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肥満や各種生活習慣病などの予防、治療に期待

理研、肥満を抑える糖鎖を発見

2017年01月10日 17時54分更新

糖転移酵素ST6GAL1が作るα2,6シアル酸と肥満マウスにおけるその減少

 理化学研究所(理研)は1月10日、マウスを用いた実験で「α2,6シアル酸」と呼ばれる糖を持つ糖鎖が肥満を抑制することを発見したと発表した。

 糖鎖はグルコースなど糖がタンパク質に結合したもので、体内ではさまざまな役割を担っている。マウスの肥満を研究していたチームが脂肪組織を分析したところ、末端にα2,6シアル酸を持つ糖鎖の量が脂肪細胞の分化に伴って減少していることを発見した。

ST6GAL1の過剰な発現による脂肪の減少 

 研究の結果、α2,6シアル酸を作る酵素「ST6GAL1」の遺伝子の発現がDNAメチル化という仕組みでOFFになることが分かり、逆に培養した脂肪細胞にST6GAL1の量を増やすと脂肪の蓄積量が減少することが分かった。また、α2,6シアル酸が少なくなると脂肪細胞の増殖や分化が促進される。

高脂肪食摂取による野生型とST6GAL1欠損マウスの体重増加

 これらのことからα2,6シアル酸を持った糖鎖は脂肪細胞の増殖や肥満を抑えることが分かり、ST6GAL1欠損マウスに高脂肪食を与えると通常マウスよりも肥満しやすいことも確認した。肥満における糖鎖の役割の一部が判明したことで、今後肥満の抑制、肥満に伴う糖尿病や動脈硬化といった疾患の治療法の開発が期待できる。

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