週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

楽天の三木谷氏が携帯キャリア事業に自信 会員モデルの強味で差別化する

2018年02月28日 12時45分更新

 国内第4の携帯キャリアになるべく、参入の意向を明らかにしている楽天。同社の創業者で同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2018」の基調講演に登壇。「日本のモバイルネットワークオペレーター事業に革命を起こす」と自信を見せた。

 三木谷氏にとってバルセロナは地元のようなものだ。同社は昨年から、250億円以上を投じて名門サッカーチーム、FCバルセロナのメイングローバルパートナーとなっているからだ。現在、メッシをはじめ選手の胸に”Rakuten”のロゴが入ったユニフォームを着用している。

バルサへのスポンサーシップでも知名度を高めている楽天の三木谷氏がモバイル業界のイベントで講演

あらためて携帯キャリア事業への意気込みを宣言

 この日、三木谷氏は会場を埋める通信業界関係者を前に、「昨日、電波取得の申請を行なった」と報告した。「我々はこれまでビジネスモデルのイノベーションという点で最前線を走って来た」と語り、携帯キャリア事業へビジネスを拡大する意図を示した。

 楽天はECサイトでスタートし、現在世界の取引額は約1200億ドルに達している。その間、クレジットカード、電子書籍、オンライン銀行、旅行、ポイントプログラムなどエコシステムを拡大している。

 そこには、「ECは小売にとって標準的なチャネルになった。どうやって競争優位性を保つのか、意味のあるサービスを社会に提供するのか」という問いがあった。楽天の結論は、「世界最大のメンバーシップ企業になること」だった。

 現在楽天のメンバーシップは世界に12億人、「2020年末までに20億人にする」と目標を語った。

楽天の会員数は12億、2020年には20億を目指す

 メンバーシップを活用できるエコシステムについてもEC、クレジットカード、モバイルペイメント、オンライン銀行、旅行、ポイントプログラムなどでナンバー1となっている。

EC、クレジットカードなどで国内トップという

 携帯キャリア事業は最新の戦略となるが、「投資家の中には支持しない向きもあったが、そうは思わない」と言う。同社のトランザクションの76%がモバイル端末を利用しており、トラフィックに至っては86%がモバイルからであり、「モバイルは重要。我々がモバイルのトランザクションビジネスで確立している存在感は、メジャーなネットワークオペレーターになるのを後押しするだろう」と自信を見せた。

モバイルからのトラフィックやトランザクションは7~9割を占める

 3年前にスタートしたNTTドコモの回線の上で展開しているMVNO事業では150万人のユーザーを持ち、国内最大のシェアを誇ることに触れる。楽天モバイルのショップ数は191店舗ある。

MVNOでのユーザー数は現在150万人、国内シェアトップだ

 三木谷氏はまた、VerizonによるYahoo!買収、AT&Tが試みるTime Warner買収など業界の変化にも触れる。「ネットワークとコンテンツ、さらにはECとが近くなっている。モバイルオペレーターとサービスプロバイダの間で利害の衝突が起きている」と続ける。

 「将来、オペレータービジネスはコモディティーになるかもしれない。ネットワークのメンバーシップが大きな差別化になる」と自信を見せた。さらには、同社の動きが引き金となり、携帯キャリアビジネス参入を検討する大企業が出てくるだろうとも予言した。

モバイルネットワークオペレーターの顔も持つことになるのかーースライドには”単なるキャリアではない”とある

 2月中旬の決算発表で、三木谷氏は2019年にスタートに向けて準備を進めていきたいと語っている。

 三木谷氏は最後に、「楽天コイン」という新しいサービスを検討していることも明かした。累計で90億ドル相当のポイントを発行してきた楽天スーパーポイントを発展させるもので、ブロックチェーン技術を使って楽天スーパーポイントをコイン(仮想通貨)にし、コミュニティー機能も加えるという。「将来的にはFCバルセロナのスタジアムでも仮想通貨が利用できるかもしれない」と述べた。

楽天スーパーポイントはすでに70万店で利用できる。累計1兆以上のポイントが発行された

”楽天コイン”は楽天スーパーポイントにブロックチェーンを組み合わせたものになるというが、導入時期などの詳細は触れなかった

 基調講演中、三木谷氏は東欧などで人気のコミュニケーションサービスViberで、「Rakuten Viber Community」いう新サービスを導入したことも発表した。競合と比べてチャットグループの上限がないため多数の無制限にフォローできるという。今後ViberIDと楽天IDの統合も進め、11億人いるというViberユーザーが楽天メンバーになるという。


■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この特集の記事