2016年08月02日20時30分

公取委、新規参入促進の観点から大手キャリアの取引慣行に見直しを求める

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 公正取引委員会は「携帯電話市場における競争政策上の課題について」と題し、現在の携帯電話市場で一般的な取引慣行について、課題を検討。その考え方を示した。

 まず今回検討した背景として、MVNOの新規参入を促進するという観点がある。電波には有限性があるため、新しいMNOの参入による競争促進は困難な現実を踏まえ、MVNOの新規参入の促進にはMNOや端末メーカーの取引慣行の是正が必要とする。

契約と端末販売の分離を求める
契約解除料も必要最小限に

 具体的な課題としては、通信役務市場においては「通信契約と端末販売の分離」「SIMロック」「期間拘束・自動更新付契約(いわゆる「2年縛り」)」「MNOの通信網等(HLR/HSS)に対するアクセス」の4つが挙げられている。

 「通信契約と端末販売の分離」では、MNOとの通信契約が前提とした端末販売が行なわれる中で、ユーザーが契約内容を正確に把握するのが困難になっている点、また通信契約と端末購入をした場合に通信料金が大幅に割り引かれる点から、MVNOに対して、MNOが優位な地位を獲得しているとし、この販売方法を見直すことが望ましいとする。

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 「SIMロック」についても、MNO間、MNOとMVNO間の競争を阻害する効果を有しているため、SIMロックの設定をしないことが望ましいとするほか、SIMロックの設定により、他事業者とユーザーの契約を妨害する場合は、独禁法上問題となる恐れがあるとする。

 「2年縛り」については、契約期間や契約解除料の有無や金額については当事者が自由に決定すべきとしながらも、不当に高い解除料でユーザーを囲い込むことは望ましくないとする。そこで契約解除料は徴収しないか必要最小限にする、解除手続きを明確かつ簡潔にすることを求めている。また、そもそもMNOが長期契約に割安な料金を設定し、契約解除料が不当に高い場合は独禁法上の問題となるおそれがあるとする。

 「HLR/HSSに対するアクセス」は、MVNOがより独自性の強いサービスに必要となる要素だが、その開放は競争政策の観点から望ましいとし、本来必要となる以上の技術水準をアクセスを求める側に要求することで開放を阻害する行為に対して、独禁法上問題となる恐れがあるという表現でクギをさしている。

割賦販売の総額を固定しての価格拘束は問題
中古端末の価値以上の高額下取りも新規参入の阻害

 また端末販売市場においては、割賦販売と中古端末の流通について触れられている。割賦販売では機種ごとに固定化された割賦契約の総額が設定されているケースについて、販売価格を拘束する場合は問題があるとしている。

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 また、中古端末の販売実績が新品の8%しかない現状を紹介。端末メーカーやMNO、ユーザーが中古端末をどう売買するかはもちろん自由としながらも、中古端末を本来の価値以上に下取りすること、また下取りした中古端末を再度国内市場で流通することを端末メーカーやMNOが制限するなどの行為は、新規参入を阻害するとして問題視している。

OSやアプリのベンダーが、ライセンス時に
特定アプリのインストールや排除を求めるのも問題視

 最後には端末のOSとアプリケーションについても触れられている。具体的にはOSやアプリを提供する事業者が、端末メーカーやMNOとライセンス契約をする際、自社のアプリを画面の特定場所で表示することを条件にしたり、他社アプリをインストールしないことを求める行為を、独禁法上で問題となるおそれがあるとしている。

 あらためて内容を確認する限り、携帯電話の市場ではある意味慣習となってきたと想像できる、さまざまな商行為について、かなり具体的に課題として取り上げて、問題視していることがわかる。

 今回の課題は、「具体的行為態様やその効果によっては独占禁止法上の問題となり得るものと関係事業者において中期的に見直しを行うことが期待されるものの双方が含まれる」とのことで、すぐに何か大きな変化が起きるとは限らないが、アップルやグーグルといった海外の事業者も含めて、なんらかの対応が求められることになりそうだ。


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