2015年11月19日18時00分

週アスカフェトーク第5弾

起業3年でクラウド会計のトップシェアを獲得したfreeeの人気の秘密とは

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 みなさん、こんばんは。アスキー編集部の吉田でございます。さて、11月12日(木)に、東京・表参道にあるブルーボトルコーヒー青山カフェで、クラウド会計システム大手の「freee」の創業者であり、代表取締役CEOを務める佐々木大輔氏を招いた対談を実施しましたよ。

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 freeeは個人事業主や中小企業を対象としたクラウド会計サービス。会計業界全体で見ると、税理士丸投げやデスクトップ版の会計ソフトのシェアが高く、クラウド会計の割合はまだまだ少ないのですが、freeeは創業3年という短い期間ながらクラウド会計でトップを走っている点で注目です。競合としては、弥生会計やマネーフォワードなどのサービスがあります。弥生会計はデスクトップ版で大きなシェアを持っていますし、マネーフォワードは住信SBIネット銀行や静岡銀行との連携や10億円の資金調達に成功しています。

 そんな中、freeeがどのようにシェアを伸ばしてきたのかを佐々木氏に根掘り葉掘り聞いてみました。

 freeeの創業は2012年7月とかなり新しい会社です。佐々木氏は、グーグルでアジア・パシフィックの中小企業のマーケティングチームの責任者を務めた経験があり、中小企業の会計は手作業が多く、数値入力などに追われている現状を打破したいと思い、freeeのサービスを立ち上げるに至ったそうです。

 ちなみに創業時のメンバーは佐々木氏を含む3名だけ。創業後、どういったサービスを提供すべきかという議論に数カ月費やしたあと、1年程度で現在のfreeeの原型となるサービスを構築したとのこと。「会計のことについては専門家ではなく、税務署などに質問をしながら開発を進めた」と佐々木氏。「経験者からの意見は重要ですが、実際にサービスを利用するユーザーサイドに立って開発を進めた」とのことでした。

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 freeeは創業から3年で現在は4期目。3人だった従業員は現在は130人を超えるまでに増えています。従業員の数については「まだまだ足りていません。現在、エンジニアが40名ほどいますが、今後は会計や給与計算のサービスだけでなく、例えば経営分析などの機能も提供していきたい。そのためには、開発系だけでなく幅広い人材の採用が必要」と佐々木氏。また、「スキルがある人材はもちろんですが、経験が浅い人材であっても社内で積極的に育成していきたい」とのこと。

 驚きなのが、freeeの累計の資金調達額。その額なんと52億円で、創業3年目のスタートアップとしては群を抜く資金を手にしています。佐々木氏によると、「日本国内で10億円以上の資金を調達できるファンドは数えるほどしかありません。freeeでは、シリコンバレーやシンガポール政府系のVCなどを活用して資金を調達しました」とのこと。ちなみに、シリコンバレーのVCからしてみると、利用者のスキルの問題などで日本での普及が遅れているクラウド会計について、もどかしさすら感じているそうです。

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 デジタル/IT領域のマーケット・サービス評価を実施している調査会社であるデジタルインファクトによる調査では、クラウド会計分野におけるfreeeのシェアは37.5%の首位。freeeの登録事業者は40万人を超えているとのこと。24.3%で2位なのは弥生、14.6%で3位なのがパイプドビッツ、7.3%で4位なのがマネーフォワードとなっています。

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 ちなみに、パッケージ版を含む会計ソフト全体でみると、2015年5月時点ではfreeeをはじめとするクラウド会計は10%しかなく、弥生会計などに代表されるパッケージ版が大きなシェアを占めていることがわかります。

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 クラウド会計の分野でfreeeがシェアを伸ばしたのは、銀行口座やクレジットカードなどのアカウント情報を取り込んで、収入と支出の種類を自動分析する機能がユーザーに評価されたことが理由の1つとして挙げられるでしょう。例えば、東京電力との取引があれば電気代とみなして勘定科目を水道光熱費に、ソフトバンクとの取引があれば通信費といったように、自動的に振り分けてくれます。

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 オープンAPIを用意して他社サービスとの連携を図っているのも大きな特徴です。請求書やPOSレジ、EC売り上げ管理、決済代行などのシステムのデータをfreeeに自動的に取り込めるほか、モバイルSuicaの利用履歴もCSV経由で活用できます。他社サービスの連携について佐々木氏は、「請求書などはfreeeのサービスだけで完結できますが、業種によって請求書の種類が数多くあり奥深いのが現状です。misokaさんなどクラウド請求書発行に特化したサービスと連携することで、より使いやすくしたかった」とその理由を教えてくれました。

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 飲食を含む接客業では、AirREGIやSquareなどのPOSレジシステムや、SquareやCoineyなどの決済代行システムとの連携はありがたいところでしょう。実際にこういったPOSレジとfreeeを併用することで、1日の資金の流れがリアルタイムで把握できるようになります。

 freeeのサービス開始3日目から現在まで使い続けている飲食店のオーナーは、「入力の手間がゼロになった」とかなり高い評価だったとのこと。そのほか注目の導入事例として、佐々木氏は宮城県オートバイ協同組合の導入を挙げていました。この組合のスタッフはシニアが多く導入時のサポートなども必要だったそうですが、継続して使ってもらっているそうです。「シニア層にこそ、使ってもらいたいサービス」と佐々木氏。

 
 ほかのクラウド会計サービスと最も異なる点として、「簿記の知識がなくても利用できるところです。そして、記帳のみではなく請求書発行、消し込み、経費精算、支払いなど経理業務全体がフルパッケージでご利用いただけます。記帳作業の難しさのひとつとして一つの取引に関して貸方と借方の両方のデータを入力しなければいけなく、知識がない方はわからない用語も多く混乱する原因になっています。しかし、freeeでは実際の取引内容を入れていただくことで自動推測で貸方、借方両方のデータを自動的に記帳し、仕分けが作成されます。このように知識がなくても勝手に簿記が作成され、経理業務が完了することが特徴です」とのこと。

 またfreeeでは、「freee 税理士・会計事務所検索」というサービスを用意して、freeeのシステムを熟知している事務所を検索できるようにしています。これは、年代や性別、地域、ITに強いなどの検索条件を調べられる本格的なサービスです。加えて、税理士、会計士向けにfreeeのワークショップやセミナーも首都圏を中心に実施しています。

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 また、A-SaaS(エイサース)など税理士事務所向けのクラウド財務・会計・給与システムともAPI連携できるので、事務所側の導入の敷居も低くなっています。オープンAPIって素晴らしいですね。

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 ちなみにfreeeはクラウド会計だけでなく、「会社設立freee」「クラウド給与会計ソフトfreee」というサービスも提供しています。前者は、会社設立に必要な書類の作成を5分で完了させてしまうサービス。後者は、文字どおり給与計算をクラウド上でできてしまうサービスです。給与計算については、勤怠システムと連動させることも可能で、面倒な計算をすべてfreeeに任せ、担当者はチェックと承認だけすれば、従業員の銀行口座に給与を振り込むといったことも可能になります。

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 気になる料金体系は、個人事業主であれば月額980円、法人であれば月額1980円。給与計算ソフトのほうは、従業員3人までは月額1980円で従業員が一人増えるごとに月額プラス300円となっています。「給与計算ソフトは200名規模の企業にも使ってもらっています」と佐々木氏。

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 このように会計をクラウド化すれば、経理担当者の負担を大幅に軽減できるだけでなく資金の流れを日々把握できます。現在、デスクトップ版を含む会計ソフト内でのクラウド会計全体のシェアは10%程度ですが、今後利用社がさらに増えることは間違いないでしょう。ちなみに、セミナーは1時間の予定でしたが、今回も参加者から質問が多数寄せられて時間を超過しての終了となりました。

(2015.11.20 2:00追記)freeeは複式簿記を採用していますが簿記の知識が必要なく利用できます。読者ならびに関係者にみなさま、お詫びして訂正いたします。

■関連サイト
Blue Bottle Coffee
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デジタルインファクト(第二回 クラウド型会計ソフトの利用動向調査)

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