2017年10月24日07時00分

口だけの人が会社に必要なワケ

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 家電アスキーの盛田 諒(34)です、おはようございます。2月に赤ちゃんが生まれて8ヵ月になりました。赤ちゃんを見ているときの主な情報源はラジオとポッドキャスト。テレビやスマートフォンや本などとちがって、赤ちゃんから目を離すことなく、育児をしながら流しっぱなしにできるので便利です。

 最近よく聴いているのがTOKYO FM「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」。スタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫さんがゲストを招いて語るトーク番組です。少し前になりますが、10月15日放送の「仕事改革 口だけの人~発想力は豊かだけど実行力が伴わない、そんな人が会社にはいる~」に感心しました。

 出演はスタジオジブリの橋田 真さん、野中晋輔さん、西方大輔さん、松竹の奥田誠治さん、そして鈴木敏夫さん。鈴木さんは最初、松竹の奥田さんが「発想は豊かだけど実行が伴わない」と通信簿に書かれたという話をとりあげます。

 奥田さんは同窓会に行ったとき先生と再会し、当時は日本テレビに勤めていたので「日本テレビです」と言いました。すると先生は「正社員か?」とたずね、奥田さんは「会社に入ったらそういう仕事があったんですよ」と返した。「それは何なんだ」「プロデューサーだっていうんです」という落語のような話です。

 そこで鈴木さんは、自分では実務をしないで他人に仕事を手伝ってもらうこと、つまり“口だけ”であることも才能だと考えます。

 たとえばジブリの橋田さんはアイデアが秀逸だと鈴木さん。なぜかと考えてみると、最初から自分がやるとは思っていないからだというんですね。ふつうは自分ができる範囲を考えてアイデアに天井を作ってしまいがちですが、そもそも実現可能性を考えず口に出してしまうからいいアイデアが出てくるのだと。

 「自分で言い出したことは自分で実行に移す。そういう人が評価の対象でそれ以外は認められない。奥田さんや橋田は現代では生きづらいですよね。現代はどうもそのニオイがするのよ。実行できないやつは烙印を押されるんですよ、ダメだっていう」(鈴木さん)

 「豊かな発想で実行力もある。いま映画の主人公ってみんなそうでしょ? ありえないじゃん、ウソじゃん。本当は片方があればいいわけでしょ」(鈴木さん)

 この話にとても共感しました。

 わたしの仕事はウェブメディアの記事執筆と編集。ウェブは特に仕事の成果が見えやすいためどうしても数字で見えるところを評価しがちですが、表側に見えている記事の後ろには、見えない大量の「思いつき」があります。ボツになった“思いつき氷山”の上だけがちょこっと記事になっているだけなのですね。

 記事にならなかった氷山の下部分は数値化されないため評価されません。かつての同僚には、思いつきだけはすさまじく面白いことを言うのに、その面白さがまったく仕事にあらわれないという奇特な人もいました。もしチームで補いあえていたら良さが発揮されたのにと思うと、残念な気持ちになります。

 会社というのは、多種多様な人々が、それぞれの得意分野を発揮することで、おたがいの弱みを補いながら事業を運営していく共同体だとわたしは思っています。スタジオジブリも宮崎 駿監督の魅力的なキャラクターや構想を実現するためあらゆる人々が協力した結果、すばらしいアニメを作れているわけですしね。

 荒唐無稽な企画ではなく、着地の見えやすい企画を実行に移し、それなりの成功をする。そうした仕事は、数字が見えやすいぶん大きな失敗をしない代わりに、大きな成功もないものと感じます。さまざまなツールを使えば何でも1人でできてしまう現代こそ、いつ実現できるのか、本当に実現できるのかもわからない、とんでもないアイデアを思いつける人が貴重になるのではないかと感じます。

 ちなみにマイナビの「2016年マイナビ企業人材ニーズ調査」によれば、新卒採用・中途採用の選考時に着目している社会人基礎力は「主体性」と「実行力」が上位だそうです。そんなものかなあ。赤ちゃんの時代には、“口だけの人”、夢を見られる人がのびのび働ける世界になっていてほしいなと感じます。



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