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ポタ研 2017開催、少しマニアックで良音の新製品続々

2017年02月18日 21時03分更新

 フジヤエービック主催の“ポタ研 2017”が2月18日、東京・中野サンプラザで開催された。ヘッドフォン祭よりマニアックがテーマ。規模に反して、新製品・参考出展の展示が豊富だったが、ここでは注目したい新製品を紹介する。

新開発テスラドライバー採用のXELENTOは、音の宝石箱?

 ドイツのbeyerdynamicの新イヤフォン「XELENTO REMOTE」は、3月下旬の販売開始を予定している。見た目は既発売の「AK T8iE」とよく似ているが、ドライバーは新規開発しており、音の傾向もかなり異なるようだ。

 1テスラを超える強力な磁束密度による高い駆動力をアピールする“テスラテクノロジー”を採用した、ダイナミック型ドライバーを使用する。T1などbeyerdynamic製のハイエンドヘッドフォンを中心に採用しているが、サイズはイヤフォン用に小型化している。現行のT1 2nd Generationと比較して1/16のサイズとのこと。

 磨き上げられた筐体の質感は上々。リモコン付きとなしが選べる着脱式のケーブル(MMCX)、豊富なサイズをそろえた2種類のイヤーチップなどを同梱するため比較的大きな化粧箱に封入されているが、箱を開けるとぽつんと中央に2つだけ小さなイヤフォンがある。宝石感覚で使える点をアピールする。

 インピーダンスは16Ω、再生周波数帯域は8Hz~48kHz。出力音圧レベルは110dB。国内ではティアックが取り扱い、実売価格は10万円台の前半程度になりそうとのこと。

NuForceのHEM1は、SE215を超えるスタンダードになるか?

 バリュートレードが、Nuforceブランドの新イヤフォンとして参考展示していたのが「HEM1」。Knowles製のBAドライバーをフルレンジで使用するモデルで、既発売の「HEM2」のイヤーチップがComply製の低反発素材を使用していたのに対して、シリコンチップになる点が異なる。そのぶん価格を1万3000円程度に抑えたエントリーモデルになる。

 ポップなカラバリや独自形式の着脱式ケーブルなども特徴だが、一番注目したいのは音質だろう。繊細な表現が可能な反面、中低域のパンチ力がイマイチと表現されることもあるBA型だが、滑らかさ・繊細さを維持しつつ、大きめのダイナミックドライバーの様な充実した低音や、ふくよかで抱擁感や温度感のある中域を両立している点に驚く。それを他社に多い、マルチBAドライバーの採用ではなく、シングルBAで実現している点が面白い。

 細かくはノウハウとのことだが、BAドライバーの使いこなし方が肝のようだ。一般的なドライバーでは小音量で低域が痩せる。音量を増やせば徐々に中音・低音の量感が増してくる。そこで、中低域がやせて聴こえないレベルを確保しつつ、それが普通の人が音楽を聴くのにちょうどいい適切な音量になるようトーンコントロールしているそうだ。この価格帯にはShureのSE215というベストセラー機があるが、これをターゲットに、日本の意見を反映して開発した音だという。

Ultrasoneはプロ仕様のSignatureモデルをより手軽に

 タイムロードは、ドイツ・Ultrasoneブランドのヘッドフォン「Signature STUDIO」を参考展示。発売は4月中旬以降になる見込みで、約15万円の「Signature PRO」と同じドライバーや技術、構造を採用しつつ、趣向性の高い部分のパーツを変更した。そのぶん7万円台と半額程度の価格で買えるモデルとして市場投入する予定だ。

 直径40mmのチタンプレイテッド・マイラードライバーの採用や、“S-Logic Plus”といった機能は同じ。変更点としてはイヤーパッドやヘッドバンドに使われているエチオピアン・シープスキンがプロティンレザー(合皮)になること。またイヤーカップ部のプレートもガラス製ではなくなり、ラバーコーティングもない簡素なものとなる。簡単に言うと、音に直接関係しない部分はそぎ落とした形だ。

 iPhone 6sに接続して簡易的に聴いてみたところ、中低域が充実している。腰の据わった実体感のあるサウンドという印象を持った。iPhoneでも鳴らしやすく、シンプルにいい音が得られそうだ。

 PROとSTUDIOを聞き比べてみると、実際には差がある。簡単に言うとPROのほうが付帯音が少なく、全体的に音が落ち着いている感じがした。ただ音の方向感としては同じだし、その差も比較すれば分かるという程度で、意識を集中して違いを探すわけではない普通のリスニング用途では気にならない差なのではないか。

 ブースで説明を聞くと、PROのユーザーの食いつき度が高く、セカンド機として常用したいという声も多いそうだ。PROは本革を使用しているため、屋外でのラフな利用に躊躇する面があるが、STUDIOは外装が簡素なぶん普段使いに向いているためだそうだ。見た目のごつさに反して、重量も意外と軽く、外出先での取り回しもしやすそうだ。

 ちなみにタイムロードブースでは、モバイル(?)のUSB DACとしては最大クラスの「Hugo TT」でも快適に持ち運べるバンナイズ製ケースも紹介。スマホやハイレゾプレーヤーを接続するためのポケットも付いている。これを手に提げてモバイルリスニングしたらマニアックすぎていい……と一瞬思ったが、イベント用に作った“1点モノ”なのだという。Hugo TTのユーザーでもあるバンナイズ社長が自作したそうだ。

カスタマイズ可能なAKGのイヤフォンがより手軽に

 ハーマンインターナショナルのブースでは、AKGブランドの「N30」「N25」を展示。発表直後の製品で、N30は2ウェイのハイブリッド型(直径8mmのダイナミック型とBA型ドライバー)、N25は2ウェイのデュアルダイナミック型(直径5.8mmと直径9.2mmのダイナミック型)となる。

 N30はメカニカルチューニングフィルターで物理的に音の特性を変えられる。上位のN40から受け継いだ機構だが、フィルターの数は標準のREFERENCEとBASS BOOSTのみとなる。MMCX端子装備でケーブルの着脱が可能。インピーダンスは32Ωで周波数特性は20Hz~40kHz。感度は86dB/mW。予想実売価格は3万円弱(税抜)となる。

 N25はAKG初のデュアルダイナミック型。大型でも装着感を落とさないようイヤチップに角度を付けている。インピーダンスは16Ωで周波数特性は20Hz~40kHz。感度は92dB/mW。予想実売価格は2万円弱(税抜)となる。

 N40も当初から値下げされ、4万円弱(税抜)で販売されているため、AKGのNシリーズは約1万円間隔できれいにラインアップがそろったことになる。

開発中ダイナミックドライバーの試聴もできたJVCブース

 JVCのブースでは開発中の新ドライバーを発見。本当に開発中という外観だが、会場でユーザーの意見を聞きながら最終的にどのような製品に仕上がっていくかは興味深い。

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