2016年09月01日16時30分

子どもがプログラミングで目を輝かせる理由

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 “遊びと学びのヒミツ基地”をキャッチフレーズに、子どものプログラミングをはじめとするワークショップなどを企画・開催するNPO法人CANVAS。代表理事の石戸奈々子さんは、NPO活動の実践の一方、文部科学省や総務省、経済産業省などのプログラミング関連の委員をつとめる。

 そんなCANVASは、株式会社UEI、角川アスキー総研と一緒に「第一回全国小中学生プログラミング大会」を開催中。コンテストを機会に、プログラミング教育に詳しい石戸奈々子さんに、子どもとプログラミングについて聞いた。

いしど

「プログラミングを学ぶ」ではなく「プログラミングで学ぶ」

−−プログラムを学ぶことの意義はなんでしょうか?

石戸 これからを生きる子どもたちに必要とされる力は、世界中の多様な価値観の人たちと協働して新しい価値を作り出す力だと思うのですね。言葉を変えるなら、コンピューターには決して代替できないような、“つくる力(創造力)”と“コミュニケーション力”であると思うのです。そこで、2002年にCANVASを設立し、そのような力を育む学びの場をつくってきました。その活動の中で、プログラミングも設立当初から取り組んでいたのですが、先ほどの意図から「プログラミングを学ぶ」ではなく「プログラミングで学ぶ」ということを大事にしています。

 これから学校でもプログラミング教育が始まりますが、国語を学ぶからといってみんなが作家になるわけでもないし、音楽を学ぶからといってみんながミュージシャンになるわけではないのと同じように、プログラマーを育成しましょうということではありません。プログラミングを通じて論理的に考えて問題を解決する力や他者と共同して新しいものを作り出す力を育んでいきたいと思って活動しています。

−−プログラミングはどのように重要なのですか?

石戸 コンピューターがほかの領域と違うのは、コンピューターが、パソコンを超えて、あらゆるモノ、分野、環境に溶け込み、定着し、それを制御するものになっているということだと思います。仕事にも勉強にも買い物にもコンピュータやネットが入ってきています。子どもたちは勉強するのも、洗濯をするのも、大人になって仕事をするのにも、なにをするにしてもコンピューターによる制御と無関係ではいることのできない時代に生きています。ご飯を炊くときも、洗濯をするときも、テレビを見るときも。つまり生活・文化・社会・経済のあらゆる場面で、私たちの生活をコンピュータが支えており、そしてそれらのしくみは全てプログラミングによって生まれているのです。

いしど
NPO法人CANVASの代表理事の石戸奈々子さん

 その基礎メカニズムを習得することは、他の道具とは重要性が格段に異なります。“読み・書き・そろばん”と同じように、どのような人にも必要な基礎的な力だと考えています。コンピュータに関する原理的な理解があるかないかによって、社会のありとあらゆる場面における対処能力が、大きく変わってくるはずです。

−−2002年当時からすると新しい見方だと思うのですが、いま考えるこれらの変化というものはなんでしょう?

石戸 2002年に始めた当時はプログラミングといってもみんな「え? なに? なんで?」という感じで、そういうことが大好きな子どもが何人か参加するだけという状況だったのですが、今ではプログラミングはムーブメントになっていると思います。

 それはなぜなんだろうって考えてみると、活動をはじめた当時はまだパソコンや携帯やネットが普及する段階のときだったんですね。その後スマホとかタブレットが現れて、普通の人が日常生活の中でコンピューターを使うようになった。コンピューター側が人間に近づいて来た。さらに、IoTによって身の回りのもの全てにコンピューターが入ってくることが認知されるようになった。だからこそ、プログラミング教育の必要性が受け入れられるようになったということだと思うんですね。

 最近は、IoTだ、AIだと言われていますが、それは産業に留まらず、社会とか暮らしとか文化に大きな変化をもたらす。だからこそ、全ての人にとって大事な教育の問題として、いまみんなが注目し始めているんじゃないかと思います。

−−世界と比べて日本のプログラミング教育はどうなんでしょうか?

石戸 これから小学校教育にプログラミングが導入されるのですが、この動きには海外の動向の影響もあったのではないかと思いますね。海外においては初等教育段階からすでにプログラミングを必修にしているところがあります。イギリス、ロシア、ハンガリーなどがそうですね。アメリカではオバマ大統領がプログラミング教育を含めたコンピューターサイエンス教育に対して40億ドルの予算をつけることを発表されました。そういった海外の動きが日本に影響を与えたと思っています。

 日本の学校のコンピュータの整備状況は、生徒6.5人に1台しかないのですが、先進国の中でも遅れています。学校教育のなかにテクノロジーを導入する環境整備という点においても、正直もう少し頑張ってほしいなと思い働きかけをしています。

−−どういうカリキュラムを行っているんでしょうか?

石戸 チームを組んで自分たちで社会的な課題を発見して、その解決法を考えてそれをロボットで制御してデモをする。プロジェクションマッピングでお芝居を作る。プログラミングで作曲して音楽を実際に演奏をしてみる。みんなで動く遊園地をつくる、などいろんな取り組みをしています。

 私たちが支援させていただいている学校教育の中では、国語の時間に同音異義語クイズを作るという授業も行っています。先生方からは、学んだ知識の活用力が身に付いてよかったと好評です。プログラミングで、ものをつくる過程においては、算数や国語、理科、図工など様々な知識が求められるんですね。だからこそ断片的に学んだ知識を活用して応用するような総合力が身に付くのではないかなと思っています。

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