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来日したアクロニスのセルゲイ・ペロウゾフCEO

F1は世界一速い、高速なITの世界とよく似ている

2016年10月11日 17時30分更新

F1チームの「スクーデリア・トロ・ロッソ」とパートナーシップを結んだアクロニス。F1日本グランプリに合わせてセルゲイ・ペロウゾフCEOが来日し、その目的と今後の展開について語った。

 バックアップを始めとした、データ保護のソリューションを展開しているアクロニス。今年7月のハンガリーグランプリにおいて、F1チームの「スクーデリア・トロ・ロッソ」とスポンサーシップ契約を結び、サイドポンツーンのレッドブルのロゴの横にアクロニスの名が刻まれた。当初は1回限りの予定だったが、グランプリ終了後に長期的なパートナーシップへと契約を延長している。

 そして今回、鈴鹿で開催される日本グランプリに合わせてアクロニスの創業者であり現CEOのセルゲイ・ペロウゾフ氏が来日。トロ・ロッソとのパートナーシップと今後の戦略について語った。

セルゲイ ベロウゾフ(Serguei Beloussov)
アクロニスCEO。北米やヨーロッパ、アジアにおいて24年間にわたり数多くのグローバル企業を創設、経営してきた起業家。自身が創設したアクロニスにCEOとして復帰し、現在はアクロニスのビジネスに専念。北米において80件以上の特許を取得している。

 F1チームとスポンサーシップ契約を結んだことについて、セルゲイ・ペロウゾフ氏は「私どもはアクロニスのブランドをアピールするためにさまざまな努力をしています。御存知の通り、われわれスタッフは旨にロゴの入ったシャツを着たり、私はスクーターを改造してアクロニス仕様にしたり、アクロニス仕様のBMWも所有し、最近購入したボートもアクロニス仕様です。ただこれだけではまだ十分とは言えないので、F1チームのスポンサーシップも始めることにしました」と、ウィットの効いた発言からスタートした。

セルゲイ・ペロウゾフCEOが所有しているというロゴ入りのボート。

「このテクノロジーの分野を始めてから15年経ちます。従業員は800人、150ヵ国で事業を展開し、対応している言語は20になります。コンシューマーのお客さまは500万人以上、企業のお客さまは50万社以上に上ります。

 テクノロジー自体も急速に変化してきています。IoTが出てきていて、ロボット工学、ドローン、自動運転車、宇宙工学、ブロックチエーン、次世代コンピューティングなど、いろいろな形で技術は進化してきています。こうしたテクノロジーのトレンドを見てみると、それぞれの特徴に差はありますが、1つだけ共通点があります。それは物理的な世界からデジタルの世界への移行がますます進んでいるということです。また実際に物理的な世界よりもデジタルの世界のほうが規模的にも大きくなりつつあります。このことから、今後ますますデータ保護するためのテクノロジーが重要になってくるでしょう。

 弊社は、コンシューマーから法人向けまで対し、幅広くソリューションを提供しております。すべての製品で「高速」というキーワードを使って説明しており、「高速」であることを最重視しています。そして今回、F1のスポンサーになろうと思ったのが、何より世界最高速のモータースポーツだからです。その点は、われわれの製品と共通しています。2つ目にナンバー1であること。モータースポーツ界のナンバー1であり、ストレージやデータプロテクションの企業の中でナンバー1でありたいと思っています。また、根底にあるのはイノベーションであり、その基盤となっているものはテクノロジーである点も、共通する面があります」

トロ・ロッソのサイドポンツーンに「Acronis」のロゴが刻まれている。 (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1チームは現在11チームあるが、その中でトロ・ロッソを選んだのはなぜなのか。

「まず、われわれの企業のイメージカラーに合っていること。また、母体がレッドブルであることです。飲料メーカーでありながら、F1チームを2つ持っており、その取り組みがとても気にいっています。実は、ルノーにもアプローチしてみたのですが、ボディーの色を青にするという提案を受け入れてくれませんでした(笑)。メルセデスはちょっと見た目が鉄のような色なので(笑)。

 とにかく、トロ・ロッソというチームがいちばん好きだったということです。チームの方針や雰囲気がわれわれに合っているのです。現状は、昨年のフェラーリエンジンを載せているので状況は良くないが、来年はルノーエンジンを搭載するので、上位を狙えると思います。

現トロ・ロッソのドライバーダニール・クビアト(左)とカルロス・サインツJr.。(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1チームは現在ITに期待と信頼を寄せています。レースウィークで1日に生成されるデータの量だけでも3~5TBもの容量になります。テレメトリー(車体に備えつけられた計測機器)の生データだけ取っても1TBもの容量になります。もし1日ぶんのデータが消えてしまった場合、走行が2秒以上も遅くなってしまうでしょう。

アクロニスは、ファクトリーにデータを転送しバックアップをサポートしている。

 現在はまだ始まったばかりなので、安全かつ最速でデータを取り扱えるようデータの共有やストレージ技術を提供しています。F1というのは、ポテンシャルが高く、最大限まで活用しようと限界まで突き詰めるという特性があり、われわれも学ぶべき点が多いです。今後は単に技術を提供するだけでなくスポンサーシップとしてチームに貢献していきたいですね」

鈴鹿を走るトロ・ロッソのマシン。(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1チームのような現場ではデータの重要性が認識されており、その取り扱いやデータプロテクションについても十分理解しているだろう。ただ、コンシューマーを筆頭にまだデータプロテクションの重要性をなかなか認識していないのが現状だ。

「東日本大震災の際もそうでしたが、何かが起こったあとに対策をしようと一気に関心が高まるのは、ほかの国と同じです。ただ、日本は自然災害が多いので、ほかの国よりもデータプロテクションに関してより真剣に考える人が多いようです。データの保護は、人間の基本的なニーズのひとつになりつつあります。3つのP、「People」、「Process」、「Product」に焦点を当てて、今後も新製品を提供していきますので、アクロニスの取り組みにぜひ注目して下さい」

パートナー企業を介して製品展開をしているアクロニスは、ブッキングレベルで1年間に8倍も成長しているそうだ。今後も伸び続けると考えられており、日本では、オフィスを六本木ヒルズに移転し、社員の数も倍に増やしたいと考えているとのこと。有象無象のIoTデバイスが登場しつつある現代。アクロニスのテクノロジーがさまざまなデバイスをサポートし、安心と快適性を提供していくことだろう。

ジョン ザニ(john Zanni)氏は、チーフマーケティングオフィサーとしてあらゆるセグメントとチャネルに渡り、マーケティングとコミュニケーションをグローバルで先導している。

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