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3万円台のエントリー向けネットワークオーディオサーバーの実力

2018年03月03日 09時00分更新

soundgenic

 最近は「音楽を聴くのはもっぱらスマホで」という人が大多数だろう。とはいえ、高音質なハイレゾ音源の楽曲もだんだんと増えてきており、自宅でゆっくり音楽鑑賞を楽しみたいという人もいるはず。そんな人にはUSB-DAC対応のオーディオプレーヤーや、ネットワークミュージックプレーヤーがオススメだ。今回はそうした高音質プレーヤーで再生する楽曲の保存に適した、アイ・オー・データのネットワークオーディオサーバー「Soundgenic」(HDL-RA2HF)を紹介しよう。

 

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↑アイ・オー・データのネットワークオーディオサーバー「Soundgenic」(HDL-RA2HF)。実売価格は3万7800円前後。

 「Soundgenic」はアイ・オー・データの高級オーディオブランド「fidata(フィダータ)」のソフトウェア技術を継承した、同社のエントリー向けオーディオサーバーだ。本体はオーディオ向けに特化したNASで、2TBのHDDを搭載する。メディアサーバー機能やUSB-DACに対応し、光学ドライブを接続すれば単体で音楽CDのリッピングもできるので、PCを所有していなくても音楽を取り込める。ただし、ドライブが1つのみであることに加え、NASではあるものの外部からのアクセスに対応していないため、別途外付けHDDをUSB接続するなどしてバックアップを取ったほうが安心だ。

 本体は168(W)×134(D)×43(H)mm、重量は約1.2kgで、3.5インチHDDより二回りぐらい大きいサイズ。ブラックのボディーは表面がヘアライン仕上げになっており、目につくところへ置いてもインテリアとして違和感のないスタイルだ。

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↑本体表面はヘアライン加工が施されている。

 ボディー内部には1.2mm厚の板金を使用。これにより剛性を高めて振動を抑制し、熱伝達の効率を良くすることで、ファンレス化を実現。音楽を聴く部屋に置いても、ファン音に邪魔されることがないのはありがたいポイントだろう。

 底面にはラバー製のインシュレーターを配置。半球状の専用設計品で、接地面積を少なくすることで、外部からの振動を低減している。

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↑底面にはラバー製のインシュレーターを配置。

 標準で使用できるソフトは、カスタマイズされた「Twonky Server 8」。さまざまなナビゲーションツリー表示を備え、高解像度のアルバムアートワーク表示や各種分類方法により、目的の楽曲を見つけやすいようになっている。

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↑「Twenky Server 8」の設定画面。
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↑楽曲の表示ナビゲーション画面。

 本体を設置したら、まずは電源アダプターを接続し、その後LANケーブルでルーターなどと接続しよう。あとはUSB-DAC搭載のオーディオ機器を有線で接続したり、DLNAやUPnP AVに準拠した各種ネットワークプレーヤーと組み合わせたりと、シチュエーションに合わせて利用できる。

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↑本体正面。右下に輝度を抑えたLEDランプがあり、CDから録音中だとオレンジ色に点灯する。
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↑本体背面。USB2.0にUSB3.0、ギガビットLANコネクターが備わっている。

 楽曲を本製品に取り込むには、いくつかの方法がある。ひとつは光学ドライブを背面にあるUSBへ接続することで、直接CDをリッピングする方法だ。手持ちの光学ドライブを接続してみたが、バス駆動もOK。音楽CDを入れると自動的に取り込みを開始することも可能だが、初期設定は手動で、背面の電源ボタンを押せば取り込みが始まる。

 楽曲情報やアルバムアートは自動取得。また、楽曲データ比較データベース「AccurateRip」に対応し、ビットパーフェクト判定に失敗したら自動的にリッピング条件を変更してリトライする。保存形式はWAVかFLACを選択可能。FLACは無圧縮をはじめ3段階の圧縮レベルに対応する。

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↑本体の設定はブラウザー経由で可能。録音の形式などを選択できる。

 もちろん、ネットワーク内のPC内の楽曲も追加できる。専用のドライバーをインストールすれば、ファイル共有機能で本製品へアクセスできる。この方法ならフォルダーに楽曲をコピーするだけだ。また、外付けのHDDから楽曲をコピーしたい場合は、本製品とUSB接続してUSBの設定で「データのインポート」を実行すれば転送可能。さらに、「e-onkyo music」で購入した楽曲を直接読み込んで保存する機能も備えている。

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↑ドライバーをインストールすると、エクスプローラーにLAN DISKの項目ができ、そこに本製品が表示される。

 本製品のUSBポートへ手持ちのハイレゾ対応USB-DACを接続してみた。コントローラーアプリ「fidata Music」(iOSのみ)が用意されているので、今回はそれを使っている。オーディオ用途で定評のあるOpen Home/DMRの2つのモードに対応しているので、設定画面でアプリに対応したモードを切り替えれば、他のコントローラーアプリでも利用できる。

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↑手持ちのUSB-DACを接続して使用。コントロールはスマホで行なう。
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↑操作は「fidata Music」アプリを利用。楽曲一覧から再生コントロールできる。

 使用したUSB-DACはTSdrenaのハイレゾ対応USB-DAC ヘッドフォンアンプ「HAM-UDAA2」。アイ・オー・データの再生動作確認リストには記載されていなかったが、「fidata Music」アプリで操作しても問題なく楽曲を再生できた。ギャップレス再生もOKなので、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を聴いてもブチブチと切れず、ノイズも乗らずに聴けた。

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↑ハイレゾ音源の楽曲を聴くと、やはり音がいいのがわかる。自宅でゆったりと聴いていたい。

 音質に関してはDAC次第なところもあるが、今回使用した製品で聴く限りでは、ハイレゾ楽曲のクリアーで重低音なサウンドはなかなかいい。続いて「Twonky Server 8」のウェブアプリを使い、PCからDLNAで楽曲を再生してみたところ、音質的には問題ないのだが、残念ながらギャップレス再生はできなかった。

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↑Twonkyの再生機能では、残念ながらギャップレス再生ができなかった。別のアプリがオススメ。

 ちなみに、Windows 10付属の「Grooveミュージック」アプリだと、ギャップレス再生はできるがノイズが乗ってしまった。ソニーの「Music Center for PC」だと、ノイズも乗らずにギャップレス再生できるので、プレーヤー選びはかなり重要という印象だ。なお、本製品のメディアサーバー機能対応ファイル形式と出力形式は以下の通り。

■メディアサーバー対応ファイル形式(拡張子)

・wav、mp3、wma、m4a、m4b、ogg、flac、aac、mp2、ac3、mpa、aif、aiff、dff、dsf

■USB-DAC出力形式(サンプリングレート)

・PCM形式(44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz、176.4kHz、192kHz、352.8kHz、384kHz、705.6kHz※、768kHz※) ※wav、aiffのみ

・DSD形式(DoP)(2.8MHz、5.6MHz、11.2MHz)

■USB-DAC出力形式(量子化ビット数)

・PCM形式(16bit、24bit、32bit)

・DSD形式(DoP)(1bit)

 

 実売価格は3万7800円前後。通常のNASに比べれば高価だが、USB-DACへハイレゾ音源を出力でき、スマートフォンなどでコントロール再生可能なのは大きなメリットだ。楽曲再生のじゃまになる振動やファン音、ノイズを極力排除している仕様なのもいい。楽曲はすべて本製品に集約して管理するのもいいだろう。

■関連サイト
『HDL-RA2HF』製品ページ

 

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