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クラウドソーシング最大の問題点解決を目指すオフィスハック

業務を極限まで最適化!キャスタービズが考えるリモート×ボットの未来

2016年09月09日 07時00分更新

 「CasterBiz(キャスタービズ)」というクラウドのアウトソーシングでアシスタント業務を行うBtoBのサービスがある。

 サービス内容は、スケジュール管理・調整、資料・フォーマット作成などの「秘書代行」、給与計算、社会保険手続き、社内マニュアル作成などの「人事アシスタント」、そして「経理事務」「営業事務」「Webサイト運用」など幅広い。

 人員が足りないときに正式な採用をせずとも、オンライン上に3名から5名の専用チームが待機しており、チャットやメッセンジャーなどのツールで指示をすれば上記の業務に敏速対応をするという頼もしいサービスだ。アシスタント業務を行うのは、「200人に1人」という倍率をくぐり抜けて採用された厳選された人材だという。

 このサービスを運営しているのは2014年9月に起業した株式会社キャスター。「人材アウトソーシング」「リモートワーク」というキーワードの先にある真の狙いは何か。キャスター代表取締役の中川祥太氏に話を聞いた。

キャスターの中川祥太代表取締役

クラウドソーシングで優秀な人材に業務を依頼するには

 キャスタービズでのクライアント契約は1カ月で実働30時間分の作業で10万円。多くの大手企業と月に数百時間分の契約を行っている、すでに「使われている」サービスだ。

 「現在は導入社数が100社を越えて伸び続けている。始まってから2年間ずっと使っていただいているクライアントも多い。当初は個人事業主などBtoC向けの展開だったが、徐々に法人中心になり、さらに中小企業から大企業に移ってきている」と中川氏は語る。

 実際の利用では、アシスタントは9時から18時まで待機していおり、その間にたとえば関係各所とのミーティングのセッティング依頼をすれば、その業務に30分を費やしたら月の契約時間から30分が消化されるという形態となる。チャットやメッセンジャーなど、クライアント企業で使っているツールを利用して指示を出せば、すぐに対応を開始。休みや辞職もないうえに採用コストもかからず、給与や仕事内容でのモメゴトもない。

 ルーチンワークの中から、いつ発生するかわからない波のあるような業務も依頼できる。まさに経営層にとっては理想的な「従業員」だろう。

 このアシスタント業務を支えるのは、「200人に1人」の倍率で採用された優秀な人材と伝えたが、どんな人たちなのだろうか。

 「全員がリモートワーカーで、9時から18時のフルタイムも多い。キャスターの契約社員やパートタイマーとして採用している。現在は約80名で、年内には100名を超える」(中川氏)

 働く側として見るキャスタービズは、在宅勤務にもかかわらず、給与は都心の水準と同じレベルで支払われるため人気が高い。リモートのため地方在住者も多く、求人媒体にキャスタービズの採用を掲載すると、タイミングによっては膨大な人数が集まってしまい採用側の手が回らなくなることもあった。現在は「採用情報は一番小さい広告枠に出す」(中川氏)ことにしているという。

 応募者に対しては、実技テストと面接を行ったうえで厳選して採用。試験内容もさることながら、重視しているのは必要な書類を提出したり、約束した時間にミーティングに出席したりするという「当たり前のことを普通にできる人」であることだ。これは、キャスタービズのサービスが”あくまでもクライアントのアシスタント業務”であるためだ。

 アシスタント業務をアウトソーシングで発注するのは、企業側にとっては「賭け」に近いものがある。発注する前に、どのくらいの実力があるのかを見極めなければならない。逆にいえば、一度その不安が安心に変われば、信頼感となって契約は続行される。

 キャスタービズは2時間ぶんを無料トライアルできるが、試したユーザーは無料で終わらず、多くが契約につながっているという。この背景には、中川氏が起業するに至った個人的な思いと経験がある。

 「前職では、クラウドソーシングに大量に発注する側の立場を経験したことがある。そのとき感じたのが、価格や手軽さなどのメリットに対して、納品されるクオリティはレベル1から100まで受注側が混ざっているため、発注時に見極めなければならないというデメリットがあった。これがクラウドソーシングの最大の問題点で、それなら最初からレベル100の人たちだけを使ったサービスを作れば、たとえ規模は小さくても品質が高いサービスを提供できるだろうと」(中川氏)

 もちろんこれだけでは規模は小さく、ビジネス的なスケールメリットも狙えない。ではスタートアップとしてのキャスターは、どのような未来を考えているのか。

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