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英国のEU離脱騒動で円高ポンド安に、「爆買い」のチャンス到来か

2016年06月30日 12時00分更新

 6月24日に行われた国民投票の結果を受け、英国のEUからの離脱が日本でも話題になっています。今後は具体的な離脱に向けて、議論が進んでいくことが予想されます。

 ついカッとなって海外からガジェットを輸入したり、海外に行くたびにSIMカードを買ったりしている我々にとって、どのような影響があるのでしょうか。

筆者が最後にロンドンを訪れたのは2015年の冬。このときすでにEU離脱の議論はあったものの、投票で過半数を取るなどとは夢にも思わなかった。

ポンド安で通販サイトに注目

 まず注目すべきは、英国の通貨「ポンド」が安くなったという点です。ポンド以外にユーロも大きく売られ、日本円が買われたことで、一時は1ドル=99円台を記録するほどの急激な円高が進みました。

 原稿執筆時点では1ポンド=135円前後に落ち着いていますが、これは国民投票が始まった頃の160円に比べて15%以上の下落です。この円高・ポンド安を即座に利用できるのが、英国のオンラインショッピングです。

 たとえばスマホやタブレットなら、日本でもよく知られているClove TechnologyやHandtecといったサイトがあります。これらの業者は日本向けに発送してくれる上に、英国内で課せられる20%の付加価値税(VAT)を海外向けに差し引いてくれるのがポイントです。

英国の通販サイト「Handtec」でXperia XAをカゴに入れた様子。日本への発送にも対応している。

 たとえば英国で199.99ポンドで売られている「Xperia XA」の場合、国民投票前は約3万2000円だったのに対し、現在では約2万7000円と、5000円近く値下がりした計算になります。

 長期的には為替レートの実勢値にあわせて価格改定が進んでいくと考えられるものの、それまでの間は「全品15%オフ」のバーゲンセール状態が続きそうです。

海外旅行で爆買いのチャンス

 今後、英国が本当にEUから離脱すると、旅行に影響はあるのでしょうか。

 おそらく日本から英国を訪れる日本人にとっては、あまり変わりはないでしょう。現在でも英国は、欧州内をパスポートチェックなしで移動できる「シェンゲン協定」に加盟しておらず、「UK Border」で入国審査を受ける必要があります。

 このUK Borderでは、EU/EEA加盟国やスイスのパスポートを持っていると、専用レーンを使って簡単に入国することができます(日本人でもこのレーンを使うためのRegistered Traveller制度がある)。英国がEUから離脱するとこのあたりの仕組みが変わる可能性はあるものの、ほとんどの日本人にとって大きな変化はないでしょう。

入国審査通過後の、ヒースロー空港のターミナル。入国審査では今後の旅程や帰国予定を細かくチェックされる場合もあり、なかなか緊張する。

 入国さえしてしまえば、円高のおかげで旅行はずっと楽になりそうです。もともと英国は物価が高かったとはいえ、ようやく日本人が「爆買い」するターンが回ってきたともいえます。

日本食チェーン「WASABI」の5.99ポンドのカツカレーも、約810円で食べられる。味は学食レベルとはいえ、ロンドンの日本食としては「格安」。

 一方、大きな買い物をして帰るときは注意が必要です。欧州からロンドンを経由して日本に帰るような場合、英国がEUから離脱していると、税金の還付申告は欧州内で済ませる必要がある、といった場合が出てきそうです。

SIMカードのEUローミングはどうなる

 SIMカードはどうでしょうか。いまから約1年後、2017年6月15日にはEU内のローミング料金が撤廃され、EU内で購入したSIMカードはEU内の他の国でも同じ料金体系で使えるようになります(もちろん日本のSIMは対象外)。

あと約1年でEUのローミング料金は撤廃されるが、英国はどうなるのか。

 これはEU全体のデジタル市場を統合する「Digital Single Market」構想のもとで進められてきた施策ではあるものの、英国がEUから抜けてしまうと、英国だけ使い勝手が悪くなる可能性もあります。

 最近、筆者がよく使っているスペインのOrangeによる「Mundo SIM」の場合、EU/EEA加盟国内で低価格のデータローミングを利用できるものの、そのどちらにも加盟していない国(主にスイス)は非対応。今後、英国の扱いがどうなるか気になるところです。

Orangeスペインの「Mundo SIM」。100MB/1ユーロで欧州データローミングできるが、EU/EEA加盟国のみという条件がある。

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