けのIntel 300シリーズチップセットの写真。

 また、今回Intelはビジネス向けのvProプラットフォームも発表している。vProに対応するのはCore i7-8850H、Core i5-8400H、Xeon E2186M、Xeon E-2176Mの4モデルだ。

Uプロセッサーの追加モデルはIris Plus Graphicsを内蔵

第8世代Core Uプロセッサー追加モデルの概要。

第8世代Core Uプロセッサー追加モデルのラインアップ。

 続いて、第8世代Core Uプロセッサーの追加モデルについて紹介しよう。ラインアップはCore i7-8559U、Core i5-8269U、Core i5-8259U、Core i3-8109Uの4種類。いずれもTDP28WでIris Plus Graphicsを内蔵し、128MBのeDRAMを搭載するiGPUということで、「GT3e」という位置づけのモデルだろう。

 最大コア数が4コアだがチップセットはIntel 300シリーズを採用し、11ac無線LANとUSB 3.1 Gen 2に対応していることからこちらもCoffee Lakeベースだ。もちろんOptaneメモリーも使える。また、新たに第8世代CoreとOptane Technologyを採用したプラットフォームには「Core+」という新バッジが登場したので合わせて紹介しておこう。

Core+のバッジ。

デスクトップPC向けの追加モデル&新チップセット

第8世代Core Sプロセッサーの追加ラインアップ。

 デスクトップPC向けのニュースでは、追加モデルと4種類のIntel 300シリーズ新チップセットの2つがある。追加モデルはCore i5-8600、Core i5-8500、Core i3-8300のほか、Core i7-8700T、Core i5-8600T、Core i5-8500T、Core i5-8400T、Core i3-8300T、Core i3-8100Tといった新たにTDP35Wの省電力モデルが登場した。「6コアは欲しいけど、消費電力がな~……」と二の足を踏んでいたユーザーには朗報だろう。

Intel 300シリーズの追加ラインアップ。

 新チップセットはスタンダードな「H370」、やや機能を省いた「B360」、低価格な「H310」、法人向けの「Q370」が発表された。いずれも11ac無線LANに対応するのが特徴だが、H310のみUSB 3.1 Gen 2対応はなく、Gen 1のみとなっている点に注意したい。また、PCI Expressのリビジョンにおいても、H310のみPCI Express 2.0までとなる。なお、Intel 300シリーズでは「Z370」が先行販売していたが、こちらのUSB 3.1 Gen 2対応はサードパーティーのチップで実現していた。

 ちなみに、完全な余談だが、これまでのIntelチップセットのBクラスはBX50(Xには世代を表す数字)という型番だったが、今回B3「6」0となった事情は自作erだとピンとくるものがあるのではなかろうか。そう、競合が「B350」という型番を先に使っているから避けたのである。市場の無用な混乱を避ける意味合いでは致し方ない判断だろう。

 まとめると、これで第8世代Coreは薄型ノートPCからスタンダードノートPC、薄型ゲーミングノートPCに、dGPUありきのハイエンドゲーミングノートPC及びワークステーションノートPC、デスクトップPCの省電力モデルまでフルラインアップ揃ったことになる。Kaby LakeベースのものよりもCoffee Lakeベースのモデルが多く、新チップセットへの対応がようやく間に合ったという感じだ。ここ数年、新世代CPUならともかく、追加モデルを大々的に発表することはなかったIntelだが、ようやくコンシューマー向けCPUへ本腰を入れてきたような気がする。夏・秋商戦など、採用PCの登場が待ち遠しい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう